逆浸透膜の原理とは?逆浸透膜の仕組み・活用方法を知る
「逆浸透膜浄水器」というのを聞いたことがある方も多いと思います。水分子以外のほとんどすべての不純物を除去し、清浄性の高い水を生成できるものとして注目を集めています。
では、逆浸透膜の原理とはどのようなものなのでしょうか?どのようにして純水を生成するの?逆浸透膜の原理とその活用方法について詳しく見ていきます。
目次
逆浸透膜の原理
逆浸透膜の原理について見ていく前に、まずは浸透現象について確認しておきましょう。動物や植物の細胞膜のような半透膜は、水分子は通過させるものの、溶質(そこに溶けている物質)は通過させないという性質を持っています。
純水と、何らかの物質が溶け込んだ不純水を半透膜で隔てた場合、通常は濃度を均一にしようとして純水側から不純水側へ水分子が移動します。
これが「浸透現象」です。このときに生まれる圧力のことを「浸透圧」言います。ここで、反対に不純水のほうへ人工的に強い圧力をかけると、不純水の側から純水の側へと水分子が移動します。これを「逆浸透現象(Reverse Osmosis)」と呼びます。この原理を利用したものが、逆浸透膜(RO)浄水器と呼ばれています。
逆浸透膜の活用の場
逆浸透膜は一般的な浄水フィルターとは異なり、様々な物質が溶け込んでいる水から水分子だけを通過させることができるという特徴があります。そこで、逆浸透の原理を応用して、様々な場面での逆浸透膜浄水システムの導入が進められています。
その一つが、海水の淡水化。日本でも、沖縄県など飲料水が不足しがちな地域での大規模な海水淡水化システムが実際に稼働しています。取水した海水を高圧ポンプなどによって加圧し、逆浸透膜を通すことで淡水化するのです。
またシンガポールでは、逆浸透膜を利用して下水を飲用水へと再生しようというプロジェクトが進められてきました。
これにより、それまでマレーシアからの輸入に頼ってきた水のほとんどを自給自足できるようになったと言われています。逆浸透膜浄水システムはそのほか、海外での難民への給水支援活動や隊員の飲料水確保においても重要な役割を果たしています。逆浸透膜浄水システムの活用の場は、今後さらに拡大していくかもしれません。
まとめ
それでは最後に、逆浸透膜の原理についてまとめておきます。
- 不純水の側に強い圧力をかけて純水を取り出すというのが逆浸透膜の原理
- 逆浸透膜の原理を応用して、海水の淡水化や海外での給水支援活動などが行われている
<参考文献>
一般社団法人 浄水器協会
(http://www.jwpa.or.jp/ro/index.html)
「海水」沖縄県企業局
(https://www.eb.pref.okinawa.jp/water/73/79)
「世界の技術を先導 シンガポール、水ビジネス大国に」日本経済新聞 2015.2.17
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO83219290W5A210C1000000/)