美味しいご飯の炊き方 軟水と硬水、水道水、ミネラルウォーターとお米の関係
美味しいご飯は毎日の食卓に欠かせないものです。どんなおかずよりも、美味しいご飯が一番!という方も多いのではないでしょうか。では、美味しいご飯を炊くためにはどうしたらよいのでしょうか?
美味しいご飯を炊くために忘れてはならない重要な存在が、水です。 ご飯を炊くときに必要なのは、お米と水だけ。お米を炊くときにはもちろん、洗うときにも使うお水だからこそ、ご飯の美味しさを左右する重要な存在となるのです。
ここでは、美味しいご飯と水との相性について見ていきます。
目次
美味しいご飯は水が重要!
そもそも、水はご飯を炊くときにどのような影響を持つのでしょうか?
お米は通常乾燥した状態で保存されています。洗米で最初に水に触れた瞬間、お米はその水を勢いよく吸収しようとします。この水ににおいなどがあれば、お米はそのにおいまでも吸収してしまい、炊き上がったご飯の味や香りにも影響を与えてしまうのです。
もちろん、ご飯を炊くときの水も重要です。洗うときと同じように、炊くときにも水のにおいや味がご飯に移り、その香りや味わいを左右します。さらに水の性質によって、炊き上がりの食感や風味が変わってくることも多いと言われています。
では美味しいご飯を炊くためにはどのような水を選んだらよいのでしょうか?これから詳しく見ていきます。
美味しいご飯と水の性質
硬度
美味しいご飯を炊くための水を選ぶ際のポイントの一つとしてまず挙げられるのが、硬度です。
硬度とは、水に含まれるミネラル(マグネシウムとカルシウム)の含有量を表す指標です。WHOの分類では、以下のようになっています。
- 軟水 0~60mg/L未満
- 中硬水 60以上120mg/L未満
- 硬水 120以上180mg/L未満
- 非常な硬水 180mg/L以上
軟水はその名の通りまろやかで飲みやすい味わい、硬水はややこわばったような、クセのある味わいが特徴です。日本では元々軟水が多く、水道水のほか、国産のミネラルウォーターの多くが軟水です。ヨーロッパの水は比較的硬度が高く、輸入物のミネラルウォーターも硬水のものが多くなっています。
このうち、美味しいご飯を炊くのに適していると言われているのは、軟水です。軟水を使うと、ご飯がふっくらと軟らかく仕上がると言われています。一方硬度の高い水でお米を炊くと、カルシウムがお米の繊維やペクチンと結合することで水の吸収を妨げてしまい、ご飯がパサパサになりやすいそうです。
pH
もう一つ、水にはpH(酸性・アルカリ性の度合い)という基準もあります。1~14までの範囲があり、pH7が中性、それより数値が小さくなるにつれて酸性の度合いが強く、数値が大きくなるにつれてアルカリ性の度合いが強くなります。
日本の水道水は、水質基準によって中性付近(5.8以上8.6以下)の値にあるよう定められています。市販のミネラルウォーターの中には、酸性のものからアルカリ性のものまでさまざまあります。
「アルカリイオン水」と呼ばれるような弱アルカリ性の水でご飯を炊くと、お米のでんぷんの糊化が促進されて軟らかく炊き上がると言われます。ただしアルカリ性の度合いが強すぎると炊き上がったご飯がべたついたり、黄変したりすることがありますので、pH9未満の水を使うとようにしましょう。
水道水で美味しいご飯を炊こう
水道水のメリット・デメリット
私たちのもっとも身近にある水と言えば、水道水ですよね。蛇口をひねるだけで簡単にくみだすことができるのが、水道水のメリット。お米を研ぐときやご飯を炊くときに水道水を使えれば便利で良いですが、「水道水で美味しいご飯が炊けるの?」と思っている方もいるかもしれません。
日本の水道水は、水道法によって水質基準が厳しく定められています。そのまま飲んでも安全であり、味わいも非常に美味しいものになっています。ですから、お米を研いだり、炊いたりするのに使ってもよいのです。
しかし、しばしば問題として挙げられるのが、水道水に含まれる塩素です。安全な水を作るために使われる塩素が、独特のカルキ臭を生じさせることがあります。
先にも述べたように水のにおいはご飯に影響しますから、美味しいご飯を楽しむために、なるべくならカルキ臭のない水を使いたいという人も多いかもしれません。
水道水で美味しいご飯を炊くための一工夫
では、水道水で美味しいご飯を炊くためにはどうしたらよいのでしょうか?
水道水のカルキ抜きの方法には、煮沸やくみ置きなどいくつかの方法があります。しかしいずれも時間がかかるため、毎日の炊飯に利用するのはやや面倒だと感じられるかもしれません。
水道水の塩素を抜くためのもっとも簡単な方法は、浄水器を使うことです。浄水器は、活性炭などのフィルターを利用して、水中に含まれる塩素や残留物を除去(減少)する機器です。
水道蛇口や水道管に連結して使用するもので、それまで同様連続的に水をくみだすことができます。初期費用とメンテナンス費用はかかりますが、ミネラルウォーターと比べて、その都度水を購入する費用や手間がかからないというメリットがあります。
ミネラルウォーターで美味しいご飯を炊こう
ミネラルウォーターとお米の相性
最近では、洗米や炊飯にミネラルウォーターを使うという方も増えてきました。ミネラルウォーターとは、地下水をくみ上げて加熱殺菌などの処理を行ったものです。国産・輸入物含めさまざまな種類があり、原水や処理方法、硬度や味わいなども多様になっています。
では、ご飯とミネラルウォーターの相性はどうなのでしょうか?
まず、ミネラルウォーターには水道水のように塩素は用いられていません。ですから、カルキ臭を気にすることなく洗米や炊飯に使うことができます。
ただし気を付けなければならない点が一つあります。それが、硬度です。輸入物や国産物の一部のミネラルウォーターには、ミネラルが多く含まれた硬水のものがあり、これでご飯を炊くとパサパサになってしまうのです。ミネラルウォーターで美味しいご飯を炊くためには、硬度60以下の軟水を選ぶことが大切です。
ミネラルウォーターで美味しいご飯を炊く方法
飲用だけではなく炊飯にもミネラルウォーターを使うとなると、購入やゴミ出しの手間も大きな問題になりますよね。より経済的で手軽にミネラルウォーターを使うためにはどうしたらよいのでしょうか?
サーバーを利用する!
一つ目の方法は、ウォーターサーバーを利用することです。ミネラルウォーターが入った大型のボトルをサーバーにセットし、電源を入れておけば、24時間冷水と温水をくみ出すことが可能です。ボトルは12ℓ入りで1000~1800円ほど。
自宅まで配送してもらえるので、その都度水を購入して持ち帰る必要がありません。水道水のようにくみ出せるので、ペットボトルからくみ入れるのと比べて、使い勝手もよいのが魅力です。
ミネラルウォーターを使うポイントを決める!
ご飯を炊く際には水が大事と言っても、すべての場面で使う水にこだわらなければならないということはありません。お米の味や食感を左右する重要なポイントで、ミネラルウォーターを使うようにすればよいのです。
例えば、お米が最初に触れる水はミネラルウォーターにし、中間のすすぎには水道水を使うという方法があります。もちろん、ご飯を炊く際にもミネラルウォーターを使うのがおすすめです。ミネラルウォーターと水道水を上手に使い分けながら、美味しいご飯を楽しんでみてください。
電解水素水で美味しいご飯を炊こう
美味しいご飯を炊くための水として、もう一つ、電解水素水もおすすめです。
電解水素水とは、整水器と呼ばれる家庭用電解水生成器を用いて水道水を電気分解することによって陰極側に生成される水で、「アルカリイオン水」「電解還元水」などとも呼ばれます。pH9~10未満の弱アルカリ性で、水素を含むという特徴があります。
電解水素水は、電気分解する前の段階で水道水から塩素や不純物を除去しており、お米本来の風味を損なうことがありません。また、ふっくらつややかに炊き上がるという声も多く聞かれます。
整水器には据え置き型やアンダーシンク型などがありますが、いずれも連続的に水をくみ出すことができ、ペットボトルから水をくみ入れるのと比べても便利です。
電解水素水はほかにも、だしがよく取れる、煮物が軟らかく仕上がるなどと言われており、料理との相性も抜群です。美味しいご飯とおかずを楽しむために、是非注目していただきたい水の一つです。
まとめ
それでは最後に、美味しいご飯を炊くための水についてまとめておきます。
- 洗米や炊飯に使う水は、仕上がりの味や食感を左右する重要な存在
- 美味しいご飯を炊くには硬度の低い軟水が適している
- 洗米や炊飯に水道水を使ってもよいが、カルキ臭が気になる場合には浄水器を利用するがおすすめ
- ミネラルウォーターを使う際には硬度に気を付け、より経済的で手軽な方法を見つけるとよい
- 美味しいご飯を炊くための水として、電解水素水にも注目が集まっている
<参考文献>
一般社団法人浄水器協会
(http://www.jwpa.or.jp/)
一般社団法人日本ミネラルウォーター協会
(http://minekyo.net/)
アルカリイオン整水器協議会
(https://www.3aaa.gr.jp/index.html)