湧水を守ろう!湧水とは何か、その利用方法を知る
「湧水」は、大自然からの豊かな恵みの一つ。飲料水としてはもちろん、生活用水や農業用水、産業用水などとしても、古くから湧水が活用されてきました。
その美しい光景から、人々の憩いの場として親しまれてきたものもあります。
また、湧水は多くの動植物の貴重な棲みかとなり、地球の生態系を支えてきたのです。
これからも大切に守り続けていきたい、湧水。そんな湧水について、改めて考えていきたいと思います。
目次
湧水とは?
「湧水」とは、地下水が自然の状態で地表に出てきたものを言います。
地球上の水は、蒸発、凝固、降水・降雪、浸透、流出といったプロセスで循環しています。山々に降った雨水や雪解け水は、そのまま地表を流れていくものもありますが、多くは地中へと浸透します。これらの地下水が地上へと流出したものが、「湧水」です。
湧水は、地質・地形がいくつかの条件を満たすことで発生します。例えば台地や段丘、扇状地などで地形面と地下水面が交差する場所、また火山山麓などで岩盤の割れ目のある場所、鍾乳洞の入り口などが湧水の発生しやすい場所として知られています。
地下水は目で見ることはできませんが、湧水を調べることで、地下水、さらには地下全体の状況を推し量ることができます。地下水は表層水と比べて外部からの影響を受けにくいため、良質で安定しているという特徴があります。
環境省が選定した「名水百選」「平成の名水百選」の中にも全国各地の湧水が選ばれています。
一方で、気候や地形の変化による湧水の枯渇や汚染がしばしば問題に挙げられることもあり、また一度悪化してしまうと回復が難しいとも言われています。そのため地元住民らを中心に、湧水の水質検査や清掃活動など積極的な保全活動が進められています。
湧水の利用
湧水は、水質が良好で供給量が安定していることから、さまざまな分野で活用されています。
水道水源、飲料水
湧水の中には、その水質のよさから古来「名水」として名を馳せてきたものが多くあります。
地下を移動する間に地層のフィルターによってろ過され、また土壌中のミネラルを溶かし込むことで良質な水が生まれると言われています。現在でも、ペットボトルやポリタンクを抱えて水汲みに訪れる人も少なくありません。(ただし湧水の中には飲用に適さないものもありますので注意してください。)
安定した供給が見込まれるため、水道水源としても利用されています。
農業用水、産業用水
湧水は灌漑用水としても多くの田畑を潤してきました。また、特に清澄な湧水はワサビ栽培や魚の養殖などにも利用されています。
そのほか地酒や豆腐などその地域ならではの特産品を生み出すのに活用されたり、湧水そのものがペットボトル入りのミネラルウォーターとして販売されたりしています。
湧水は、その地域の産業を支える重要な存在でもあるのです。
親水公園、景勝地
湧水は古くから人々の憩いの場としての役割も担ってきました。飲用や炊事などさまざまな場面で湧水を活用するために住民が集うことで、そこが重要なコミュニケーションの場にもなっていたと言います。
湧水の中には、一帯が親水公園として整備され、水や自然との触れ合いを楽しむことができるようになっている場所もあります。美しい湧水周辺でしか生息しない動植物も多く、環境学習に活用されているものも多いようです。
また、美しい水がこんこんと湧き出す様は目に美しく、その土地ならではの景勝地としても知られるようになっています。
まとめ
それでは最後に、湧水についてまとめておきます。
- 湧水とは、段丘や火山山麓などにおいて、地下水が自然な形で地表に湧き出たもの
- 湧水は地表水と比べて外部の影響を受けにくく、水質が良好で安定しているという特徴を持つ
- 湧水は水道水源や農業用水、産業用水などとして利用されているほか、景勝地になっているものもある
<参考文献>
「湧水保全・復活ガイドライン」環境省
(https://www.env.go.jp/water/yusui/guideline/full.pdf)
「代表的な湧水」環境省
(https://www.env.go.jp/water/yusui/result/sub4-2.html)
公益社団法人 日本地下水学会
(http://www.jagh.jp/)
環境省 名水百選ポータル
(https://www.env.go.jp/water/meisui/)