浄水器にはどんな種類がある?それぞれのメリット・デメリットを解説
目次
みんな浄水器を利用してる?
1台設置しておけば、水道水を美味しく安全に飲むことができる浄水器。一般社団法人浄水器協会が2019年に実施した調査によれば、主要7都市における浄水器、浄水シャワーの使用状況は4割以上と、ますます普及が進んでいる状況です。
2020年10月にミズラボ編集部が行った調査によると、アンケートに回答した112人のうち65.8%が「普段から浄水器を利用している」と回答しており、多くの人が日常的に浄水器を利用していることが分かっています。一方で、残りの34.2%の人は浄水器を普段利用していないと回答しています。
浄水器はさまざまなメーカーが開発しており、販売されている浄水器の種類も複数あるため、導入する前にそれぞれの浄水器の特徴についてよく理解しておくことが大切です。そこで今回は、浄水器やフィルターの種類を紹介するとともに、それぞれのメリット・デメリットについても詳しく説明します。
そもそも浄水器とは?
浄水器とは、水道水に含まれている所定の物質を除去する機器のことです。浄水器は規格基準が法律によって定められているため、基準を満たさない機器は浄水器として販売することはできません。
浄水器の種類にもよりますが、一般的には機器の中のフィルターを水道水が通過することによって、所定の物質などを除去する仕組みになっています。浄水器にはさまざまなタイプがあるので、浄水器ごとの性能や違いを理解したうえで導入することが大切です。
浄水器をつけるメリット
浄水器をつけることによって、残留塩素やトリハロメタンなどの有害物質を除去することができます。日本は世界で見ても水道水の安全性が高く、そのまま飲んでも健康上問題ないといわれていますが、浄水器を導入してこれらの有害物質の量を抑えることで、より安心して水が飲めるようになるでしょう。
また、浄水器を利用することで、カルキ臭やカビ臭といった水道水の気になるニオイを抑えることも期待できます。より美味しく安全に水道水を飲みたいと思っているなら、浄水器を導入するメリットは大きいといえるでしょう。
浄水器の種類とそれぞれの特徴
浄水器には、主に以下の5つの種類があります。
ここからは、それぞれの特徴、メリット・デメリットについて詳しく説明します。
蛇口直結型
蛇口直結型の浄水器は、家庭に設置されている浄水器の中ではポピュラーです。このタイプは、蛇口の先端と浄水器本体の形状が合っていればすぐに取り付けできるので、誰でも簡単に導入することが可能。サイズもコンパクトなので、「水道周りのスペースが限られている」という家庭でも気軽に導入することができます。
蛇口直結型のメリット・デメリット
蛇口直結型のメリットは、幅広い家庭で取り入れられること。設置の手間もかかりにくいため、難しい操作をする必要はほとんどありません。また、比較的安価に販売されている製品が多いので、経済的な負担を抑えられるのもメリット。対応している蛇口の形状も幅広く、多くの家庭で取りつけられるように複数のアダプターがセットされているものもあります。
一方、デメリットとしてはフィルターのサイズが小さくなるため、ろ過性能が低くなりやすい点があります。フィルターの交換頻度も高くなりやすいので、ランニングコストがかさむ可能性もあります。
また、特殊な形状をした蛇口には取りつけられないことがあるので、場合によっては導入できないケースもあります。導入を検討している場合は、自宅の蛇口に対応しているかを事前に確認しておきましょう。
ポット(ピッチャー)型
ポット(ピッチャー)型の浄水器は、その名の通りポットやピッチャーの形状をしているのが特徴。蛇口直結型浄水器とは違い、浄水器本体が独立しているため、蛇口や水道管に浄水器を取りつける必要がありません。
浄水器に入れた水はそのまま冷蔵庫に入れて保管することもできるので、冷えた状態で浄水後の水道水を飲むことができます。
ポット(ピッチャー)型のメリット・デメリット
ポット(ピッチャー)型の浄水器は、ろ過された水をスムーズに使えるのがメリット。あらかじめろ過した水を用意しておけば、料理中に水を手早く利用したいときなどにも便利です。また、浄水器1つあたり数千円程度と比較的安価で、ホームセンターなどで購入できるのも魅力です。
一方、製品にもよりますが、一般的なポット(ピッチャー)型の浄水器の容量は1~2L程度のため、一度に多量のろ過水を利用できないのがデメリット。蛇口や水道管に接続するタイプの浄水器であれば制限はありませんが、ポット(ピッチャー)型の浄水器で容量以上のろ過水を利用するためには、再度水道水を注いで5分程度待たなければなりません。
また本体の大きさによっては冷蔵庫に収まりきらず、保管スペースに困ることも考えられます。事前に保管場所やサイズを確認してから購入しましょう。
据え置き(カウンタートップ)型
据え置き(カウンタートップ)型の浄水器は、シンク脇に本体を設置し、ホースを蛇口と連結することによってろ過水を利用する仕組みです。蛇口直結型浄水器と同じく人気があり、設置済みの家庭も多いようです。本体のデザインも幅広く、部屋のインテリアや好みにあわせてカラーや形状などを選べるのも魅力です。
据え置き型の仕組みは大きく分けて2つあります。1つ目は、蛇口と連結させているホースから本体に給水し、浄水器本体からろ過水を出すタイプ。2つ目は、蛇口から給水した水道水を浄水器本体でろ過し、再度蛇口に戻して水を出すタイプです。メーカーや製品によって仕組みに違いがあるため、どのような方法でろ過水を出したいかによって選ぶとよいでしょう。
据え置き(カウンタートップ)型のメリット・デメリット
据え置き(カウンタートップ)型は、おしゃれなデザインや形状のものを選べるだけでなく、ろ過能力が高いこともメリット。蛇口直結型浄水器やポット型浄水器よりも幅広い物質を多く除去してくれるので、より安全で美味しい水を利用できるでしょう。浄水器を設置するために大がかりな工事をする必要がないのも魅力です。
なお、据え置き型はろ過能力が高い分、本体の価格もやや高くなります。メーカーの種類や製品にもよりますが、数万円程度で手に入れられるものもあれば、数十万円程度かかるものもあります。また、種類によってはそれなりの大きさになるので、設置するスペースが足りるかどうかは事前に確認しましょう。
ビルトイン(アンダーシンク)型
ビルトイン(アンダーシンク)型は、シンクの下に本体を設置するタイプの浄水器。浄水器のサイズも大きく、それだけろ過能力も高くなっています。
フィルターのサイズも大きく、多量の水道水を利用することを想定して作られているため、フィルターの交換頻度が少ないのも特徴です。
ビルトイン(アンダーシンク)型のメリット・デメリット
ビルトイン(アンダーシンク)型の浄水器は、ほかの浄水器のように年2~3回もフィルターを交換しなくてよいのがメリット。ランニングコストを抑えられるので、長期的に考えるとコストパフォーマンスがよい浄水器だといえます。また、蛇口の先端部やシンク横に浄水器を設置する必要もないので、シンク周りをすっきりさせて快適な水周りにすることが可能。住宅やマンションによってはあらかじめ設置されているケースもあるので、導入の手間をかけずに利用できる人もいるでしょう。
一方、ビルトイン型の浄水器は、工事が必要になるので、初期費用はやや高めになります。浄水器の導入予算が決まっている場合は、まずは店舗スタッフに相談して見積もりを出してもらうのがよいでしょう。
水栓一体型
水栓一体型は、近年普及し始めてきた新しいタイプの浄水器。蛇口自体にフィルターが入っているため、外部に機器を取りつけなくても、蛇口から水を出すだけでろ過水を利用できるのが特徴です。
浄水器のタイプによっては切り替えスイッチが設置されており、水道水とろ過水を使い分けたり、シャワーが使えたりするといった機能を持つ製品も販売されています。
水栓一体型のメリット・デメリット
水栓一体型の浄水器は、すでに蛇口内に浄水器が組み込まれているため、水回りをすっきりさせることが可能です。外部に機器を取りつける必要もなく、設置スペースを気にせず導入できるのがメリットだといえます。フィルターの交換が比較的簡単で、複雑な操作をする必要がないのも魅力です。
ただし、水栓一体型の浄水器はビルトイン型と同様に工事費用がかかるというデメリットも。また、フィルターの交換が年2~3回程度必要なものが多いため、利用頻度によってはランニングコストがかさむ場合があります。
浄水器フィルターの種類
浄水器のフィルターにどのようなろ材が使用されているかによって、除去できる物質の種類や除去量が変わってきます。浄水器フィルターの種類には、大きく分けて以下の3つがあります。
活性炭フィルター
活性炭フィルターは、その名の通りフィルターに活性炭を用いたもので、カルキ臭・トリハロメタン・農薬などを除去して美味しい水を作り出します。活性炭の形状にはいくつかの種類があり、粒状や粉状、繊維状やブロック状にしたものなどがあります。
活性炭を利用したフィルターは比較的簡単かつ低コストで製造できるため、一般のご家庭から、災害時の飲料水確保用として幅広く活用されています。また、活性炭と不織布を組み合わせ、さらにろ過機能を高めたタイプや、多量の活性炭を使用してろ過機能を長期間持続させたものもあります。
中空糸膜フィルター
中空糸膜フィルターは、細かい孔が無数にあいた繊維フィルターのことで、繊維の内部がマカロニのように空洞になっているのが特徴です。
中空糸膜フィルターは、一般的に活性炭などと組み合わせることで、除去物質に幅広く対応させたものとなっています。
逆浸透膜(RO膜)フィルター
逆浸透膜(RO膜)式フィルターは、中空糸膜フィルターよりもさらに細い孔があいた膜に圧力をかけることで、水道水に含まれる物質を除去するもの。このフィルターは水分子だけを通過させられるため、海水を淡水化したり、医療用としても活用されています。
より高度な浄水機能が備わっており、水に含まれる放射性物質まで除去できるといわれているのも特徴です。
ただし、逆浸透膜フィルターは、水のうまみ成分であるミネラル分も除去してしまうので、味にこだわりたい人はその他のフィルターを選ぶとよいかもしれません。
まとめ
ここでは、浄水器本体の種類別の特徴や、フィルターの種類について説明しました。浄水器を使って水道水をより安全に美味しく飲むためには、それぞれの浄水器やフィルターの特徴を理解し、家庭に合った物を選ぶことが重要です。
部屋のデザインやキッチン周りのスペース、予算やランニングコストなどを総合的に考えておくことで、満足のいく浄水器を導入できるはずです。ここで説明した内容を参考にして、納得のいく浄水器を選べるようにしておきましょう。
参考文献
「浄水器・浄水シャワーに関する調査結果」一般社団法人浄水器協会
http://www.jwpa.or.jp/aq_ch.html