水道水に含まれる成分と味の関係とは?よくある水道水のQ&Aも紹介
普段当たり前のように利用している水道水ですが、中にはさまざまな成分が含まれているため、ニオイや味に影響を与えることがあります。そのため、「ニオイが気になる」「ミネラルウォーターとは違った味がする」と感じる人も多いのではないでしょうか。
水道水を安心して利用するためには、水道水に関する正しい知識を持つことが大切です。今回は、水道水に含まれる成分と味の関係や、水道水を美味しく飲むコツを説明します。
目次
水道水に含まれる成分を知っていますか?
水道水に含まれる成分を知っている人はどれくらいいるのでしょうか。2021年3月にミズラボ編集部がおこなった調査によると、20代以上の男女104人のうち、「水道水に含まれる成分を知っている」と回答した人の割合は、30.8%でした。残りの69.2%の人は「水道水に含まれる成分を知らない」と回答しており、水道水の成分を正しく理解している人は多くないことが分かります。
水道水に含まれる成分を知っていると回答した人の声
「水道水に含まれる成分を知っている」と回答した人からは、「カルキなどが含まれることは何となく知っている」「消毒のために塩素が入っていると学校で習った」といった声が集まりました。
「塩素(カルキ)などが入っている」という知識は持っていても、ほかの成分についてはあまり知られていないようです。
水道水に含まれる成分を知らないと回答した人の声
「水道水に含まれる成分を知らない」と回答した人たちからは、「あまり意識したことがなかった」「浄水器を使っているので気にしたことがない」「学ぶ機会がなかった」といった反応が得られました。
水道水は毎日当たり前のように使われているので、学ぶ機会や意識的に調べるきっかけがなければ、成分について知ることはできません。正しい知識をもって水道水を使用できるよう、この機会に水道水に関する知識を深めましょう。
そもそも水道水はどこから来ている?
水道水の成分について触れる前に、まずは水道水がどこから来ているのかを見てみましょう。
小学校などで学んだ人もいるかもしれませんが、水道水の水は自然を循環することで各家庭に届けられています。その具体的な流れは、次のようになっています。
- 雨や雪が森林に降りそそぎ、川に流れ出る
- 川の水がダムや湖に溜まる
- 溜まった水が取水設備や導水管を通って浄水場に運ばれる
- 浄水場で水道水がつくられ、配水池で保管される
- 配水管を通って各家庭に水道水が届けられる
- 使用後の水道水は、下水管を通って浄化センターへ送られ洗浄される
- 浄化された水は川に戻され、海に流れ出る
- 海水が蒸発して雲になり、再び森林に雨や雪が降る
水の循環を意識すると、きれいな水を使い続けるためにも、環境保護の重要性に改めて気づきます。
水道水に含まれる成分と味の関係
中には「水道水は、ミネラルウォーターと味が違う」と感じる人もいるでしょう。その要因のひとつとして、カルシウムやマグネシウムといったミネラルの含有量の違いが挙げられます。
これらは水道水の代表的な成分と言われており、ミネラルが多いと苦味や渋み、塩味などが強くなる傾向があります。ミネラルが適度に含まれると、コクのあるまろやかな味わいを楽しめますが、逆に少なくなりすぎると水の美味しさを感じにくくなります。
また、水の味わいは水温によっても変わります。たとえば、夏季は水道水の温度が高くなり、ミネラルの風味を強く感じやすくなります。また、水を消毒する際に使われる塩素のニオイも感じやすくなるため、カルキ臭が気になる人もいるでしょう。
水道水には塩素やトリハロメタンなどの物質も含まれている
先述したように、水道水は塩素消毒されているため、残留塩素が含まれています。また、塩素消毒の際に水に含まれる有機物と反応して、発がん性が疑われる「トリハロメタン」という物質も発生してしまいます。
「これらの物質は体に悪影響を及ぼすのではないか」と心配する人も多いでしょう。しかし、水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタンの量は、厚生労働省が定めた水質基準で健康に影響がない基準値以下に定められています。(残留塩素は1mg/L以下、トリハロメタンは0.1mg/L以下)
東京都水道局によると、水質基準で設定されている数値は、「生涯にわたり連続して摂取しても健康に影響が生じない水準」とされているため、安心して水道水を飲めます。
水道水を美味しく飲む方法とは?
そのまま飲んでも問題ないとされる水道水ですが、「カルキ臭が気になる」「もっと美味しく飲みたい」と思う人も多いのではないでしょうか。水道水を美味しく飲むには、上記2つの方法を試すのがおすすめです。
以下では、これらの方法について詳しく説明します。
冷蔵庫で冷やしてから飲む
いわき市水道局によると、水が美味しく感じられる温度は「10~15℃程度」とされています。しかし、常にこの温度で水道水を確保するのは困難です。暑い時期は水道水の温度が高くなりやすいので、「冷蔵庫で冷やしてから飲む」などの工夫が必要です。
ただし、容器に水道水をくみ取って保存する場合、時間が経過するほど塩素が少なくなるため、雑菌が繁殖しやすくなります。水道水の保存期間は、「冷蔵庫で保存する場合は10日、常温保存の場合は3日」とされているので、保存期間が過ぎたものは飲む以外の用途で使いましょう。
水を沸かしてから飲む
中には、「水道水は塩素のニオイが気になる」という方もいるでしょう。
塩素のニオイが気になる場合、水道水をやかんや鍋などで沸かすと、残留塩素を減らせるのでニオイが気になりにくくなります。沸騰させた水道水を冷まし、冷蔵庫で冷やしてから飲むと、さらに美味しく感じるでしょう。
ただし、沸かす時間が短いと塩素のニオイが残ってしまうので注意が必要です。水道水に含まれる塩素をしっかり減らすためには、5分程度沸騰させたほうがよいとされています。
加えて、水道水を沸かすと塩素が減り、通常よりも早く消毒効果がなくなってしまいます。1日程度で使いきらないと雑菌が繁殖する可能性があるので、なるべく早めに使用しましょう。
水道水でよくあるQ&A
中には「水道水が濁っている」「金属臭がした」「蛇口の周りに白いものが付いている」などの経験をした人もいるかもしれません。以下では、そのようなことはなぜ起こるのかを解説します。
安心して水道水を使い続けるためにも、水道水についてもっと詳しく知っておきましょう!
水が白く濁っていても大丈夫?
水道水を蛇口から出すと、水が白く濁って見える場合があります。そのときは、コップに水をくんで様子を見ましょう。底から少しずつ透明になれば、水の白さの原因は気泡なので、問題ありません。
コップに水をくんでしばらく経っても白く濁っている場合、給水管などに使用される亜鉛が溶け出している可能性があります。亜鉛を含む水道水は大量に飲まない限り、人体に悪影響を与える可能性は低いですが、このような水は不快な渋みを感じることが多いようです。特に、給水管内に水が溜まっている時間が長いほど発生しやすいといわれているため、朝一番に水道水を使用する場合はしばらく流してから使うのがおすすめです。
金属的な臭いがする水は飲んでもよい?
人によっては、水道水を飲む際に金属的なニオイを感じるケースもあるようです。このようなニオイは、先ほど説明した「亜鉛が多く含まれる水道水」が出たときによく感じられると言われています。
亜鉛が原因で水道水が白く濁ったときと同様に、しばらく使っていなかった水道から水を出すと金属臭が強くなる傾向があります。そういう場合は、飲用する前にしばらく放流するのがおすすめです。放流した水は、水やりや掃除などに使うなど資源を有効活用しましょう。
水周りに付く白い成分の原因は?
水道水を使っていると、水周りに白い物質が付着することがあります。これは、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムといったミネラルが残ったもので、水道水が乾燥したところに溜まりやすいと言われています。
特に、蛇口やポットの注ぎ口、電気ポットの内部など、水道水が付着と乾燥を繰り返す場所は、白くなったミネラルが残りやすいです。ミネラルが多く残ると、その周りに雑菌が繁殖する可能性があるので、定期的に洗浄して水回りを清潔に保ちましょう。
まとめ
水の循環や水道水に含まれる成分と味の関係、水道水を美味しく飲むコツについて説明しました。
さまざまな成分が含まれた水道水は「そのまま飲んでも大丈夫なの?」と心配になるかもしれませんが、法律で厳格に管理されているため、安心して使えるでしょう。また、より美味しく水道水を飲むコツを実践すれば、カルキのニオイなどを抑えて飲めるようになります。
ここで説明した内容を参考に、正しい知識をもって水道水を使いましょう。
参考文献
「水はどこからくるの?」仙台市水道局
http://www.suidou.city.sendai.jp/nx_html/08-kids/08-201.html
「水道水の成分」いわき市水道局
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/www/contents/1001000002262/index.html
「水質」東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/faq/qa-13.html#7
「その17トリハロメタンが心配なんだけど・・・?」千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/keikaku/oishii2/qa/qa17.html
「水道水をおいしく飲む方法」いわき市水道局
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/www/contents/1001000002265/index.html
「水源・水質」東京水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/shinsai/onegai/kumioki.html
「水道水の水質に関するQ&A」静岡県
https://www.city.shizuoka.lg.jp/000806290.pdf