食品添加物とは?安全性や人体への影響など基礎知識を解説
皆さんは毎日食べている食品の中にどのような食品添加物が使用されているかを意識したことがありますか?
私たちが食べている食品、特に加工食品の中には大抵食品添加物が使用されています。
食品添加物は、食品の「製造・保存・嗜好性の向上・栄養強化」において重要な役割を担っており、食品産業や私たちの食生活はその恩恵を多く受けています。また、食品添加物の安全性に関しては厚生労働省が様々な実証試験をした上で指定(認可)をしているため「一定の安全性」が保証されていると言えます。
しかしその一方で、厚生労働省の実証試験に対して疑問を指摘している研究結果があるのも事実で、まだまだ「完全なる安全性」については疑問の余地があります。また、食品添加物はそのコストパフォーマンスの良さから「企業の利益や競争力」の為に過度(不必要)に使用されているという実態も報告されています。
このように、食品添加物は現状「良い面」と「疑わしい面」の両方を持っていると言えますので、私たち消費者は「良い面を享受しつつも、疑わしい面はできるだけ排除するスタンス」で食品添加物とつきあっていきたいところです。そしてそのためには食品添加物についてもっと学ぶ必要があります。
今回は、食品添加物についての知識を深めるため、食品添加物の安全性・基礎知識・メリット・デメリット等についてご紹介をさせて頂きます。ぜひ最後までお読み下さい。
目次
食品添加物とは
「食品添加物」という言葉は、第二次世界大戦後あたりから広く使われるようになった言葉です。具体的には1947年(昭和22年)に食品衛生法の制定があり、それを契機に使われるようになったといわれています。
しかし、「食品に添加する」という発想自体は昔からあり、有史以来、人類は「塩」という天然の添加物を使用して、食材の保存性を高めたり、味付けを楽しんだりしていました。
日本において、初めて化学物質が食品添加物として使用されたのは、明治時代であったといわれています。使われた化学物質は「サリチル酸」というもので、清酒の防腐剤として使用されていました。当時はまだ食品添加物に対する規制が弱かった為、サリチル酸のような有毒性のある食品添加物でも普通に使われていました。その結果、当然ながら様々な健康被害がでていたそうです。明治時代以来、こうした被害事例が長期にわたり集積され、ようやく1947年に政府は食品衛生法を制定し、それまで以上に食品添加物をきちんと規制・管理することになったのです。
制定された食品衛生法の中では、食品添加物は次のように定義されています。
【食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう】(食品衛生法第4条2項)
この定義を簡単に言い換えますと「食品の製造、加工、保存の目的で食品に加えるモノ」ということになります。そして、この定義の中の「目的」をもう少し掘り下げて説明すると、下記の分類(①~④)で表すことができます。
① 食品の製造や加工に必要
② 食品の栄養価を強化させる
③ 食品の風味や外観を良くする
④ 食品の保存性を良くする
このように様々な目的で使用される食品添加物は、その価格の安さもあいまって、いまや食品産業において欠かせない存在となっています。
食品添加物と食品産業は密接な関係があることから、「業界内での競争」や「企業の利益追求」がヒートアップすると、食品添加物が乱用される恐れも出てきます。その為、国はその使用に対しては厳しい規制を設け、私たちの健康や食生活を守ってくれているのです。
食品添加物の分類
食品添加物の分類は観点によって様々ありますが、食品衛生法では次の4つに分類されています。
指定添加物
食品添加物は原則として、「すべて」使用が禁止されています。しかし、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して使用を許可(指定)したものに限っては使用することができます。この指定を受けた添加物のことを指定添加物といいます。
指定添加物のほとんどは石油製品などを原料にした化学的合成品ですが、一部天然物も含まれます。
収載:「指定添加物リスト」
品目数:472 ──(2021年1月15日現在)
例:亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、臭素酸カリウム、アスパルテーム、イマザリルなど
既存添加物
既存添加物は、1995年の食品衛生法改正の際に設定されました。「古くからずっと食べ続けられてきたもの」として、例外的に指定を受けることなく使用が認められています。既存添加物は、植物・海藻・昆虫・細菌・鉱物などから特定の成分を抽出したもので、すべて天然物からなっています。既存添加物名簿の策定が行われた当初(1996年)は、489品目がこの名簿に収載されていましたが、安全性に問題があるものや使用実績のないものは、順次消されています。
収載:「既存添加物名簿」
品目数:357 ──(2021年1月15日現在)
例:コチニール色素、ラック色素、ニガヨモギ抽出物、トレハロース、キサンタンガムなど
天然香料
食品に香りをつける為のもので、自然界の植物や動物などから抽出した香り成分です。天然香料は、指定添加物や既存添加物とは異なり、物質名(▲▲ナトリウム、●●カリウムなど)が示されるのではなく、基原物質名(エビ、アボガド、イチゴなど)が公表されます。なお、天然香料基原物質リストに収載されている品目はあくまで「例示の品目」であり、それらに限定はされてはいない為、収載品目以外のものも使用することができます。
収載:「天然香料基原物質リスト」
品目数:612 ──(2021年1月15日現在)
例:リンゴ、ペパーミント、ココナッツ、カツオブシ、ミート(肉)、ウメなど
一般飲食物添加物
一般に食品として利用されているものをそのままか、特定の成分を抽出して「添加物」として使うものを一般飲食物添加物といいます。増粘安定剤や製造用剤として使われるものも含まれていますが、主には着色料として使われるものが多いようです。一般飲食物添加物リストに収載されている品目はあくまで「例示の品目」であり、それらに限定はされていません。つまり、対象品目は「すての食品」となります。
収載:「一般飲食物添加物リスト」
品目数:106 ──(2021年1月15日現在)
例:トマトジュース、ウコン、果汁、寒天、卵白、小麦粉、ゼラチン、ココア、コラーゲンなど
「天然香料」と「一般飲食物添加物」は、食品添加物としての側面もありますが、どちらかというと「通常食品」に近い取り扱いと言えます。一般的に知られる(本来の意味でいう)食品添加物は「指定添加物」と「既存添加物」になると言えるでしょう。
食品添加物のメリットとデメリット
食品添加物には、良い面と疑わしい面の両面があります(ここではこれらを「メリットとデメリット」と表現させて頂きます)。この両面を公平に知ることで、きっと「食品添加物に対する自分自身の判断基準」をつくることができるでしょう。大事なのは、どちらか一方に偏った情報だけで判断しないということです。功罪両方の情報にふれ、食品添加物と上手に付き合っていきましょう。
【メリット】
食品添加物は「人類の知恵の結晶」とも言えます。食品添加物は私たちの日々の食生活を支えているだけではなく、食中毒などの病気を抑えたり、体の回復を補助したり、介護食にも一役かっているのです。
また、食品添加物が使えることによって加工食品の品質も安定しますし、生産コストも抑えられます。そして、その結果として大量生産が実現され、私たちは安価で食品を食べることができるのです。
他にも、食品添加物によって「味が良くなること」や「保存期間が長くなること」は、食べ残しやフードロスを減らすことにもつながりますので、そういった意味では環境面にも貢献していると言えるでしょう。
・食中毒の防止
・風味や食感、香りを良くする
・栄養バランスの強化、補助
・食品の品質安定化
・食の多様性の創出
・経済性の向上
・健康維持に貢献(減塩、減糖の補助:高甘未度甘味料など)
・介護食に貢献(噛めない・のみこめない時の補助:増粘剤など)
・災害用の備蓄食品と即席食品に貢献
・低コストで大量生産(安定供給)できる
・消費者が低価格で食品を購入できる
・環境に貢献(食べ残しやフードロスを減らす)
【デメリット】
一部の食品添加物(既存添加物)は、検証(実証)がまだ十分になされていない状態のまま使用されているという事実があります。過去には、認められていた食品添加物(アカネ色素)に発がん性が確認され、収載リストから消除された例もあります。
また、厚生労働省の検証(実証)に対して「疑問を指摘している研究結果」も存在していて、安全性に対する食い違いがあるのが現状です。このような場合には、それぞれの検証結果に対する反駁情報を追跡し、自身で安全性を判断するしかありません。
厚生労働省の検証(実証)に関してもう一つ言及すると、食品添加物の「複数摂取」についての検証(実証)が不十分という点も挙げられます。検証(実証)は、1つ1つの食品添加物の有毒性に対して行われる為、「複数摂取した場合にどのような結果があらわれるか」までは検証(実証)をしていないのです。複数摂取による影響は現状のところ「不明」です。私たちはそれを許容するか、許容しないかを自身で判断する必要があります。
デメリットとして挙げられる最後の点は、「生産者のルール違反の可能性」です。この「ルール違反」については、なにも「使用量の超過」や「指定外の食品添加物の使用」に限った話ではありません。使用を許されている食品添加物であっても、本来の使い方(用途)から外れた使い方をするのはルール違反です。例えば、商品を美味しく見せる目的で使用される着色料を鮮度をごまかす目的で使用するといったことです。
ある暴露本によれば「このような違反事例は、生産者と添加物業者の結託によって起こるもので、他にも様々なテクニックによって行われている」と報告されています。このような本を妄信するのはよくありませんが、可能性としてはあり得ないことではありませんので、踏まえておく必要はあるでしょう。
・一部の食品添加物の検証不足
・実証に対して疑問を指摘している研究結果もある
・複数摂取(相互作用)による影響が不明
・生産者のルール違反の可能性がある
食品添加物との付き合い方
食品添加物は食品衛生法によって「一定の安全性」は保証されていますが、疑いの余地もまだいくらか残っています。しかし、だからといって食品添加物を完全に排除することは、私たちの食生活にマイナスに働く場合もあります。
結局、「どのように付き合っていくべきか」に関しては人それぞれ異なる見解がありますので、決定的なことを一概に言うことはできません。しかし、いずれにしても共通して言えることは「必要以上には摂取しない」ということではないでしょうか。不必要に摂取すれば、どんなものでも毒になります。問題なのは、その「量」なのです。
食品添加物を必要以上に摂取しないようにするためには、買い物の際、同じ商品でも「食品添加物の使用が少ないメーカーの食品」を選ぶようにするのが良いでしょう。また、1回の食事の中で「加工食品の割合を減らす」のも有効的です。他にも「食品添加物を減らす食材のしたごしらえ」を学んだり、「原産地や製造地を確認する」ことも食品添加物の摂取量を抑えるには、有効的な手段と言えるでしょう。
少し話はそれますが、ある説によりますと、日本人が摂取する食品添加物の量は、1日平均10gと言われています。1年で換算すると3~4kgにもなります。日本人の食塩の摂取量が1日11~12グラムとされていますので、それとほぼ同量の食品添加物を摂取していることになります。
この説に信憑性があるかはわかりませんが、私たちは1年間で約1000回もの食事をしていて、そのほとんどに食品添加物が含まれていることを考えれば、やはり食品添加物は必要以上に摂取しないようにするのが、無難なのではないでしょうか。
保存食(非常食・備蓄食)は保存料だらけ?
近年、コロナ対策や震災対策として、自宅に保存食(缶詰、びん詰、レトルト食品)をストックする人は増えているようです。これらの食品はどれも長期の保存に耐えられるものばかりですが、一体なぜ長期の保存ができるのでしょうか?「保存料をたくさん使っているから」と思われている方も多いようですが、それは本当なのでしょうか?ここでは「缶詰、びん詰、レトルト食品」の長期保存ができる理由について解説をしていきます。
まず、缶詰やびん詰、レトルト食品(厳密にはレトルトパウチ食品)は、食品衛生法上では「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」に該当します。そして、この「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」は、食品衛生法において「保存料や殺菌料を使ってはいけない」と定められているため、そもそもこれらの食品添加物は使用することができません。では、どのようにして長期保存を可能にしているかというと、その秘密は製造工程にあります。
これらの食品は、中身を容器や包装に詰めた後、蒸気を吹きかけて内部の空気を追い出します(脱気)。それから空気・水・細菌などが内部に侵入しないよう完全密封をします。完全密封をした後に、殺菌機(高圧殺菌釜:レトルト)による「加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)」をして、ボツリヌス菌などの細菌や微生物を死滅させます。こうすることによって内部が無菌状態となり、腐敗せずに長期の保存が可能になるわけです。
ちなみに、加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)とは、100℃を超える高温で殺菌する方法のことです。通常の加熱では水蒸気やお湯は100℃までが限界ですが、高圧殺菌釜(レトルト)を使って圧力を加えれば、それ以上の高温で加熱処理をすることができます(加熱温度と加熱時間は、中身の種類によって変えられます。例えば、果物やジャムなどの缶詰・びん詰などは、酸が多いため、100℃以下の温度で短時間の殺菌を行うことになります)。
「缶詰、びん詰、レトルト食品」は、細かく分類するとかなりの種類がありますので、一概に上記の製造工程を経ているとは言えません。また、保存食の種類も多くあり、定義の違いによっては、保存料を使用したものもあるでしょう。しかし、大切なことは「食品添加物の使用を抑えた食品」を自分で選んで食べるということです。
上記のような食品の他に、日本トリムでは食品添加物の使用をできるだけ抑えた「PANCAN(パンキャン)×TRIM」という商品を販売しています。本商品は特殊な製法により防腐剤を一切含まず、焼きたてのようにやわらかい食感のまま長期保存が可能な非常食として活用できる「安心・安全のパンの缶詰」です。おいしくて安全な防災備蓄食をお探しの方は、ぜひ一度検討されてみてはいかがでしょうか。
※「PANCAN(パンキャン)×TRIM」をお求めの方は、こちらのURLより公式ショッピングサイトへ移動できます。https://shop.nihon-trim.co.jp/imfine/detail/104
さいごに
食品添加物は「人類の知恵の結晶」であり、私たちの食生活を豊かにしてくれます。私たちが高栄養な食品をいつでも安価で食べられるのは、食品添加物のおかげと言っても良いでしょう。
しかし、まだ解明されていない不明瞭な領域があるのも事実で、その点については慎重に向き合う必要があります。食品添加物を「必要以上に摂取しない」ようにするためにも、引き続き自主的な「情報収集」と「選別購入」を心掛けましょう。
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参考文献
食品衛生の窓「食品添加物の分類」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/shokuten2.html
アサマ化成株式会社「食品添加物基礎講座 (その1)もう一度食品添加物を見直そう」
https://www.asama-chemical.co.jp/TENKAB/YUKAWA1.HTM
地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所「おうち時間に食品添加物への理解を深めよう」
http://www.iph.osaka.jp/s010/030/020/010/20211014190213.html
厚生労働省「既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/kizon/index.html
三栄源エフ・エフ・アイ「食品添加物の基礎知識」
https://www.saneigenffi.co.jp/whats/
一般社団法人 日本食品添加物協会「食品添加物の社会的役割」
https://www.jafaa.or.jp/yakuwari
厚生労働省「食品添加物「アカネ色素」及びこれを含む食品の取り扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0618-1.html
内閣府 食品安全委員会「添加物に関する食品健康影響評価指針」
https://www.fsc.go.jp/senmon/tenkabutu/index.data/tenkabutu-hyouka-shishin.pdf
大阪検疫所食品監視課ホームページ「食品別の規格基準(容器包装詰加圧加熱殺菌食品)」
https://www.forth.go.jp/keneki/osaka/syokuhin-kanshi/foodstandard_youkihousoudumekaatsukanetsusakkinshokuhin.html
公益社団法人 日本缶詰びん詰レトルト食品協会「缶詰、びん詰、レトルト食品の特徴」
https://www.jca-can.or.jp/useful/about/distinction
公益社団法人 日本缶詰びん詰レトルト食品協会「缶詰、びん詰、レトルト食品の作り方」
https://www.jca-can.or.jp/useful/about/howto
書籍「たべもの食べ方事典」阿部絢子 著
書籍「がんになる29の添加物を食べずに生きる方法」渡辺雄二 著
書籍「食品の裏側 みんな大好き食品添加物」安部司 著