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水出し緑茶の作り方・効能とは

緑茶と聞くと、皆さんはどのようなお茶をイメージしますか?多くの方は、温かいお茶をイメージするかもしれません。しかし緑茶には、お湯で淹れたもの以外にも、水で淹れた「水出し緑茶」というものがあります。

水出し緑茶には、温かい緑茶や温かい緑茶を冷ましたり冷やしたりして作られたものとは異なる健康効果が期待できます。また、味やノドゴシにおいても、温かい緑茶とは大きく異なるため、ある意味「別のドリンク」として楽しむこともできます。今回は「水出し緑茶」の作り方と特徴、アレンジレシピなどについてご紹介していきたいと思います。

水出し緑茶の基本的な作り方

水出し緑茶は、温かい緑茶と同じくらい簡単に作ることができます。大きく異なる点は、「水で淹れる」か「お湯で淹れる」かの違いだけです。たっぷり飲みたい人や家族全員分を作りたい人は大きめの容器を、食後の一杯など少しだけ飲みたい人はカップサイズの小さい容器を準備し、それらに茶葉を入れて「常温水」または「冷水」を注ぎます。しばらくして、ある程度の色味がつけば完成です(具体的な分量や時間については後述)。

茶葉を容器に直接入れ、飲む際に茶こし(ティーストレイナー)でこす作り方の他、ティーパックに茶葉をつめ、それを容器に入れて作る方法もあります。茶葉を捨てたり、茶こしを洗ったりすることを考えれば、あらかじめティーパックに茶葉をつめてから作った方が、多少は手間が省けて良いかもしれません。

容器(ボトル・カップ・急須など)や茶こし、ティーパックなどの道具類は、百円ショップに行けばたいてい揃えることができます。ただ、お茶は「色」や「器」、「淹れ方」なども楽しめる飲み物です。水出し緑茶においては、見た目に涼しげなガラス製のカップや急須を使って演出してみるのも良いかもしれません。また、最近ではワインボトル型のおしゃれな容器も販売されていますので、パーティーやちょっとした集まりの場では、雰囲気づくりとして面白いかもしれません。

容器を購入するにあたり、ある程度の「目安」があった方がいいと思われる方は、下記を参考にしてみて下さい。

容器購入時の目安

【大きめ:1~2ℓサイズの容器】
・いわゆる「麦茶ボトル」でも代用可
・冷蔵庫のドアポケットに収まるサイズだと便利
・フタが密閉タイプのものなら、横にねかせてもこぼれない
・フタが密閉タイプのものなら、上下に振って混ぜられる
・容器のくちは、手が入るサイズだと洗いやすい
・フタ部分に茶こしがついているタイプもある(フィルターインボトル)
・プラスチック製だと割れにくく安価(100円ショップにもある)

【小さめ:カップサイズまたは急須サイズの容器】
・保冷を考慮するならステンレス製のマグカップ(サーモステンレスマグなど)
・転倒、保存、衛生面を考慮するならフタつき
・見た目をオシャレにするならガラス製の急須などもある
・携帯性を考慮するなら750㎖くらいの「茶こし付き水筒」もある

水出し緑茶を作るポイント

基本的な作り方や道具は上記の通りですが、味の微妙な調整をする際には次のポイントを考慮するとよいでしょう。

①【茶葉の種類】
緑茶には「玉露、碾茶、抹茶、釜炒り茶、煎茶」など多くの種類がありますが、最初は180グラム1,000円くらいの安い煎茶(せんちゃ)が良いでしょう。徐々に茶葉のグレードを上げていくことで楽しみが増えていきますし、スタンダードな煎茶との違いも分かります。ただ、煎茶だけでも産地や蒸し加減(深蒸し・浅蒸し)、一番茶二番茶といった収穫時期など、色々なバリエーションがありますので、まずは煎茶のそういった違いを飲み比べてみるのも良いかもしれません。また、茶葉専門店ではオリジナルブレンド茶葉をおいているところも多く、店ごとに違った味を楽しむこともできます。

②【茶葉の量】
水出し緑茶を自分好みの味に調整するには、まずは「茶葉量の基準」を決めておくことが大切です。「大さじ1=5g」、「小さじ1=3g」という大よその目安がありますが、キッチンスケールなどを使って、都度グラムをはかってから作れば、より正確に自分好みの味を確立することができます。とりあえずは、下記の量を基準にして一度作ってみましょう。

・水300㎖──茶葉5g
・水600㎖──茶葉10g
・水900㎖──茶葉15g

③【水の温度】
常温の水で作ることもできますし、冷蔵庫などで冷やした「冷水」で作ることもできます。また、茶葉の上に氷をのせ、そこへ水を注いで作る方法もありますし、完全に氷だけを使用して時間をかけて抽出する方法(氷出し茶)もあります。使用する水の温度が低いほど、水出し緑茶の味は甘くなります。ただ、あまりに冷たいものは体を冷やすことにもなりますので、一度にたくさん飲むことは避けましょう。

④【抽出時間】
抽出時間も上記②③のポイントと同じく、特に決まりはありません。さっぱりと爽やかな水出し緑茶が飲みたければ、比較的短い時間で。複雑でしっかりとした味わいの水出し緑茶が飲みたければ、比較的長い時間をかけて抽出して下さい。抽出の度合いは、上記のポイント(①~③)の変動によっても異なりますので、もしも「時間」で抽出度合いを判断できないような場合には、お茶の「色味」をみて判断してもよいでしょう。とりあえずは、下記の時間を基準にして一度作ってみましょう。

・水300㎖──茶葉5g──冷蔵庫で15分
・水600㎖──茶葉10g──冷蔵庫で30分
・水900㎖──茶葉15g──冷蔵庫で45分
(※衛生保存の観点からも、水出し抽出は冷蔵庫内で行うようにしましょう)

上記4つのポイントは、あくまでも参考例です。作り方には厳密な決まりはありませんので、料理やシチュエーションに合わせた、様々な風味の水出し緑茶を作ってみてはいかがでしょうか。

水出し緑茶の特徴・メリット

緑茶を「水出し」することによって期待できる効果は、風味の変化だけではありません。水出し緑茶には、温かいお茶とは異なるメリットがあります。どのようなものがあるか見てみましょう。

免疫力が上がる

緑茶には4種類のカテキンが含まれています。そのうち「エピガロカテキンガレート(以下、EGCG)」と「エピガロカテキン(以下、EGC)」という名のカテキンは特に重要で、後者のEGCにおいては、免疫力を高める作用があり、お湯出しよりも水出しすることで、その効果が高まります。

ぐっすり眠れる

水出し緑茶は温かい緑茶に比べると、抽出されるカフェイン量が少ないため、睡眠を妨げません。また、テアニンという旨み成分(アミノ酸の一種)が多く溶け出し、その成分の「リラックス作用」によって、質の良い睡眠を得られます。

熱中症を予防する

水出し緑茶は、タンニンやカフェインの抽出量が少なく体内での吸収も良いため、マラソンランナーやアスリートの水分補給にも適しています。「バテない」「体の回復が早い」といった声があったことからも、旭化成陸上部では1989年以来、練習中や競技での水分補給ドリンクとして水出し緑茶が採用されているそうです。

認知症を予防する

先述したテアニンという成分は、認知症の予防にも役立ちます。金沢大学・山田正仁教授の研究チームが行った5年間にも及ぶ追跡調査によれば、緑茶を飲む頻度が高い人ほど、認知症になりにくいという結果がでています。

インフルエンザを予防する

唾液に含まれる抗菌物質の1つ「IgA:免疫グロブリンA」。水出し緑茶に多く含まれるEGCをとることで、IgAの分泌が促進されます。その結果、口内から侵入する細菌やウイルスの体内侵入や増殖を防ぎ、インフルエンザやカゼなどを予防します。

水出し緑茶が美味しくなる淹れ方

水出し緑茶を毎日作って毎日飲むからには「できるだけ簡単」で、「できるだけ美味しい」方がベターです。実はその両方をかなえるオススメの方法があります。それは「電解水素水の活用」です。

電解水素水とは、「整水器」という家庭用の管理医療機器からつくられるお水です。整水器内部にある浄水フィルターで、水道水中の物質をしっかり取り除き、さらに電気分解をすることで、水素を含んだアルカリ性の電解水素水がつくられます。

電解水素水は単なる浄水とは異なり、口あたりがなめらかです。そのため、水出し緑茶の甘味との相乗効果で、より美味しいドリンクを作ることができます。また、この水は水道水や浄水よりも格段に抽出力が高いため、抽出時間の短縮ができるだけではなく、茶葉がもっている本来のうま味や香りをしっかりと引き出してくれるのです。

水出し緑茶のおすすめアレンジ

水出し緑茶は、茶葉だけでも実に多くのバリエーションがありますので、そういった意味ではなかなか飽きのこないドリンクといえます。ただ、お子様へのジュースとして、または、来客や友人へのお茶出しとして、趣向を凝らしたアレンジレシピをいくつか知っておけば、それを種に話が盛り上がるかもしれません。

以下では、ハーブを用いた「水出しハーブ緑茶」のバリエーションをいくつかご紹介します。水出しハーブ緑茶は、水出し緑茶の甘味にハーブの爽やかさがプラスされ、とてもすがすがしいドリンクです。また、ハーブ特有の青臭さが緑茶によって抑えられているため、普通のハーブティーよりも飲みやすくなっています。

使用するハーブはドライハーブでもかまいませんが、生のハーブの方がよりフレッシュな風味を味わえます。下記に出てくるハーブ類は、全国の「ハーブショップ」または「ハーブガーデン」などでも購入できます。

(※ハーブ名の横にある数字は「割合」です。ハーブの量はお好みでOKです)
(※茶葉や水の量は、作りたい量に応じて変えて下さい)

水出しハーブ緑茶 ~アレンジレシピ①~

美肌効果があることで知られるローズヒップと吹き出物などを防いでくれるジャーマンカモミールをベースにした飲みやすいドリンクです。

【材料】
・ジャーマンカモミール(3)
・マリーゴールド(1)
・ローズヒップ(3)
・ローズレッド(2)
・マロウ(1)
・茶葉2g
・水400㎖
・氷2~3個

【作り方】
 容器に「ハーブ、茶葉、水、氷」を入れてフタをします。冷蔵庫内で30分ほど抽出させれば完成です。

水出しハーブ緑茶 ~アレンジレシピ②~

花粉症の症状を和らげるドリンク。エルダーフラワーのお茶は、カゼの引き初めにも効果的。ユーカリの液にも抗菌効果があります。

【材料】
・ネトル(3)
・エルダーフラワー(3)
・ペパーミント(2)
・ユーカリ(1)
・タイム(1)
・茶葉2g
・水400㎖
・氷2~3個

【作り方】
上記の作り方と同じ。

水出しハーブ緑茶 ~アレンジレシピ③~

仕事や勉強など、集中力を高めたい時などに適したドリンクです。食後のお茶にすると、爽やかな香りと酸味が、口の中を爽快にしてくれます。

【材料】
・ローズマリー(2)
・レモングラス(4)
・ペパーミント(4)
・茶葉2g
・水400㎖
・氷2~3個

【作り方】
上記の作り方と同じ。

水出しハーブ緑茶 ~アレンジレシピ④~

ハイビスカスやレモン系のハーブには、クエン酸(疲労物質である乳酸を解消する働きをもつ)がたくさん含まれています。また、これらのハーブの香りは、脳の中枢神経にも作用して疲労感を除いてくれる働きがあります。

【材料】
・ハイビスカス(2)
・ローズマリー(1)
・ペパーミント(1)
・レモングラス(3)
・ローズヒップ(3)
・茶葉2g
・水400㎖
・氷2~3個

【作り方】
上記の作り方と同じ。

さいごに

「茶は養生の仙薬なり。延命の妙術なり」。これは日本に臨済宗を伝えた栄西という僧が、今から約800年前に「喫茶養生記」という書でお茶の効果を説いた言葉です。今から約800年前、つまり鎌倉時代にはお茶は健康効果の高い「仙薬(特に効き目がある薬)」として、非常に珍重されていました。

現代では、緑茶はとても身近なものとなり、スーパーなどでも比較的安く手に入れることができるようになりました。また、様々な栄養成分や飲み方のバリエーションも見いだされ、趣向や用途によって「飲み分ける」こともできるようになっています。

水出し緑茶には、温かい緑茶とは異なる特有の味や効果があります。ぜひ一度、本記事でご紹介した作り方やアレンジレシピを参考に美味しい水出し緑茶を実感してみて下さい。


参考文献

日本味覚協会「味覚ステーション:「緑茶」と「抹茶」と「グリーンティー」の違いとは?」

https://mikakukyokai.net/2021/02/27/matcha/

リクルート「メシ通:お茶とは“エンタメ”だ。この夏常備したい「水出し緑茶」の淹れ方&アレンジ術を、鹿児島のお茶研究家に伝授してもらった」

https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/chie-yokota/2021-00528

園部製茶「絶品 氷出し緑茶の作り方」

https://kiyama-web.jp/sonobeseicha/Diary/Pub/Shosai.aspx?AUNo=185&KjNo=5

金沢大学「緑茶を飲む習慣と認知機能低下との関連を発見!」

https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/3458

書籍「からだに効くハーブティー図鑑」板倉弘重 著

書籍「水出し緑茶でやせる!免疫力がアップ!」マキノ出版