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PFCバランスが重要!理想的なPFC摂取量の計算方法

健康的な毎日を送るためには、運動・睡眠と並んで食生活を整えることが重要です。

食生活を整えるためには、バランスの良い食事をとることや食べる時間帯に注意すること、カロリーの過剰摂取を控えることなどが挙げられます。
特に、近年は生活習慣病の罹患に対する警告が強く叫ばれていることもあり、カロリーの過剰摂取については注意をしている人も多いのではないでしょうか。

確かに、カロリーの過剰摂取を避けることは健康管理のうえで大切なことですが、誤ったカロリー制限や過度なカロリー制限は逆に体調を崩してしまいます。
闇雲にカロリーの摂取量を減らすのではなく、カロリーの元になっている栄養素の「種類」や「量」を考慮してバランスをとる必要があります。
そして、このバランスを数値として分かりやすく示してくれるのが「PFCバランス」です。

今回は適正なカロリー制限をサポートする指標「PFCバランス」について解説をしていきます。

PFCバランスとは

PFCバランスとは、1日の摂取エネルギー(カロリー)に対して、「タンパク質・脂質・炭水化物」の割合が、どのくらいあるのかを示した指標です。
先頭に並んでいる「P・F・C」のアルファベットは、三つの栄養素を表しています。

・P = Protein(タンパク質)
・F = Fat(脂質)
・C = Carbohydrate(炭水化物)

この三つの栄養素は一般的に「3大栄養素」と呼ばれていますが、エネルギーを産生する性質を持っていることから「エネルギー産生栄養素」と呼ばれることもあります。
エネルギーを作り出す栄養素は「炭水化物」や「脂肪」が有名ですが、実は「タンパク質」もその一つなのです。
カロリー制限を行う場合には、一つの栄養素を極端に制限するのではなく、これら三つの栄養素を考慮した上でバランスよく制限する必要があります。

3大栄養素の重要性

炭水化物と脂質は何かにつけて悪者にされがちですが、実は人体にとって欠かすことのできない重要な栄養素です。
ここではタンパク質も含め、3大栄養素の重要性について解説をしていきます。

P(Protein)=タンパク質

タンパク質は、皮膚や筋肉、内臓、血色素、酵素、ホルモン、免疫タンパク質などの構成成分や、血液の浸透圧の維持に使われます。
中でも、タンパク質の摂取によって筋肉量を維持することは、基礎代謝や体温を維持することにも繋がり、ひいては太りにくい体を作ることにも貢献します。
また、タンパク質は体を動かすエネルギー源としても使用され、1gで4kcalのエネルギーを生み出すことができます。
仕事が忙しくて欠食しがちな人、ダイエットをしている人、日常的に体を動かしている人などは不足していることが多いので、意識的に補給するようにしましょう。

【多く含む食品】
肉、魚、卵、大豆など

F(Fat)=脂質/脂肪

脂質は、細胞膜や性ホルモン、皮脂の原料となるほか、体温調整をしたり、脂溶性ビタミン(A・E・D・K)の吸収を助けたりする働きを持っています。
また、体を動かすエネルギー源としても使用され、1gで9kcalのエネルギーを生み出すことができます。
脂質を摂取するにあたっては、できるだけ「質」にこだわるようにしましょう。
体の健康を重視するのであれば、ショートニングやマーガリンなどのトランス脂肪酸を避け、えごま油やオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を選ぶようにするとよいでしょう。

【多く含む食品】
チーズなどの乳製品、油脂類、種実類など 

C(Carbohydrate)=炭水化物

炭水化物は1gで4kcalのエネルギーを生み出す栄養素で、食物繊維と糖質からできています。
このうち食物繊維は人間の酵素では消化されないため、ほとんどエネルギー源にはなりません。
一方、糖質はほとんどがブドウ糖(グルコース)に変化し、それから酸化分解されてエネルギー源になったり、脂質やアミノ酸の合成材料になります。
ブドウ糖は身体の活動を支える重要なエネルギー源ですが、最大の役割は脳の活動を正常に維持することにあります。
他の臓器や筋肉では、タンパク質や脂質もエネルギー源となりますが、脳のエネルギー源はほとんどがブドウ糖です。
そのためブドウ糖が不足すると、思考力や集中力が低下して、仕事や勉強がはかどらなくなります。
また、体内でブドウ糖が不足すると、体は脂肪を分解してエネルギーを作ろうとします。
それでもなおエネルギーが不足していると、次は筋肉を分解してエネルギーを作ろうとするため、筋肉量が減少します。
筋肉量が減少すると、基礎代謝が低下し、それと同時に体温も低下しやすくなります。
筋肉量の減少によって体温が低下してくると、体は体温維持のために脂肪をため込もうとし、結果的には痩せにくい体となってしまいます。
つまり、炭水化物の摂取を極端に減らすと、脳は正常に働かなくなり、体も太りやすくなるのです。

【多く含む食品】
ごはん、パン、麺類、糖類、穀類など

理想的なPFC摂取量を計算しよう

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、エネルギー産生栄養素バランス[※1]を次のように提示しています(15~74歳の男女)。

・タンパク質 ── 13~20%[※2] ・脂質 ── 20~30%
・炭水化物 ── 50~65%

ただし、上記の数値は「生活習慣病の発症予防と重症化予防」を目的とした上での割合であり、範囲に関しては概ねの値を示しています。

目的が「ダイエット」や「ボディービル(筋肥大)」などの場合には、その目的にあった割合に変える必要があります。
以下の計算プロセスは、ダイエットを目的とした場合の「PFCバランスの計算方法」です。
ポイントは「筋肉を落とさないようにしながら体脂肪を落とすこと」です。

ここではひとまず「体重80kgの男性」をモデルケースとして、計算を進めていきたいと思います。

※1. 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より、“PFCバランス”から“エネルギー産生栄養素バランス”に改名
※2.  50~64歳は14~20%、65~74歳は15~20%

①「除脂肪体重」を算出する

除脂肪体重とは「脂肪の重量を除いた体重」のことです。
これを算出するには、体脂肪率を計測できる機器(体脂肪計など)が必要となります。

仮に体脂肪率が25%だった場合、計算は以下のようになります。

80kg × 0.25(25%)= 20kg(脂肪の重量)
80kg - 20kg = 60kg(除脂肪体重)

★★★ MEMO! ★★★
【除脂肪体重  60kg】

②「目安摂取カロリー」を算出する

1日に摂取すべきカロリーの目安(以下「目安摂取カロリー」と呼ぶ)を算出するには、除脂肪体重に「40kcal」を掛けます。
この「40kcal」という数値は、一般的な活動レベルに合わせた目安の定数になります。

60kg × 40kcal = 2400kcal(目安摂取カロリー)

★★★ MEMO! ★★★
【目安摂取カロリー 2400kcal】

③「P:タンパク質」の摂取量を算出する

「筋肉を落とさないようにしながら体脂肪を落とす」には、タンパク質をしっかりと摂る必要があります。
従って、脂質や炭水化物よりも、まずはタンパク質の摂取量の算出が優先されます。

今回の場合、1日のタンパク質の摂取量は「除脂肪体重 × 2~3g」を目安にするとよいでしょう。

60kg × 2~3g = 120~180g(1日のタンパク質の摂取量)

ちなみに、算出した「1日のタンパク質の摂取量」をカロリーに換算すると、次のようになります。

120~180g × 4kcal(タンパク質1g当たりのエネルギー価)= 480~720kcal

つまり、目安摂取カロリー2400kcalのうち480~720kcalは、タンパク質から摂取するのが望ましいということになります。

★★★ MEMO! ★★★
【P:タンパク質の摂取量 120~180g(480~720kcal)】

④「F:脂質」の摂取量を算出する

脂質の摂取量を算出するには、まず「脂質から摂取すべきカロリー」を算出することから始めます。  
脂質から摂取すべきカロリーは、「目安摂取カロリーの15~20%」が目安となり、計算すると次のようになります。

2400kcal × 0.15~0.2(15~20%)= 360~480kcal(脂質から摂取すべきカロリー)

これを摂取量に換算すると、次のようになります。

360~480kcal ÷ 9kcal(脂質1g当たりのエネルギー価)= 40~53g[※]

★★★ MEMO! ★★★
【F:脂質の摂取量 40~53g[※](360~480kcal)】

※. 53gについては小数点以下を切り捨てております

⑤「C:炭水化物」の摂取量を算出する

炭水化物から摂取すべきカロリーは、目安摂取カロリーからタンパク質と脂質のカロリー数値を引けば、求めることができます。

2400kcal -(480~720kcal + 360~480kcal)= 1200~1560kcal

これを摂取量に換算すると、次のようになります。

1200~1560kcal ÷ 4kcal(炭水化物1g当たりのエネルギー価)= 300~390g

★★★ MEMO! ★★★
【C:炭水化物の摂取量 300~390g(1200~1560kcal)】

⑥算出結果をまとめる

上記の各項で控えておいた「MEMO!」をまとめると、以下のようになります。   

【除脂肪体重 60kg】
【目安摂取カロリー 2400kcal】
【P:タンパク質の摂取量 120~180g(480~720kcal)】
【F:脂質の摂取量 40~53g(360~480kcal)】
【C:炭水化物の摂取量 300~390g(1200~1560kcal)】

 ※炭水化物の摂取量は、タンパク質や脂質の実際の摂取量に合わせてバランス調整するようにして下さい。   

本来PFCバランスは「比率」や「割合(%)」を示す指標になりますが、実際に活用するにあたってはグラム換算やカロリー換算をしておいた方が実用的でしょう。

PFCバランスを考慮した食生活のポイント

PFCバランスを考慮した食生活では、どういったことがポイントとなるのでしょうか。
それぞれ見ていきましょう。

タンパク質の過剰摂取に気をつける

健康的にダイエットをしたり、たくましい体づくりをするためには、タンパク質をしっかりと摂取する必要がありますが、過剰な摂取は肝臓や腎臓に負担を与えてしまいます。
肝臓はタンパク質の分解過程で発生する有害なアンモニアを、無害な尿素に変換するために働きます。
そして、腎臓はその尿素を体外に排出するために働きます。

つまり、タンパク質の過剰摂取は、肝臓や腎臓のオーバーワークを招き、ひいては体のコンディションが低下する原因にもなるのです。
さらに、タンパク質を過剰に摂取し続けると、体内のカルシウムが排出されやすくなるため、骨量の低下が進み、最悪の場合、骨粗しょう症になってしまうことも考えられます。

炭水化物(糖質)は空腹状態で摂取しない

炭水化物(糖質)を空腹状態で摂取すると、血糖値が急激に上昇してしまいます。
血液が高血糖状態になると、膵臓からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌されます。
インスリンには血糖値を正常に保つ働きがあり、その働きによって上昇した血糖値は下げられますが、高血糖状態から急激に血糖値が下がると、強い空腹感を覚えるようになります。
この強い空腹感が過食を招き、ひいてはメタボや肥満症を誘発することにもなるのです。

良質な脂質(油脂)を摂取する

油脂にはいくつかの種類があり、体に良いものや、そうでないものがあります。

簡単に説明すると、油脂は「脂肪酸」と「グリセリン」からできており、そのうち脂肪酸は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」とに大別されます。
人によっては「飽和脂肪酸=悪、不飽和脂肪酸=良」といった認識を持っていることもあるようですが、必ずしもそうとは言い切れません。
たとえば、飽和脂肪酸の中にも「ココナッツオイル」のように体に良いとされる油脂もありますし、逆に不飽和脂肪酸の中にも「トランス脂肪酸」のように体に悪いとされる油脂もあります。

いろいろな脂肪酸がある中で、身近で安価な良質脂肪酸といえば、青魚に含まれる「オメガ3系脂肪酸」が挙げられるでしょう。
オメガ3系脂肪酸には、心筋梗塞や動脈硬化、虚血性心疾患などを予防する効果が期待でき、他にも脳の活性化や内臓脂肪の燃焼にも役立つと言われています。
また、青魚を食べるとオメガ3系脂肪酸を摂取できるだけではなく、タンパク質も一緒に摂ることができるため、そういう意味でもオススメです。

さいごに

PFCバランスは、目的や体質、運動レベルなどに合わせて調節して下さい。
また、設定したPFCバランスを一定期間試してみて、体調や体形などに良い実感を得られないようであれば、そのタイミングで再調節をしても良いでしょう。

大切なことは、食事内容をしっかり把握しようとする積極的な姿勢です。
常に計算機を持ちながら食事管理をする必要はありませんが、自分がいま「過食状態」にあるのかどうか、または「偏食状態」にあるのかどうかを、大まかにつかんでおくことは大切です。
PFCバランスは、そういった判断を容易にしてくれる便利な指標です。

ぜひ一度、献立を考える際にPFCバランスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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参考文献

EPARKくすりの窓口「PFCバランスって気にしてる?理想のPFCバランスとサポート商品 5選」

https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/pfc-balance/

おいしい健康「脂質は身体に「良い」の?「悪い」の?」

https://oishi-kenko.com/articles/nutrition_lipid

安部製菓株式会社「脳の大切なエネルギー源」

https://www.abeseika.co.jp/topics/detail/11

クラシエ「脂肪燃焼コラム:基礎代謝量・エネルギー量の計算方法とは?筋肉量との関係や1日に必要なカロリーの考え方」

https://www.kracie.co.jp/ph/coccoapo/magazine/09.html

ORICON NEWS「PFCバランスは必要?理想的な食事メニューや計算方法を紹介」

https://www.oricon.co.jp/special/57929/

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

肉のみやび「牛肉の脂肪は体に悪い?不飽和脂肪酸と牛肉」

https://niku-miyabi.com/news/beef-fatty-acid/

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