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暖房の乾燥対策!エアコンによる湿度低下を防ぐには

冬になると外出することが少なくなり、家にこもりがちです。
エアコン暖房が効いた室内では、薄着でも凍えることなくノビノビと快適に過ごすことができます。
しかし、そんな快適な室内環境において、唯一気になってしまうのが「乾燥」ではないでしょうか。

乾燥は肌をカサカサにし、喉をカラカラにします。
しかし、だからといって暖房を切るわけにもいきません。
室内を暖めつつ乾燥を防ぐには、一体どのような対策が効果的なのでしょうか。

今回は「エアコン暖房による乾燥(湿度低下)」の防ぎ方について解説をしていきます。

なぜ暖房で乾燥するのか?

なぜ暖房で乾燥するのか──。
この疑問を解消するためには「空気の性質」と「相対湿度」を理解する必要があります。

まずは「空気の性質」から見ていきましょう。
空気中には水分が含まれていますが、空気が含むことのできる(持てる)水分量は、温度によって変化します。

■ 温度が低い・・・空気が持てる水分量は少なくなる
■ 温度が高い・・・空気が持てる水分量は多くなる

とりあえず、ここでは「空気にはこのような性質がある」ということだけ覚えておいて下さい。

次に「相対湿度」について見ていきましょう。
相対湿度とは、ある温度の空気が持てる最大限の水分量に対して、実際に持っている水分量の割合を示したものです。
例えば、相対湿度25%という状態は、空気が持てる最大水分量の1/4しか水分がない状態を示しています。
相対湿度50%なら、空気が持てる最大水分量の半分を満たしている状態、相対湿度100%なら、空気が持てる最大水分量のすべてが満たされている状態ということになります。

50%や100%ときくと、とても潤っているよう印象を持たれるかもしれませんが、それは一概に言うことはできません。
なぜなら「空気の性質」が示すとおり、温度によって空気が持てる水分量は異なるからです。
つまり、寒い空間の相対湿度50%(または100%)と、暖かい空間の相対湿度50%(または100%)とでは、空気中に含まれる絶対的な水分量が異なるのです。

これらのことを室内環境にあてはめながら考えてみましょう。
気温が低い冬においては、外気(空気)が持てる水分量は少なくなり、実際に持っている量も比較的少量です。
このような外気を室内にとじこめて、ひたすらエアコンで加熱し続けると、どうなるでしょうか。
当然ながら、室温が上がるにつれて、空気が持てる水分量がどんどん多くなります。
しかし、室内に存在する水分量は依然として少ないままなので、相対的に湿度は下がることになります。

相対湿度が低い状態というのは、室内の空気が「水分に飢えている状態」と言い表すこともできます。
この水分に飢えた空気たちが、私たちの体(鼻や喉など)にある水分を奪いにくることになるのです。
一般的には、この状態を指して「室内が乾燥した」と表現しているため、ここでも同じ表現で話を進めていきたいと思います。

エアコンの暖房は特に乾燥しやすい

暖房機器の定番といえば、エアコン以外にも「ガスファンヒーター」や「石油ストーブ」が挙げられます。
どちらもエアコンと同様に室内を乾燥させるイメージがあるかもしれませんが、実はそれほど乾燥は気になりません。
この2つの暖房機器の燃料(ガス・石油)は、燃焼する際に二酸化炭素と一緒に水蒸気も発生させます。
つまり、室内の温度を上げると同時に加湿も行っているわけです。

これに対してエアコンは暖かい空気を送り出しているだけですので、室内の乾燥は進む一方です。
加湿をせずに単に室内の空気を暖めるエアコンは、室内を乾燥させやすい暖房機器の代表格といえるでしょう。

乾燥によって起こること

室内が乾燥すると肌は水分を奪われて、徐々にカサついてきます。
さらに乾燥が進むと、いわゆる「乾燥肌」という状態になり、服がこすれたり、髪がかかったりするだけでも、かゆみを覚えるようになります。
かゆみに反応して肌をかいてしまうと一時的にかゆみは治まりますが、暫くするとさらに強いかゆみに襲われて、場合によってはヒリヒリとした痛みを感じるようにもなります。

室内が乾燥することによって影響を受けるのは「肌」だけではありません。
他にも「唇・目・髪・頭皮」などが挙げられます。
唇はひび割れ、目はドライアイになり、髪はまとまりがなくなって、頭皮からはフケがでやすくなります。
また、鼻や喉などにある「粘膜」も乾燥によって影響を受けます。乾燥によって粘膜が弱ると、抵抗力が落ちて、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。
つまり、風邪やインフルエンザをはじめとした、さまざまな感染症へのリスクが高まるのです。

このことはウイルスにとって好都合ですが、室内の乾燥状態はウイルスにもう一つ有利な条件を与えます。
それは、ウイルスが身軽になることで拡散範囲が拡大されるということです。
ウイルスは、感染者の口から出る飛沫(くしゃみ、せき、呼気の中に含まれているしぶき)の中にも多く含まれていますが、この状態のウイルスは水分の重さがあるため、あまり遠くまで飛散されません。
しかし、乾燥した空気によって水分が取り除かれると、ウイルスは身軽になり、より遠くへ飛散されることになります。
つまり、空気が乾燥することによって、ウイルスの拡散範囲(感染リスクエリア)が拡大されるのです。
このような形で拡散されたウイルスに感染することを「空気感染」と呼びます。
人が密集する市街地などでは、こういった感染経路に注意するよう、ニュースでも度々さけばれていますが、このような問題は「屋外」だけが対象となっているわけではありません。
ご家族への二次感染ということを考慮すると、室内に置いても十分に警戒すべき問題と言えるでしょう。

湿度低下(乾燥)を防ぐ為に

乾燥した室内ではウイルスの感染リスクが高まります。
症状が軽い風邪のような感染症であれば罹患してもそれほど大きな問題にはなりませんが、感染症の中には新型インフルエンザなど重症化の恐れがある感染症もあります。
また、季節性のインフルエンザであっても、乳幼児や妊婦、高齢者、基礎疾患をお持ちの方などは、後遺症や合併症、そして場合によっては死に至る危険性もありますので、室内の湿度管理をおろそかにすることはできません。

以下の3つの乾燥対策は誰でも簡単に行うことができますのでオススメです。

加湿器を置く

加湿器と一口に言ってもその種類はさまざまです。
安価なものであれば、百円ショップなどでもカップサイズの加湿器が販売されていますので、卓上用として購入するのも良いでしょう。
しかし、広い部屋を十分に加湿したい場合や、長時間使用したい場合には、家電量販店などで販売されているようなしっかりとしたものを購入した方が良いでしょう。

【加湿器の種類】

超音波式 超音波の振動でミストを発生させ、そのミストに風をあてて空気中に拡散させます。
スチーム式(加熱式) ヒーターで水を沸騰させ、その水蒸気をファンで空中に送り出して拡散させます。
ハイブリッド式(加熱気化式) 水を含ませたフィルターに温風をあてて、気化した水分を放出します。
気化式 水を含ませたフィルターに風をあてて、気化した水分を放出します。

部屋干しをする

洗濯物を室内に干して加湿する方法もあります。    
「室内の加湿」と「洗濯物の乾燥」が同時にできるため、効率的で便利です。

また「エアコンハンガー」という便利グッズを使用すれば、洗濯物にエアコンの風を直接あてることができるため、よりスピーディーに室内加湿や洗濯物の乾燥を行うことができます。
ただし、洗濯物が完全に乾き切ってもパッと見ではそれが分かりにくいので、長時間の暖房による乾燥には気をつける必要があるでしょう。

水分補給をする

肌の乾燥は、必ずしも室内の乾燥だけが原因となるわけではありません。
あまり知られてはいませんが、実は体内の水分量が減少しても肌は乾燥してしまうのです。
そのため、室内の加湿や肌の保湿といった「外側のケア」を行いつつも、水分補給で「内側のケア」も行うことが理想的とされています。

▼以下ページでは「体内水分量」と「乾燥肌」の関係性について解説をしています。
「乾燥肌には水分補給!乾燥を防ぐ上手な水分補給の仕方とは」
 https://www.nihon-trim.co.jp/media/28407/

さいごに

適切な湿度コントロールは室内の乾燥を防ぐだけではなく、省エネにも役立ちます。
たとえば、室内温度を同じにした部屋が2つあった場合、湿度の高い部屋の方が「暖かさ」を感じやすくなります。
温度20度で、湿度「20%」の部屋では寒く感じやすい。
温度20度で、湿度「50%」の部屋では暖かく感じやすい。

つまり、室内の湿度を上げると「体感温度」が上がるため、少しくらい温度設定を下げても十分に快適な状態でいられるのです。
暖房機器の光熱費を抑えるためにも適切な湿度コントロールを行い、省エネを意識するようにしましょう。


参考文献

ダイキン工業株式会社「空気の困りごとラボ|乾燥の困りごとと解決法」

https://www.daikin.co.jp/air/life/laboratory/dry

ウエットマスター「相対湿度と絶対湿度」

https://www.wetmaster.co.jp/about/knowledge/humidity/relative/

札幌ニップロ株式会社「暮らしの知恵袋|暖房で乾燥しないための対策は?冬に湿度を上げるコツ!」

https://www.s-nippro.co.jp/column/heating/1743

HelC「免疫力を高めて、風邪を防ぐ」

https://www.health.ne.jp/library/detail?slug=hcl_3000_w3000852&doorSlug=cold

パナソニック「加湿器の種類は4タイプ。それぞれの違いと正しい選び方を紹介!」

https://panasonic.jp/life/air/170023.html

パナソニック「ポイントは「体感温度」と「湿度」!快適な室温にするためのコツとエアコンの設定温度の関係とは?」

https://panasonic.jp/life/air/170014.html