生姜湯(しょうが湯)の作り方・効果とは | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

生姜湯(しょうが湯)の作り方・効果とは

爽やかな香りと辛みが特徴のスパイス食材「生姜」。
スーパーなどで簡単に手に入り、さまざまな料理に使われる身近な食材です。

生姜には400種類以上の成分が含まれており、その効果は多岐に渡ります。
中でも「体を温める」という効果は有名ですが、単に生姜を食べればよいという訳ではありません。
体を温める有効成分「ショウガオール」を十分に摂取するためには、加熱や乾燥の工程を経る必要があるのです。
生姜を料理することで、そういった工程を踏むことはできますが、できればもっと簡単に摂取したいところです。

今回は、ショウガオールを簡単に摂取できるホットドリンク「しょうが湯」をご紹介します。

生姜の代表的な種類

まず生姜の代表的な種類について、簡単に説明をしておきましょう。
生姜は栽培方法や収穫時期などによって、3つの種類に分けられます。

根生姜(ねしょうが)

別名「ヒネ生姜」とも呼ばれています。秋ごろに収穫された生姜を、2ヶ月以上貯蔵して乾燥させたものが根生姜です。年間を通して少しずつ出荷するため、一年中スーパーに並んでいます。薄茶色の皮があり、ふっくらと丸みを帯びているのが特徴です。強い芳香と辛味があることから、主に薬味として使用されます。

新生姜(しんしょうが)

初夏または秋ごろに収穫された後、貯蔵せずに流通(使用)される生姜です。形状は若干、根生姜に似ていますが、皮の色は白色で、茎の付け根部分は赤味を帯びています。また、水分を多く含んでいて、繊維が柔らかいのも特徴です。爽やかな辛味で、甘酢漬けやみそ漬けなどに使用されます。

葉生姜(はしょうが)

夏ごろに収穫された後、貯蔵せずに流通(使用)されます。岩のような形状をしている根生姜とは大きく異なり、指揮棒のような華奢な形状をしています。色味は新生姜と似ていますが、根茎は小さく、そこから細長い茎葉が伸びています。味噌をつけてそのまま食べたり、甘酢漬けにして食べるのが一般的です。

しょうが湯に使用する生姜は「根生姜」になりますので、ここでは根生姜のことを「生姜」と呼んで説明をしていきます。

しょうが湯に期待できる効果

しょうが湯には「ショウガオール」という成分が含まれているため、飲むと体の深部がポカポカと温まってきます。
しかし、このショウガオールという成分は、生の生姜を食べてもほとんど摂取することができません。
ショウガオールを摂取するためには、生姜を加熱または乾燥させる必要があります。
そうすることによって、生の生姜に含まれている「ジンゲロール」という成分が、化学変化を起こしてショウガオールになるのです[※]。生の生姜を食べても体が温まった感覚は得られますが、そういった現象が現れるのは、体が“解熱(放熱)”をしようと働いているためです。

ここは少し分かりにくい所ですので、より詳しく解説をします。
まず、ジンゲロールを摂取すると、体内の温感センサーがジンゲロールの「刺激」を「暑さ」と勘違いします。
それによって、体は解熱モードになり、汗をかいたり、体の表面付近の血行を促進させたりして、体の深部温度を下げようとします。
この時、温かい血液が体の表面付近に集って勢いよく流れるため、一時的に体の表面付近が温かく感じられるのです。
しかし、この現象はあくまでも「解熱の過程」からくるものですので、結果的には体の深部温度を下げることになると言われています。

これに対してショウガオールは、体の深部から熱を作り出し、持続的に体を温める効果があると言われています。
そして、それによって冷え性を緩和したり、内臓脂肪の燃焼を促したりするとも言われています。
つまり、ショウガオールを含んでいるしょうが湯は、体の深部から熱を作り出す“熱産生ドリンク”というわけです。

※.加熱によってショウガオールに変化した後は、冷ましたり水に入れたりしてもジンゲロールには戻りません。

しょうが湯の基本レシピ

それでは、実際にしょうが湯を作ってみましょう。
まずは、しょうが湯の基本レシピから紹介していきます。
後からでも味の調整はできますので、分量については大よそで構いません。

用意するアイテムは、以下の4つです。

・湯飲み(容量200~300mLほど)
・茶こし
・スプーン
・生姜おろし器

材料(1人前/湯呑み1杯分)

生姜・・・1個(使用するのは10g程度)
お湯・・・200~250mL(湯飲み1杯程度)
黒砂糖・・・適宜(ゆず茶を加えても◎)

作り方

1. 生姜10gを皮がついた状態ですりおろす[※] 
2. すりおろした生姜を茶こしに入れる
3. 湯飲みの上に茶こしを置き、上からお湯を注ぐ
4. 黒砂糖などの甘みを加え、スプーンで混ぜれば完成

※.皮のすぐ下には生姜の有効成分が多く含まれています。
残留農薬などが気になる人は、無農薬栽培された生姜を選ぶと良いでしょう。

シナモンしょうが湯のレシピ(アレンジ①)

シナモンの主成分である「ケイヒアルデヒド」には、以下のような働きがあると言われています。

・血液量を増加させる働き
・水分の代謝を調節する働き
・精神をリラックスさせる働き

これらの働きは、ダイエットを促進させる間接的な要因になっているとも言われています。
また、甘味にオリゴ糖を使用すれば、ビフィズス菌(腸内にいる善玉菌の一種)のエサを増やすことになりますので、腸の活性化にも役立ちます。

材料(1人前/湯呑み1杯分)

シナモンパウダー・・・小さじ1/2
生姜・・・1個(使用するのは10g程度)
お湯・・・200~250mL(湯飲み1杯程度)
オリゴ糖・・・適宜(小さじ1~2杯程度)
バニラエッセンス・・・適宜(香りづけ程度に数滴)

作り方

1.「しょうが湯の基本レシピ(作り方1~3)」の手順で進める
2. シナモンパウダー、オリゴ糖、バニラエッセンスを加える
3. スプーンで混ぜれば完成

ネギ入りしょうが湯のレシピ(アレンジ②)

ネギにはアリシン(硫化アリルの一種)というファイトケミカルが含まれています。
アリシンの健康効果は、以下の通りです。

・疲労を回復する
・生活習慣病を予防する
・血糖値の上昇を抑制する
・血流を良くする
・感染症を予防する
・食欲を増進させる

この有用な成分であるアリシンは熱にとても弱いため、ネギを刻んだ後はすぐにお湯に入れないようにして下さい。
ネギを刻んだ後に1時間ほど置いておくと、酵素の働きによって薬効成分が増え、熱に強い物質に変化すると言われています。

材料(1人前/湯呑み1杯分)

ネギの白い部分・・・2~3cm(アリシンは白い部分に多く含まれるため)
生姜・・・1個(使用するのは10g程度)
お湯・・・200~250mL(湯飲み1杯程度)
片栗粉・・・適宜(小さじ3杯ほど入れると、トロミが出て、より温まります)

作り方

1. ネギの白い部分(2~3cm)を細かく刻み、できれば1時間ほど置いておく
2. 1時間ほど経ったら、「しょうが湯の基本レシピ(作り方1~3)」の手順で進める
3. 刻んだネギを湯飲みに入れる
4. くず湯のようなトロミが欲しい人は、片栗粉を入れる
5. スプーンで混ぜれば完成

生姜を摂らない方がいい人

上記のレシピでは、使用する生姜の量は「10g」を目安にしています。
これはだいたい、親指の先端から第一関節くらいまでの大きさの生姜になります。
あくまで目安ですので、これより少ないと効果がないといった厳密な指定はないようです。
過剰使用さえしなければ、ご自身の体調や好みに応じて量を調整しても構いません。

ただし、以下のような人は、しょうが湯の飲用自体を見合わせた方(やめた方が)が良いかもしれません。

・体温が39.0℃以上ある人
・もともと平熱が高く、つねに火照っている人
・皮膚や舌の赤味が強い人
・発汗が極端に多い人
・乾燥肌がひどい人
・脱水症状の人
・血便が出ている人
・頻脈の人(1分間の脈拍が100回以上の人)

上記の項目に当てはまる人や、そのほか体調に不安がある人は、飲用前にかかりつけ医に相談するようにして下さい。

さいごに

健康効果の高いしょうが湯ですが、毎回すりおろす作業が面倒で、なかなか続かないという場合もあるかもしれません。
そういう場合は、あらかじめまとまった量をすりおろしておき、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍保存しておくと良いでしょう。
凍らせる前に、袋の上から手などで押さえつけ、厚さを1~2mmにしておくのがポイントです。
そうしておくことで、次にしょうが湯を作る際に必要な量だけをちぎって使うことができますので大変便利です。
お出かけ前に、生姜のかけらをお湯の入った水筒にポンッと入れておけば、外出先でもしょうが湯を楽しむことができます。
ぜひお試しください。


参考文献

農林水産省「しょうがは身体を温める効果があるそうですが、どのような成分が働いているのですか。」

https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1811/01.html

生姜専門店GINGER FACTORY「生姜の旬(時期)がわかりにくい理由」

https://ginger-factory.net/recipe/?p=15297

日刊スポーツ「森田豊の健康連載|「生」と「乾燥もの」で効果違う」

https://www.nikkansports.com/leisure/health/news/201910190000022.html

株式会社マンダム「TRPチャネル・ティップス|つらい冷えには「TRP(トリップ)温活」」

https://www.mandom.co.jp/gallery/contents02/topics08.html

平内中央病院「栄養ニュース2020年1月 01号|カラダを温める食材」

https://www.hiranai-chp.jp/wp-content/uploads/2021/08/287214aacf48b99883c4a82511e2c4ee.pdf

神戸徳洲会病院「生姜パワーで寒い冬を乗り切ろう」

https://www.kobetokushukai.org/news/detail.php?id=69

わかさ生活「わかさの秘密|アリシン - 成分情報」

https://himitsu.wakasa.jp/contents/allicin/

上毛新聞「元気+らいふ「2016年12月Vol.9」」

https://www2.jomo-news.co.jp/ad/genkipluslife/data/vol009/karada/

クラシエ「Kampoful Life|あたため上手な「しょうが湯」しょうがの効果とアレンジレシピ」

https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/eat/?p=2723

書籍「万病に効く 生姜セラピー」石原結實 著

雑誌「安心(2023年3月号)」マキノ出版 出版

雑誌「壮快(2016年2月号)」マキノ出版 出版