風邪をひいた時におすすめの飲み物は?
風邪は季節に関係なく、いつでも罹患するリスクがある病気です。
原因となっているウイルスや細菌は「うがい、手洗い、マスク」などで体内への侵入をある程度防ぐことができますが、完全に防ぎ切ることはできません。
健康な体を持っている人であれば、体内にウイルスなどが侵入してきても、それほど重症化せずに治ることがありますが、疲労や老化などによって体が弱まっている人は、重症化して「肺炎」や「中耳炎」などを引き起こすリスクがあります。
仮に自分が重症化しなくても、知らないうちに自分がもっている風邪ウイルスを別の誰かに感染させ、その人が重症化してしまうリスクもあるのです。
私たちは自分自身の健康を守るためだけではなく、周りの方の健康を害さないためにも、早めに対処や予防をする必要があります。
今回は、一般的な風邪の対処法と併せて、おすすめの飲み物について解説していきます。
目次
風邪をひいてしまったら
風邪をひいてしまったら、次のような対処法を行うと良いでしょう。
・風邪が治りやすい食事をとる
・睡眠をしっかりとる
・体を冷やさないようにする
・市販薬や漢方薬を飲む
それぞれについて、見ていきましょう。
風邪が治りやすい食事をとる
風邪を早く治したり、症状を和らげるためには、栄養バランスの良い食事をとることが大切です。
特に、ビタミンCやタンパク質、ミネラル(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)といった栄養素は、風邪をひくと失われやすいと言われていますので、それらを意識してとるようにすると良いでしょう。
風邪の症状が重いときには、食欲が低下していたり、喉に腫れがあったりするため、タンパク質を肉や魚などから摂取するのは難しいかもしれません。そういった場合には、柔らかくて消化のしやすい「豆腐」を食べることをオススメします。
睡眠をしっかりとる
睡眠は免疫機能を正常に保ち、風邪の症状を緩和するのに重要な役割を果たします。
十分な睡眠をとることで、体の回復力が向上し、風邪の治りも早くなります。
また、「頭痛、発熱、咳」などによって消耗してしまった体力も回復させなければいけませんので、風邪をひいたらいつもよりも少し長めに睡眠時間を確保するようにしましょう。
仮に、目がさえてしまってなかなか寝付けなかったとしても、体を「安静」にして体力の消費を防ぐことは大切です。
体を冷やさないようにする
風邪の症状がある時は、体を冷やさないようにすることが大切です(特に、肩や首周り、足首など)。
なぜなら、体を冷やすと免疫力が低下して、風邪の症状が長引いてしまう可能性があるからです。
部屋を暖めたり、厚着をしたり、またホットドリンクを飲むなどして、体温の低下を防ぎましょう。
また、湯たんぽやカイロなどの温めアイテムを使うことも有効です。
市販薬や漢方薬を飲む
風邪の症状を和らげるためには、市販薬や漢方薬を飲むことも有効です[※]。
市販薬には解熱鎮痛剤や鼻水、鼻づまりなどの症状を緩和する薬などがあります。
一方、漢方薬は以下のようなものが有名です。
・ひき始めの風邪 ── 葛根湯(かっこんとう)など
・長引いている風邪 ── 竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)など
ちなみに、漢方薬は「薬」ですので、基本的には他の薬(市販薬など)との併用はNGです。
また、まれに薬をスポーツドリンクやジュースなどで飲む人がいるようですが、これもNGです。
水か、ぬるま湯で飲むようにしましょう。
※.服用前に必ず担当医に相談をして下さい。
おすすめの飲み物は?
高熱が出たり、喉がはれたりしてくると、体は硬い食べ物を受け付けなくなり、食欲自体も低下します。
症状の度合いによっては、無理に食べると嘔吐や下痢を起こしてしまうことがありますので、注意が必要です。
しかし、発汗などによって失われた水分や栄養素は、何らかの形で摂取しなければ回復も見込めません。
そんな時には、以下のような飲み物がオススメです。
緑茶
緑茶に含まれている成分の一つに「カテキン」という成分があります。
この成分には「殺菌効果」があると言われているため、緑茶を飲むことで風邪やインフルエンザなどのウイルス感染を阻害したり、感染した際の重症化を抑制する効果が期待できます。
また、カテキンには、免疫細胞(白血球)を活性化させる働きもあると言われているため、免疫力の向上も期待できます。
飲み込むのがつらい場合や、口腔内をスッキリさせたい場合には、カテキンの殺菌効果を利用した「お茶うがい」も有効です。
生姜湯
生姜湯には、生姜を加熱することによって増える成分「ショウガオール」が含まれています。
この成分は体の深部を温めるほか、咳を鎮めたり、関節の痛みを抑えたりする効果もあると言われています。
東洋医学においては、生姜を蒸してから乾燥させた「乾姜(かんきょう)」という漢方もあり、これも咳止めや抗炎症に役立つと言われています。
生姜湯に甘みをつけたい場合には、ソバの花からとれる「ソバ蜂蜜」がオススメです[※]。
ペンシルバニア州立大学医学部のPaul氏らによる試験では、鉄分やミネラル、抗酸化物質などが豊富に含まれているソバ蜂蜜が、咳の緩和に一定の効果を示したと報告されています。
※.1歳未満の赤ちゃんには蜂蜜を食べさせないで下さい。乳児ボツリヌス症にかかる危険性があります。
スポーツドリンク
風邪による発熱で体温が上がると、体は通常時よりも発汗量が多くなります。
また、症状が重症化してくると、人によっては下痢や嘔吐といった症状が出ることもあります。
これらの症状が現れてくると、体内の水分量は減少し、脱水症を起こしかねません。
脱水症になると、体からは水分や電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム)が失われがちです。
失われた水分や電解質を素早く補給したい場合には、「スポーツドリンク」を飲むと良いでしょう。
スポーツドリンクは運動時によく飲まれる飲み物ですが、風邪をひいてしまった時にも役立ちます。
ただしスポーツドリンクの種類によっては、糖分がたくさん使用されているものもありますし、人工甘味料を使用しているものもありますので、ご購入の際には成分表示をよく確認されることをオススメします。
※.アセスルファムKなど、一部の人工甘味料には有害性が指摘されているものもあります。
白湯
白湯には、過剰な糖分、人工甘味料、カフェインといった余計なものが含まれていないので、安心して飲むことができます。
もちろんビタミン類などの有用な成分は含まれていないため、栄養補給という観点で言えば、他の飲み物にはかないません。
しかし、喉や内臓への負担や刺激を考えた場合には、もっともやさしい飲み物と言うことができるでしょう。
また、高熱が出ているような時には、歯磨きをすることですら大変に感じますが、白湯であれば歯磨きの回数を減らすことができますし、甘味料による虫歯の心配もする必要がありません。
さらに、白湯を保温ができるポットや水筒に入れておけば、あとから流動食などを作る際に使用することもできますので、何かと便利です。
控えた方が良い飲み物
風邪をひいた時に飲むことを控えた方が良い飲み物はいくつかありますが、その中でも特に控えるべき飲み物は「アルコール類」です。
理由としては、アルコールが免疫系に影響を与え、風邪の症状を悪化させる可能性があるためです。
まず、摂取したアルコールは、肝臓で代謝されて「アセトアルデヒド」に変換されます。
アセトアルデヒドは免疫細胞を活性化するために必要な栄養素「グルタチオン」を消費するため、免疫力を低下させることが知られています。
また、アルコールを摂取すると、体内の水分が失われるため脱水症状を引き起こすことがあり、喉の痛みや咳などの症状を悪化させる可能性があります。
さらに、アルコールは睡眠の質を低下させることが知られています。
風邪の症状があるときは十分な睡眠が必要なのですが、アルコールを摂取することで睡眠の質が低下してしまい、疲れが取れない状態が続く可能性があります。
アルコール類をたくさん飲んで酔っ払ってしまうと、さらにたくさん飲みたくなり、過剰摂取に繋がる可能性もあります。
量の多少にかかわらず、アルコール類は風邪が全快してから飲むようにしましょう。
風邪に負けない健康管理を
上記では、風邪をひいてしまった時の「対処法」について説明をしてきました。
風邪は季節に関係なくいつでも罹患するリスクがある病気ですので、罹患後の対処法を学んでおくことは有用です。
しかし、それと同時に、風邪にかからないようにする「予防法」を学んでおくことも大切です。
「生活習慣の改善」はもちろんのこと、近年では「腸活」も、有効的な予防法の一つとして注目を集めています。
その理由は、腸に存在する“免疫細胞の多さ”にあります。
腸には全免疫細胞の約7割が存在しているため、体の免疫機能を正常にしようとするのであれば、腸を集中的にケアするのがもっとも効率的なのです。
一般的に腸活は「美容」あるいは「ダイエット」を目的とする取り組みとして知られていますが、近年では「感染症への予防」を目的として始められる方も多いようです。
「美容・ダイエット・感染症予防」、これら三つの要素を兼ね備えている腸活は、いまや女性だけの取り組みではありません。
健康管理を行う際には「生活習慣の改善」と併せて、「腸活」も一緒に取り組まれることをオススメします。
さいごに
日本には古くから「病は気から」という諺(ことわざ)があります。
この諺は「病気にかかるか、かからないかは(病気が重症化するか、しないかは)心の持ち方次第」という意味を持っています。
なんだか精神論的な香りが漂う言葉ではありますが、実際、私たちの体は長期間過度のストレスを受け続けると、腸内環境(腸内細菌叢)のバランスが崩れて、免疫力が低下します。
つまり、気が滅入っていると、病気にかかったり、重症化したりするリスクが高まるというわけです。
感染症に負けない強い体を作るには「生活習慣の改善」や「腸活」といったフィジカルの改善を行うと同時に、メンタルの強化やストレスマネジメントを行っていくことも大切です。
参考文献
株式会社ドクタートラスト「産業保健新聞|「寒いと風邪を引く」は本当?気をつけたい冬の体調管理」
https://news.doctor-trust.co.jp/?p=50585
第一三共ヘルスケア「風邪(かぜ)の症状・原因」
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/01_kaze/
MSG株式会社「健タメ!|風邪から肺炎になる?肺炎になりかけているときの症状」
https://www.kamposupport.com/kentame/archives/14003
医療法人社団 杉本クリニック「かぜの季節は「中耳炎」に気をつけて」
https://sugimoto-clinic.or.jp/健康・医療のヒント/iryounohinto/tympanitis-chuujien/
株式会社 明治「症状別!風邪をひいてしまったときにおすすめの食べ物とは?コンビニでおすすめの食べ物も紹介」
https://www.meiji.co.jp/karadakaizen/know/entry001.html
MUGEN BIONIC株式会社「ミネラル補水パウダーGazelleガゼル - 汗で失った水分とミネラルをまるごと補給!」
http://spocolla.jp/gazelle/
大塚製薬「免疫Navi|適切な睡眠時間と免疫」
https://www.otsuka.co.jp/men-eki/sleeping/time-of-sleeping.html
やさしいLPS「健康な体温って一体何℃?免疫とも関係が深い体温について詳しく解説!」
https://www.macrophi.co.jp/special/1996/
山梨県厚生連健康管理センター「知っていますか?緑茶のパワー」
https://www.y-koseiren.jp/special/food_nutrition/3701
伊藤園「第4回 伊藤園 健康フォーラム 茶カテキンによる免疫機能の活性化と感染症予防」
https://yab.yomiuri.co.jp/adv/itoen_kenko2021/
株式会社孫右ヱ門「効能 - お茶の世界」
https://www.magouemon.com/wom/benefits.html
日本カテキン学会「カテキンの効果・作用」
https://www.catechin-society.com/effect_01.html
株式会社食品医学研究所S「健康な体温って一体何℃?免疫とも関係が深い体温について詳しく解説!」
http://h-and-w.jp/2009/09/27/【第20節】しょうが蜂蜜湯はノドの痛みや咳を/
National Library of Medicine「Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18056558/#affiliation-1
厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
日本生物工学会「生物工学会誌 第98巻 第11号 バイオミディア アルコール代謝研究の最新動向」
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9811/9811_biomedia_4.pdf
一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所「グルタチオン」
https://www.orthomolecular.jp/nutrition/glutathione/