PFAS(ピーファス)とは?健康への影響と対策について
近年、PFAS(ピーファス)の環境汚染が大きな問題になっています。PFASは、「環境への残留性」と「人体への蓄積性」がともに高く、さまざまな健康リスクが懸念されています。特に水道水の汚染が強く懸念されていることで、水道水の飲用や料理への使用に抵抗を感じている人が増えているようです。
PFASとは一体どのようなものなのでしょうか?また、どのような病気やデメリットが懸念されていて、どのような対策があるのでしょうか?
それぞれについて学んでいきましょう。
目次
PFAS(ピーファス)とは?
まず、PFASの名称について説明しましょう。
■PFAS
「perfluoroalkyl substances and polyfluoroalkyl substances」の略
日本語では「ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」
・より一般的な日本語名としては「有機フッ素化合物(群)」
・一つの物質を指した名称ではなく、数ある有機フッ素化合物の「総称」
・通称は「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」(その理由は後述します)
PFASは人工の化学物質で、1948年に3M社(アメリカの化学メーカー)によって、初めて商業的に開発されました。炭素とフッ素の強力な結びつきによって作られ、その結びつき方のバリエーションが種類数になっています。現在確認されているPFASの種類数は、数千以上または一万以上あると言われています。
OECD(経済協力開発機構)によると・・・4,730種
EPA(アメリカ環境保護庁)によると・・・14,735種
このうち、一部のPFASにおいては猛毒性が指摘されており、「50mプールの水に塩粒3粒ほどの量」で飲み水が飲用不可になると言われています。ただし、性質が明らかになっているPFASはごく一部で、ほとんどのPFASの性質は未解明です。そのため、すべてのPFASが危険とは言い切れず、中には有害性のないPFASもあると言われています。しかし、一般的にPFASという言葉は、説明の便宜上「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」の2つの物質を指していることが多いようです[※]。この2つの物質は、PFASの中でも特に有害性が懸念されており、その影響から「PFAS=危険」という認識が定着していったのだと考えられます。
当記事では、一般的な認識としての「PFAS」、つまり「PFAS = PFOSとPFOA」という扱いで話を進めていきますが、上記のとおり、厳密な意味では正確な表現ではないことを前提に置いておいてください。
※. この記事では割愛していますが、近年では「PFHxS(ピーエフヘクスエス)」というPFASも有害性が懸念されており、「PFOS・PFOA・PFHxS」の3つをまとめて「特定PFAS」と呼ぶこともあります。
PFOS(ピーフォス)とは
PFOSは、PFASの一種です。
名称について、簡単に説明をしておきましょう。
■PFOS
「perfluorooctanesulfonic acid」の略
日本語では「ペルフルオロオクタンスルホン酸」
2009年、PFOSはその有害性から、ストックホルム条約(POPs条約)によって規制対象となりました。それに伴い、同条約の加盟国である日本では、2010年から化審法によってPFOSの「製造、輸出入、使用」を原則禁止にしています。
PFOA(ピーフォア)とは
PFOAも、PFASの一種です。
名称の説明は、以下の通りです。
■PFOA
「perfluorooctanoic acid」の略
日本語では「ペルフルオロオクタン酸」
PFOAも、2019年にストックホルム条約によって規制対象となったため、国内では2021年から化審法によって「製造、輸出入、使用」が原則禁止になっています。
PFASは何に使われている?
PFASの主な構成物質である「炭素」と「フッ素」は、たくさん結びつくと固く結合し、壊れにくくなります(この結合は、化学結合の中でも最も強固と言われています)。
そのため、PFASは水や油をはじき、熱に強く、薬品にも強い、そして光を吸収しないといった独特の性質(化学的安定性)を持っており、1940年代から世界中で多くの製品に用いられてきました。
・泡消火剤(軍事施設や空港、立体駐車場などで使用)
・耐油性食品包装紙(ハンバーガーや揚げ物などを包む紙)
・紙製ストロー(耐水加工されたもの)
・化粧品(成分表示に「~フルオロ~」と表記のあるもの)
・デンタルフロス(PTFEという素材)
・レインコート
・防水スプレー
・ワックス(スキー板やスノーボードに使用)
・こびりつかないフライパン
・半導体 など
PFASの化学的安定性は、上記のような製品に利用され、私たちは長い間その恩恵を受けてきました[※1]。しかし、利便性の高いPFASは同時にデメリットもはらんでおり、環境中に出た場合には、いつまでも分解されずに残ってしまうことになります。環境中に残る期間は、なんと「数千年」。ほぼ永遠に残り続けるということから、PFASは「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれるようになりました[※2]。
※1. 現在もこれらの製品すべてにPFASが使用されているわけではありません。また、フライパンや半導体などは、製造段階で一定量のPFASが使用されることがありますが、最終製品にはそれほど多く含まれていないと言われています。
※2. たとえばPFOAを分解させる場合、1000~1100℃もの高熱で燃やす必要があります(PFOSは約850℃以上)。
PFASの曝露経路
PFASの曝露(摂取)は、上述した「PFAS製品の使用や摩耗」のほか、「汚染された環境」からも起こります。環境からの曝露について、もう少し詳しく解説をしておきましょう。
現在、PFASによる環境汚染の出どころは、主に以下の二つが考えられています。
泡消火剤の使用、漏洩による汚染
・主に「PFOS」による汚染
・東京や沖縄にある基地周辺などの汚染が有名
産業排水や産業廃棄物による汚染
・主に「PFOA」による汚染
・大阪府摂津市のD社周辺[※1]、岡山県吉備中央町などの汚染が有名
PFASは「土壌、河川 → 地下水 → 海、湖」という流れで環境を汚染し、その過程においては「水道水、野菜類、魚介類、家畜(肉、牛乳、卵)」なども汚染する可能性があると言われています。
野菜においては、「ナス、キャベツ、ダイコン、ハクサイ」などが水分を多く含むこともあり、他の野菜と比較して含有量が多いようです。
魚介類においては、エラ呼吸によって魚類に生物蓄積[※2]が起きやすく、沿岸の海洋で養殖しているアサリやカキなどの貝類もPFASの蓄積が懸念されています。
また、あまり知られていませんが、PFASには揮発性があり「大気」も汚染することが報告されています。そのため、呼吸によってもPFASを曝露する可能性があるのです。
※1. 2023年8月、D社に隣接する井戸からは「26,000ng/L」の高濃度汚染が検出されています(暫定目標値の520倍)。
※2. 食物連鎖による生物濃縮。一部のPFASは生物への蓄積性を示し、水中の濃度より数千倍濃縮されると言われています。
水道水への影響
水道水の水源(取水地)には、「河川水、ダム湖水、湖沼水、地下水」などがあります。水源は約7割が地表水で、残りの3割が井戸水やふくりゅう水(河川の底土の下を流れる水)などです。上述した通り、PFASは河川や地下水を汚染するため、水道水にも影響を及ぼします。
ここでいったん、水源となる河川などの汚染状況を見てみましょう。令和4年度(2022年度)の環境省の調査では、国内の一部の河川や地下水で、国が定めた暫定目標値(50ng/L)を超えるPFASが検出されました。
環境省の調査[令和4年度]・・・(ワースト5を抽出)
・大阪府 ──── 21,000ng/L(地下水)
・沖縄県 ──── 2,100ng/L(地下水)
・神奈川県 ─── 1,800ng/L(地下水)
・大分県 ──── 1,200ng/L(地下水)
・東京都 ──── 620ng/L(地下水)
高い濃度値(汚染度)が公表されていますが、これらの濃度値はあくまでも河川や地下水のものであって、水道水の濃度値ではありません。
多くの浄水場では、「安全であろうレベル(50ng/L以下)[※1]」にまで水質を高めて水道水を作り、それを各家庭に供給しています。しかし、一部の地域では独自に水道水のPFAS検査が行われ、その結果、その地域の水道水が「安全であろうレベル」を下回っていることが判明しています[※2]。
・岡山県吉備中央町 ── 1200ng/L(2021年)
・三重県桑名市 ── 170ng/L(2021年)
こうした水道水のPFAS検査を全国で行った場合、他にも深刻な値を示す地域が現れるのかもしれません。
※1. 水道水の暫定目標値も河川などと同じ「50ng/L」です。
※2. 現在は水源を変えるなどの対策を行っていますので、50ng/Lを下回っています。
PFASの健康への影響
PFASには「生物蓄積性[※1]」があり、人の体内に長くとどまって、健康リスクを高めると言われています。体内に蓄積されたPFASは、時間の経過とともに少しずつ排出されていきますが、完全に摂取を止めた場合であっても、体内PFAS量が半減するまでには数年もかかるそうです。
・PFOSの半減期 ── 5年(95%排出されるまでには40年)
・PFOAの半減期 ── 3年
どのような健康リスクがあるかについては、まだ完全には解明されていませんが、たとえばEEA(欧州環境庁)では、以下のような健康リスクを発表しています。
PFASの人体への有害性
【確実性が高い健康リスク】
・甲状腺疾患
・血中コレステロール値の上昇(心疾患の原因に)
・肝疾患
・腎臓がん
・精巣がん(男性)
・低出生体重(胎児)
・免疫力低下(胎児)
・乳腺発達の遅れ(胎児)
【確実性が中程度の健康リスク】
・炎症性大腸炎(潰瘍性結腸炎)
・乳がん(女性)
・妊娠しにくくなる
・妊娠による高血圧/子癇前症(血圧を上げる)
・流産リスクの増加(流産、死産など)
・精子数と運動能力の減少(胎児)
・性的成熟の早期化(胎児)
・肥満(胎児)
また、アメリカの学術機関「全米アカデミーズ」では、いくつかの健康リスクのうち、「十分な証拠がある健康リスク」として、以下の4つを挙げています(PFOS・PFOAを含む7種のPFAS検査の結果として)。
【全米アカデミーズが報告した(十分な証拠がある)健康リスク】
・脂質異常症
・腎臓がん
・抗体反応(免疫)の低下
・乳児、胎児の発育低下
さらに、WHO傘下のIARC(国際がん研究機関)では、PFOS・PFOAの発がん性評価を、以下のように分類しています。
【IARCが発表した発がん性の評価】
・PFOS──「可能性がある(Group2B:4段階中、3番目に確実性が高い分類)」
・PFOA──「発がん性がある(Group 1:4段階中、最も確実性が高い分類)」[※2]
一方、日本の食品安全委員会では、健康への影響について「否定はできない」としつつも、「証拠は不十分」や「影響は不明」などと、かなり慎重な姿勢が目立ちます。
※1. PFASは水に溶けやすい性質があるため、血液や肝臓に多く存在すると言われています。
※2. 最も確実性が高い「Group1」には、喫煙やアスベスト(石綿)などが含まれており、PFOAはそれらと同格扱いになります。
アメリカ(EPA)でのPFAS規制
アメリカ環境保護庁(EPA)におけるPFASの水質管理は、2016年より「生涯健康勧告値」という濃度指標が設けられていました。
【アメリカの生涯健康観告値(2016年)】
PFOS・PFOA、合算で「70ng/L(70ナノグラム・パー・リットル)」[※1]
この勧告値は「この濃度(値)よりも低い水であれば1日2L、70年間飲み続けても健康には影響しない」ということを意味しています。
日本では2020年に「暫定目標値」という濃度指標が設けられましたが、これはアメリカの「生涯健康勧告値」を参考にしており、下記の値になっています。
【日本の暫定目標値(2020年)】
PFOS・PFOA、合算で「50ng/L」[※2]
こちらは「この濃度(値)よりも低い水であれば、体重50kgの人が一生涯、毎日2L飲用しても問題ない」ということを意味しています。
一方、WHO(世界保健機関)は、2022年に「暫定ガイドライン値」を提案しました。
【WHOの暫定ガイドライン値(2022年)】
PFOS・PFOA、それぞれ「100ng/L」、総PFASは「500ng/L」
アメリカや日本と比べて、かなり緩い値になっているのは、対策が十分に取れない発展途上国などへの配慮もあると言われています。
この時点における日本の目標値は、アメリカやWHOの値よりも厳しいものでしたが、現在ではその順番が変わっています。
その理由は、アメリカが2022年に生涯健康勧告値を激的に厳しくしたためです。
【アメリカの新しい生涯健康観告値(2022年)】
PFOS:0.02ng/L、PFOA:0.004ng/L
ご覧の通り、ほぼ「ゼロ」を勧告値に設定しています。しかし、これは「健康を守るためには、これぐらいの値にしないといけない」といった目標値であり、ある意味「理想の値」です。実際には、そこまで低い濃度を調べることはできません。そのため、アメリカは現実的に調べることができる値(検出限界値)の「4ng/L」を基準に設け、その値を厳守するよう国内の企業などに呼びかけました。この値はこれまでの勧告値とは異なり、法的拘束力をもった「規制値」になります。
【アメリカの規制値(2024年)】
PFOS・PFOA、それぞれ「4ng/L」
アメリカ、日本、WHOの値を簡単にまとめると、以下のようになります。
アメリカ | PFOS・PFOA、それぞれ「4ng/L」 | 法的拘束力あり |
日本 | PFOS・PFOA、合算で「50ng/L」 | 法的拘束力なし |
WHO | PFOS・PFOA、それぞれ「100ng/L」 | 法的拘束力なし |
アメリカが日本よりも厳しい値を設定したという「順番の変化」だけに注目するのではなく、「日本の目標値との差」や「法的拘束力の有無」についても注目してください。急激に数値を厳しくして法的拘束力を持たせたということは、それだけPFASを大きな脅威として認識しているということに他なりません。
※1. 「n(ナノ)=10億分の1」を意味しますので、「70ng/L」の場合、水1Lあたり「0.00000007g」の物質が溶解していることになります。
※2. 「50ng/L」という目標値は、国内の水道水に限らず、地下水や河川水にも共通して設定されています。しかし、法的な拘束力はなく、あくまで目標値であり、暫定的な値になります。
日本のPFAS対策
以下のリストは上項の補足になりますが、アメリカでのPFASの勧告や規制には、長期にわたる変遷があります。
【アメリカにおける変遷】
① 2009年・・・暫定健康勧告値(PFOS:200ng/L、PFOA:400ng/L)[※1]
② 2016年・・・生涯健康勧告値(PFOS・PFOA合算:70ng/L)
③ 2022年・・・生涯健康勧告値(PFOS:0.02ng/L、PFOA:0.004ng/L)
④ 2023年・・・規制値案の公表(PFOS:4ng/L [案]、PFOA:4ng/L [案])
⑤ 2024年・・・規制値の設定 (PFOS:4ng/L、PFOA:4ng/L)
日本が暫定目標値を設定したのが2020年なので、上記のリストでは②と③の間ということになります。そして、日本が暫定目標値を設定した約2年後には、アメリカは生涯健康勧告値を激的に厳しくしているのが分かります(③)。
有識者たちの間では、遅くとも③の時点で日本はPFASに対して、もっと敏感に反応すべきだったという意見があげられています。なぜなら、アメリカを含む海外のPFASに対するこれまでの動向(調査、検査、訴訟など)は、ネットや有識者を介して日本にも伝えられていたためです。また、デュポン社(アメリカの大手化学メーカー)が起こした公害問題は、映画「ダーク・ウォーターズ」によっても日本に伝えられており、アメリカの惨状を知らないはずはなかったためです[※2]。
それからしばらくして、有識者たちによる調査や働きかけもあり、国は遅まきながら2023年1月に専門家会議を設置して、今後の対策について話し合う場を設けました(PFASに対する総合戦略検討専門家会議:2023年1月~8月にかけて開催)。ここに至るまでの間、国は何もしなかったわけではありませんが、化審法による個別の規制や、部分的な調査に留まっていた面は否めません。この会議の設置は、PFASに対する包括的かつ戦略的なアプローチを目指すものであり、その意味で「本格的な国の働きかけ」の重要な転換点になったと言えるでしょう。
また、国(環境省と国土交通省)は 2024年5月29日に、全国の各自治体や水道事業者に対して、水道水の水質検査を行って、その結果を国に報告するよう通達(事務連絡)を出しました[※3]。これまでは、各自治体などが決めた「河川や地下水」の水質検査が行われ、その結果を国に報告するケースはありましたが、今回行われる検査は「水道水(給水栓水)」に対して行われるという点が、大きな違いになります。また、全国の水道施設(小規模な水道も含む約12,000カ所)を対象にした大規模な実態調査は、これが初めてだそうです。この実態調査の結果によっては、現在設定されている暫定目標値が大きく見直され、新たに法的な義務を伴うPFASの基準値(規制値)が設けられる可能性もあるかもしれません。
※1. 「生涯健康勧告値」のように、生涯にわたっての指標ではなく、短期的な曝露のよしあしを判断するための暫定的な指標です。
※2. 日本での映画の公開は2019年ですが、デュポン社の公害問題が騒がれるようになったのは1998年頃。2001年からは本格的に訴訟が起こり始め、最終的にデュポン社は2005年と2017年に多額の和解金を支払っています。この訴訟に関連して、2005~2006年にはアメリカで約7万人を対象とした大規模なデータ収集(C8 Health Project:大規模疫学調査)が行われ、パネルの創設を経て、2012年に最終結果が公表されています。
※3. 国に対する結果報告の締め切りは「2024年9月30日まで」とされていますが、結果の取りまとめには時間を要するため、国からの公表時期については未定とのことです(2025年になるかもしれません)。
国内で行えるPFAS血液検査
体内のPFAS蓄積量を知るためには、血液検査を行う必要があります。最近になって、ようやく国内でも個人対応のPFAS血液検査を行ってくれるクリニックが出てきました[※]。費用はやや高く、保険が効かないのが残念ですが、PFASの血中濃度が気になる方は、一度受けてみるとよいでしょう(検査結果は約一か月後になります)。
関 西
【小西統合医療内科(大阪)】
電話番号:06-6147-3280
・アメリカのバイオ分析企業「ユーロフィン」との契約病院
・遠隔に住む人には検査キットを郵送し、Skypeなどで採血方法を説明
・現時点での費用は、税込165,000円
【大阪PFAS汚染と健康を考える会(大阪民医連 気付)】
電話番号:06-6268-3970
・血液検査を行っている(または今後行う)病院を紹介してくれる
・現時点での費用は、税込5,000円(会員割引あり)
関 東
【健生会グループの診療所(下記12カ所)】
電話番号:042-523-2375
・現時点での費用は、税込11,000円(会員割引あり)
・立川相互ふれあいクリニック(立川市)
・立川相互病院付属子ども診療所(立川市)
・昭島相互診療所(昭島市)
・大南ファミリークリニック(武蔵村山市)
・国分寺ひかり診療所(国分寺市)
・羽村相互診療所(羽村市)
・日野台診療所(日野市)
・府中診療所(府中市)
・谷保駅前相互診療所(国立市)
・八王子共立診療所(八王子市)
・ながふさ共立診療所(八王子市)
・多摩みなみクリニック(多摩市)
なお、「どれくらいの血中濃度だと健康に影響を及ぼすのか」といった基準値は、日本では設けられていません。
引き合いに出される基準値としては、アメリカ(全米アカデミーズ)のものがあります。
【全米アカデミーズが設定している血中濃度の基準値】
20ng/mL(PFOS・PFOAを含む7種のPFASの合計値として)
ちなみに、ドイツ環境庁の専門委員会では、以下の血中濃度が設定されています。
【ドイツ環境庁の専門委員会が設定している血中濃度の基準値】
PFOS:「20ng/mL」、PFOA:「10ng/mL」(妊娠可能年齢の女性はそれぞれ半分の濃度)
いずれにしても検査結果についての説明は、検査を行った病院で行われますので、それを受けるとよいでしょう。
※. アメリカでの対応は早く、すでに個人向けのPFAS血液検査が活発に行われているようです。
さいごに
水道水は、浄水場が行う水質管理によって一定の安全性が確保されていますが、水道水に対する懸念が完全に払しょくされたとは言い切れません。
私たちは生涯使う水の多くを水道水から得ています。水道水をより安心して飲めるようにしたいとお考えの方は、浄水器や整水器の設置を検討しても良いでしょう。これらの機器には、活性炭などによって水道水をろ過する浄水機能があります。ただし、浄水能力は機器によって異なりますので、「どのような物質をどれくらい除去してくれるのか」をしっかりと見極めたうえで選ぶことがポイントになります。
なお、日本トリムの整水器に内蔵されてある「マイクロカーボンカートリッジ(活性炭フィルター)」は、PFOSとPFOAの両方を除去することが可能です。
詳しくは、以下のサイトで解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【PFOS・PFOA除去だけじゃない!胃腸にいい水を作る「整水器」とは? ~PFASに関する問題を受け、浄水能力の詳細な資料を新たに公開~】
https://www.nihon-trim.co.jp/news/5398/
参考文献
環境省「令和4年度公共用水域及び地下水のPFOS及びPFOA調査結果一覧」
https://www.env.go.jp/content/000212639.pdf
環境省「PFOS 及び PFOA に関する国内外の動向について」
https://www.env.go.jp/content/000238677.pdf
環境省「PFASに対する総合戦略検討専門家会議 - 水・土壌・地盤・海洋環境の保全」
https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas.html
消防庁「環境に配慮した消火設備に関する検討の背景と現状」
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-160/01/shiryou1-1.pdf
食品安全委員会「有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価及びパブリックコメント回答の要点」
https://www.fsc.go.jp/osirase/pfas_health_assessment.data/pfas_youten.pdf
食品安全委員会「PFASのリスク評価、その意味は? 姫野誠一郎座長インタビュー」
https://www.fsc.go.jp/osirase/pfas_interview.html
NHK「みんなでプラス|「PFAS漏出 未公表の事故があった」アメリカ軍・横田基地の現役職員が告発 環境汚染の実態は」
https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic097.html
NHK「WEB特集|PFAS相次ぐ汚染「安全な水だと思っていたのに」河川・水道水など全国マップ2種類で詳しく あなたの町は?」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240606/k10014471451000.html
NHK「クローズアップ現代|「PFAS」とは?世界の規制状況・健康への影響は?」
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/p4Aomk6Pw8/
日本経済新聞「米デュポンとケマーズ、水質汚染訴訟で和解金支払い 765億円」
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN14H0O_U7A210C1000000/
日本経済新聞「米政府、飲料水のPFAS基準厳しく 日本の1割未満の新規制」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10EIA0Q4A410C2000000/
朝日新聞デジタル「全国1万2千の水道で国がPFAS実態把握へ 小規模水道も対象(2024年6月24日)」
https://www.asahi.com/articles/ASS6S2FL6S6SULBH00BM.html
東京新聞「TOKYO Web|米国本土で強化されるPFAS規制、在日米軍基地に適用されるか「答えられない」と防衛省」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/216138
東京都水道局「さまざまな水源 - 水源・水質」
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/09.html
沖縄県「平成29年度有機フッ素化合物環境実態調査の結果(夏季)」
https://www.pref.okinawa.jp/kurashikankyo/kankyo/1004418/1018739/1019421.html
一般財団法人日本環境衛生センター「PFASに関する 国内・国外状況について」
https://www.jesc.or.jp/Portals/0/center/library/seikatsu%20to%20kankyo/202307_Shibata.pdf
農研機構「GC-MS-MSによるペルフルオロアルキル化合物(PFAS)とその類縁化合物の高感度一斉分析法」
https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/kiban/2021/naac21_s03.html
旭化成「エンプラ総合情報サイト|PFASとは」
https://www.asahi-kasei-plastics.com/column/12/
東京保険医協会「[視点]水道水汚染の脅威~PFAS調査阻む地位協定」
https://www.hokeni.org/docs/2023090900034/
AGC「「PFAS」とは?種類と用途、規制などについて」
https://www.agc.com/products/fluoroproducts/pfas/index.html
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議「PFAS(有機フッ素化合物)汚染」
https://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2022/06/PFASパンフ_web用PDF.pdf
社会医療法人社団・健生会PFAS専門委員会「PFASガイドブック(学習資料)」
https://www.tokyominiren.gr.jp/pickup/2024/data/240227_03.pdf
サイエンスポータル「全国でPFASの検出相次ぎ、政府が対応策 「水の安全確保」へ実態把握と対策急務」
https://scienceportal.jst.go.jp/explore/review/20240906_e01/
尼崎市公営企業局ホームページ「水道水の有機フッ素化合物(PFOA、PFOS)について」
https://amasui.org/customer/suido/2001198.html
自由法曹団東京支部「有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)汚染への取り組み 幹事会学習会」
http://www.jlaf-tokyo.jp/shibu_katsudo/news/600.pdf
ユーロフィン「PFAS 自己採取血液 検査受託サービス」
https://www.eurofins.co.jp/clinical-testing/サービス/pfas-自己採取血液検査/
西淀川・淀川健康友の会「大阪におけるPFAS汚染と健康を考える」
https://kenkou-tomonokai.net/pfas/
社会医療法人社団 健生会「PFAS関連情報」
https://www.t-kenseikai.jp/honbu/pfas/
映画の時間「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男の上映スケジュール・映画情報」
https://movie.jorudan.co.jp/film/95949/
Environmental Health Perspectives「Stephanie J. Frisbee et al.|The C8 Health Project- Design, Methods, and Participants」
https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/ehp.0800379
Hill, Peterson, Carper, Bee & Deitzler, PLLC「C8 Science Panel Reports and Findings」
https://www.hpcbd.com/personal-injury/dupont-c8/science-panel-reports-and-findings/
Business & Human Rights Resource Centre「DuPont lawsuits (re PFOA pollution in USA)」
https://www.business-humanrights.org/en/latest-news/dupont-lawsuits-re-pfoa-pollution-in-usa/
Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiology「Guideline levels for PFOA and PFOS in drinking water: the role of scientific uncertainty, risk assessment decisions, and social factors」
https://www.nature.com/articles/s41370-018-0099-9
EPA「Provisional Health Advisories for Perfluorooctanoic Acid (PFOA) and Perfluorooctane Sulfonate (PFOS)」
https://www.epa.gov/sites/default/files/2015-09/documents/pfoa-pfos-provisional.pdf
NATIONAL ACADEMIES「New Report Calls for Expanded PFAS Testing for People With History of Elevated Exposure, Offers Advice for Clinical Treatment」
https://www.nationalacademies.org/news/2022/07/new-report-calls-for-expanded-pfas-testing-for-people-with-history-of-elevated-exposure-offers-advice-for-clinical-treatment
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https://www.eea.europa.eu/publications/emerging-chemical-risks-in-europe
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20860376/
動画「ABEMA Prime【公式】|【PFAS汚染】飲み水に広がる不安…永遠の化学物質?人体に蓄積し発がん性も?基本から学ぶ」
https://www.youtube.com/watch?v=8LB0BfskaSg
動画「デモクラシータイムス|低体重児と希少ガン 令和の水俣「PFOA」NO.5【Tansa報道最前線】2022年5月31日」
https://youtu.be/Ur00Y_6REC8?si=hciI59XD8oSH7J76
動画「デモクラシータイムス|PFOA汚染と母子 令和の水俣「PFOA」NO.4【Tansa報道最前線】2022年4月6日」
https://youtu.be/csXnooscrBk?si=eAKW2TKB4JWUuEnK
書籍「水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法」原田浩二 著
雑誌「人権と部落問題(2024年5月号)」部落問題研究所 出版
雑誌「週刊金曜日(2024年5月24日号)」株式会社金曜日 出版
雑誌「週刊金曜日(2013年1月27日号)」金曜日 出版