保健機能食品とは?種類や利用する際のポイントを解説 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

保健機能食品とは?種類や利用する際のポイントを解説

みなさんは「保健機能食品」をご存じですか?ちょっと難しそうな名前ですが、実はとても身近な食品で、スーパーやコンビニなどでもたくさん販売されています。保健機能食品はいくつかの種類に分かれ、似たような名前を持つ食品群が存在しています。また、保健機能食品とは種類が異なるものであっても、似たような名前を持つ食品群が存在しています。

これらには、どのような違いがあり、どのようなポイントに気をつけて利用すべきなのでしょうか?今回は「保健機能食品」を中心にして、種類や利用方法などについて解説をしていきます。

保健機能食品とは

保健機能食品とは、簡単に言うと、食品(成分)がもつ「機能性[※1]」を、パッケージなどに表示することができる食品群のことを指します。

そもそも食べ物や飲み物(以下「食品」)は、大きく3つに分けられています。

【食品の内訳】
・特別用途食品
・保健機能食品
・一般食品

このうち「機能性」を表示することができるのが、保健機能食品というわけです。

保健機能食品以外の2つの食品群のうち、説明が要りそうなものは特別用途食品でしょう。特別用途食品というのは、以下のような食品を指します。

【特別用途食品の内訳】
・病者用食品
・妊産婦、授乳婦用粉乳
・乳児用調製粉乳
・えん下困難者用食品

特別用途食品もまた意図的な表示がなされていますが、その表示は上記の内訳で挙げた「特別の用途」に適する表示であって、「機能性」の表示ではありません。特別用途食品については、普段の生活において、それほど摂取することがないということもあり、今回は解説を省きます。

ここからは、比較的身近な食品である保健機能食品について、より深く解説を進めたいと思います。

「食品」という大きなカテゴリーの中に存在する「保健機能食品」は、そこからさらに三つの食品群に分けられます。

【保健機能食品の内訳】
・特定保健用食品(トクホ)[※2] 
・栄養機能食品
・機能性表示食品

これら3つの食品群の共通点は「機能性」を表示することができる点です。では、各食品群の違いは何なのでしょうか?それぞれについて見ていきましょう。

※1. 生体調節機能、または「効能・効果(保健効果)」的な文言のこと
※2. 特定保健用食品は、特別用途食品にも含まれていますが、解説をシンプルにするため、ここでは「保健機能食品」にだけ含まれているような表現にしています。

①特定保健用食品(トクホ)

特定保健用食品は、一般的に「トクホ」という名称で知られている食品群です(以下「トクホ」)。

現在、「トクホ」には次の5種類があります。

出典:消費者庁『現在の特定保健用食品』
food_labeling_cms206_200602_01.pdf (caa.go.jp)

ここからは、一般的なトクホ(特定保健用食品)について解説します。トクホというのは、健康の「維持・増進」に役立つことが、科学的根拠に基づいて認められ、機能性の表示が許可されている食品です。

【機能性の表示例】
・「糖の吸収を穏やかにします」
・「お腹の調子を整えます」
・「血圧が高めの方に適しています」 など

表示されている効果や安全性については、国がしっかりと審査を行って、消費者庁長官が許可を出します。

トクホのパッケージには、以下の二つが記載されています。
・許可マーク(正円の中心で、人が大の字に背伸びしているようなマーク)
・「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という文言

ここでのポイントは、「国(消費者庁長官)が表示の許可」を出している点にあります(国による個別許可)。

②栄養機能食品

栄養機能食品とは、一日に必要とされる栄養成分[※]が不足するような場合、その補給や補完をするために利用できる食品です。

すでに科学的根拠が確認されている栄養成分を、一定の基準量含む食品であれば、国に対して届出をしなくても「国が定めた表現」によって機能性を表示することができます。ただし、機能性を表示できるとは言っても、ビタミンやミネラルに関して決まりきった表現しかできませんし、栄養成分の含有量も定められた範囲内に制限をされています。そのため、事業者にとっても消費者にとっても、それほどメリットのない表示制度として捉えられることもあるようです。

【機能性の表示例】
・「亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です」
・「カリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です」
・「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」 など

栄養機能食品のパッケージには、以下の文言が記載されています(「許可マーク」はありません)。
・「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」

ここでのポイントは、使用する栄養成分が一定の条件をクリアしていれば、「国に届出をしなくてもよい」という点にあります(自己認証)。

※. ビタミンやミネラルなど。

③機能性表示食品

機能性表示食品とは、「事業者の責任」において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。トクホとは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません(自己認証)。ただし、販売前には、安全性および機能性の根拠に関する情報などを、消費者庁長官に届け出る必要があります。つまり、「事業者が責任をもって表示をするのであれば、許可なしで機能性表示をしてもいいですよ。ただし事前に届出だけはしてね」ということです。

【機能性の表示例】(事業者によって表示内容は様々です)
・「体に脂肪がつきにくい」
・「目のピント調節機能改善」
・「一時的なストレスの低減」 など

これらの表示は、消費者庁長官による個別審査を経ていませんので、ちょっと怪しい感じがしてしまいますが、消費者庁は販売後の機能性表示食品に対して、次のように述べています。

“ 消費者庁が中心となり、販売後の監視を行います ”

この説明によって、一応「放漫な制度ではない」ということが窺えますが、どれくらい厳しく監視ができているかは定かではありません。実際、いくつかの機能性表示食品は、事業者側から示された科学的根拠(機能性の評価)に、説明の偏りや欠落が見られ、消費者に誤った認識を持たせていると警鐘を鳴らしている農学博士もいます。

ここでのポイントは、「国」ではなく「事業者の責任」によって、機能性表示がなされている点にあります。

また、例のごとく機能性表示食品のパッケージにも、以下の文言が記載されています(「許可マーク」はありません)。
・「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」 

一般食品

一般食品というのは、保健機能食品のように機能性を表示することはできない「一般的な(ふつうの)食品群」を指しています。

一般食品には、以下のような名称がつけられている食品も含まれます。

【一般食品に含まれる食品群】
・栄養補助食品
・健康補助食品
・栄養調整食品 など

保健機能食品(トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品)と、なんとなく似通った感じがして、大変ややこしいのですが、ただの「一般的な食品」です。これらの名称は、国の許可がなくても事業者が好きにつけることができるため、それとなく付加価値の高いネーミングがされています。人によっては「特別な健康効果」があると誤認することがあるかもしれませんが、そういうわけではありませんので、その辺りの見極めは大切です。

ちなみに、世間でよく見聞きする「健康食品」という名称も、一般的に、健康に良いことをうたった食品全般をいいます。これは、体に何らかの良いことを期待して経口摂取する食べ物「全般」を指した名称ですので、それに該当する一般食品に限らず、広義には保健機能食品も健康食品に含まれることがあります。ただ、健康食品という名称は、行政的にも確固たる定義はありませんので、とても曖昧な名称でもあります。

ここでのポイントは、一般食品の中には保健機能食品と似た名称を持つものもあるが、保健機能食品に属していない限り「機能性の表示をすることはできない」という点にあります。

購入・利用する際のポイント

保健機能食品を購入・利用する前には、抑えておくべきポイントが大きく3つあります。

1つ目は「用量を守ること」です。体に良いと言われる食品であっても、完全にデメリットがないわけではありません。摂り過ぎることによって、そのデメリットの絶対量が増え、体に何らかの支障をきたす場合も考えられます。

2つ目は「保健機能食品は、医薬品や医薬部外品ではない、ということを理解しておくこと」です。つまり、保健機能食品を摂取すれば、病気や不具合が劇的に改善されるわけではないということです。国によって機能性が審査されたトクホであっても、医薬品と比べれば、その効果は微々たるものです。「薬のかわりに保健機能食品」または「通院のかわりに保健機能食品」、このような考えは非常に危険ですので、改めなければいけません。

3つ目は「表示されている機能性をすべて鵜呑みにしないこと」です。保健機能食品の中でも、特に機能性表示食品については、前述のとおり国は機能性を審査していません。事業者側が揃えている科学的根拠(機能性の評価)も、完全なものではないことがあります。また、事業者が商品(食品)の販売を優先するあまり、都合の良い事実だけを消費者に伝え、不都合な事実を煙に巻いて表現していることもよくあることです。このような現状を見て、一部の有識者からは「機能性表示食品制度は、消費者の購買意欲を刺激するための『販売促進制度』だ」という意見が挙がっています。つまり、機能性表示食品制度は「経済活性化」や「国富拡大」のために作られた制度である、と言うのです。確かに、国は「販売後の監視」を行っているとはいえ、機能性表示に関して事業者に自己認証をさせているのは、そもそも論として奇妙な話です。また、そのような奇妙な仕組みを持っている機能性表示食品制度が、非常に短い期間(二年未満)でスピード制定されているという事実からも、経済活性化の説が有力だと言えるかもしれません。

この制度の「真の目的」が何なのかについては、ここで明確に答えを出すことはできませんが、一つだけ言えることとしては「機能性表示は、真実を正しく示したものばかりではない」ということです。私たちは「ヘルスリテラシー[※]」の観点からも、気になる表示情報に対しては、事業者に直接たずねたり、消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」サイトを利用するなどして、しっかりと確認をしていく必要があります。

※下記の記事では、「ヘルスリテラシー」について詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみて下さい。
【ヘルスリテラシーを高めよう】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/32165/

さいごに

私たちの健康は、何によって保たれているのでしょうか?

健康を保つには、しっかりと運動を行い、質の高い睡眠をとり、熱中できる趣味をもったり、親しい人たちとの会話を楽しんだりすることが大切です。そして、食生活においては主食、主菜、副菜を基本とし、整った栄養バランスが求められます。健康は、それらをマルチに管理した結果、得られる“たまもの”なのです。

くれぐれも「保健機能食品の摂取=健康」という発想にだけはならないように、気をつけましょう。


参考文献

消費者庁「特定保健用食品について」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses/

消費者庁「特別用途食品について」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/

消費者庁「健康食品」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/health_food/

消費者庁「「機能性表示食品」って何?」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf

消費者庁「機能性が表示されている食品を購入する際」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/foods_161004_0005.pdf

神奈川県ホームページ「農産物・食品の機能性とは」

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cf7/cnt/f450009/p581050.html

内閣府ホームページ「特定保健用食品の許可表示例①」

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg/kenko/130404/item1_2.pdf

MediPalette「トクホ(特定保健用食品)とは?期待できる効果や安全に活用する方法」

https://medipalette.lotte.co.jp/others/3069#h2-2

機能性表示食品取得コンサル「「機能性表示食品とは?」を丸ごと解説」

https://www.yakujihou.com/kinousei/aboutkj-2/

書籍「臨床栄養(Vol.130 No.5 2017-5)」医歯薬出版株式会社 出版

書籍「「健康食品」ウソ・ホント」高橋久仁子 著