朝食を摂ることが大事な理由 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

朝食を摂ることが大事な理由

「日中に集中力を高めて、シャキッと冴えた意識でいたい。」
「肉体作業をしてもバテない体力がほしい。」
「健康を保ちつつ体型もスリムでいたい。」
これらはどれも、中年以降の男女における切なる願いです。

しかし、実生活においては、その願いとは真逆の過ごし方をしている人がほとんどです。コーヒーで眠気を飛ばし、エナジードリンクでその場をしのぎ、サプリで栄養補給して、欠食をしてカロリーセーブ。どの方法も一時的には願いを叶えることができるかもしれません。しかし、これらの方法は仮初めの応急処置であり、ほとんどの場合、後から何らかのツケが回ってくることになります。

本質的な改善をするのであれば、やはり「生活習慣の見直し」を行う必要があるでしょう。いくつかある生活習慣のうち、何を最初に見直すべきかという問題は様々な視点がありますが、「朝食」をしっかり摂ることから始めてみるのも良いかもしれません。多くの人にとって朝食は、食生活の中でも重要度や優先度が低く、除外の対象になりがちですが、実は上記の願いを叶えてくれる可能性が大いにあるのです。

今回は、朝食の重要性について解説をしていきます。

朝食を摂るメリット

朝食を摂るメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
農林水産省では、朝食を食べる習慣(以下、朝食習慣)がある人の傾向として、以下の4つの研究報告を紹介しています。

朝食習慣は「食事の栄養バランス」と関係している
・朝食習慣がある人は、穀類、野菜類、卵類などの食品摂取量が多い
・朝食習慣がある人は、栄養素の摂取量も多い

朝食習慣は「生活リズム」と関係している
・朝食習慣がある人は、早寝早起きの人が多い
・朝食習慣がある人は、良質な睡眠をとれている人が多い

朝食習慣は「心の健康」と関係している
・朝食習慣がある人は、ストレスを感じていない人が多い
・朝食習慣がある人は、家族や友人に対して肯定する気持ちが強い(「大切である」など)

朝食習慣は「学力・学習習慣や体力」と関係している
・朝食習慣がある人は、学力が高い
・朝食習慣がある人は、学習時間が長い
・朝食習慣がある人は、体力測定の結果が良い

これらの研究の対象は「幼児から成人まで」と幅広く、研究によって異なります。また、朝食習慣のある人とない人との比較結果を傾向として示している為、絶対的な因果関係としては捉えられない部分もあるかもしれません。しかし、朝食習慣のメリットは、上記の研究報告以外にも沢山示されており、多くの専門家が朝食習慣を薦めています。

いくつか代表的なものを紹介していきましょう。

やせやすくなる

一般的に「朝・昼・夕」の三食と「昼・夕」の二食とでは、二食の方が総摂取カロリーが少なくなる為、やせやすいと思われています。しかし、健康的かつ効率的にやせたい場合には、三食の方が良いとも言われています。そして、その中でも「朝食」の重要性はとても高く、以下の理由で推奨されています。

・朝食を摂ると、昼食や夕食での過食を防げる
・朝食を摂ると、間食を抑えられる
・朝食を摂ると、夜食を抑えられる
・朝食を摂ると、活力の充実から運動量が上がる
・朝食は「食事誘発性体熱産生[※]」が高いため、効率的に代謝量を増やせる

また、これらの「朝食と体型との関係性」は、絶食時間の長さで説明することもできます。朝食を抜いた場合、前日の夕食から次に摂取する食事までの時間、つまり「絶食時間」が長くなります。絶食時間が長くなると、体はエネルギーが入ってこないと思い、心身のエネルギー消費を抑えます。また、体は飢餓の危険を避ける為に、摂取した食事を無駄なく体内に取り入れ、脂肪として貯蔵しようとしてしまうのです。つまり、朝食を抜くと、やせないどころか太りやすくなるのです。

※. 食事の際に体が熱を産生する現象のこと。朝食は、昼食あるいは夕食と比較して食事誘発性体熱産生が高く、夜食との比較においては、4倍も多く熱を産生すると言われています。

糖尿病になりにくい

朝食習慣のある人は、ない人と比較して、糖尿病になりにくいと言われています。このことを説明するにあたっては、「朝食習慣のない人は糖尿病になりやすい」という視点から話をした方が分かりやすいでしょう。

まず、朝食を抜くとお腹は減り、血糖値は低下します。血糖値が通常よりも低下すると、脳は「食べろ!」と強い命令を出すようになり、それによって食べ物への欲求が高まります。その状態で昼食の時刻が訪れ、いざ食べてもよい状態になると、セキを切ったように食欲が解放され、過食をしてしまうのです。しかも、単に食べる量が増えるだけではなく、かき込むように急いで食べてしまう為、血糖値は急上昇します。すると、これを処理するために、すい臓からインスリン[※]が大量に分泌されます。

「血糖値の急上昇→インスリンの大量分泌」、これを繰り返すとすい臓は徐々に疲れ、やがてインスリンの出が悪くなってしまうのです。インスリンの出が悪くなるということは、血中の糖が細胞に取り込まれにくくなることを意味しており、これが糖尿病の原因になるのです。つまり、朝食を摂ると糖尿病になりにくいと言われる理由は、こういった過程を踏まないことにあります。

※. 血糖を筋肉や脂肪細胞に取り込ませ、血糖値を下げる働きをするホルモン

朝を活力的に過ごせる

人間は寝ている間も、生命を維持するためのエネルギーが必要です。しかし、寝ながら食事を摂ってエネルギーを確保することはできない為、食事以外の方法でエネルギーを確保する必要があります。ここで重要な役割を果たすのが「コルチゾール」というホルモンです。

コルチゾールは、体に蓄えられている「グリコーゲン(脂肪やブドウ糖の塊)」を代謝してエネルギーに変える働きを持っており、体内時計に従って夜中の3時頃から大量に分泌されます。コルチゾールが大量に分泌されることでエネルギーが確保され、その結果、心臓や肝臓などが動かされて睡眠中の生命が維持されるのです。

このコルチゾールが生み出すエネルギーは、睡眠中の生命維持に使われる他、寝起き直後の活動にも使われます。しかし、昼までは持続せず、朝の10時頃までには切れてしまいます。朝から昼にかけてしっかりと仕事をしたい場合には、コルチゾールによって生み出されたエネルギーがまだ残っている内に、次のエネルギーを補給する必要があります。その為に必要になるのが「朝食」なのです。朝食を摂ることでエネルギーの切れ目がなくなり、朝と昼を活力的に過ごすことができるというわけです。

さらに、朝食を摂ると脳内で「βエンドルフィン」という物質が分泌されます。βエンドルフィンは気分を高揚させ、幸福感をもたらす作用があり、マラソン選手に見られるランナーズハイもこの物質によるものだと言われています。このβエンドルフィンの作用のおかげで、爽快でやる気に満ちた一日のスタートを切ることができるのです。

記憶力や集中力を高められる

朝食の摂取は、記憶力や集中力を高めることに役立ちます。2004年に文部科学省が行った調査では、主要5科目(国語・数学・理科・社会・英語)において、毎日朝食を摂っている子供たちが、一番成績が良かったという結果が出たそうです。2008年の全国学力・学習状況調査でも、朝食を毎日食べる児童生徒は、ペーパーテストの正答率が高い傾向が見られたそうです。

また、15分間の簡単な足し算をして5分間休憩を取り、再び15分間の足し算をするという実験で、朝食をしっかり摂った場合と、摂らなかった場合の集中力の違いを比較した研究もあります[※1]。結果は、朝食を摂った方が集中力が高まり、間違いも少なくなったと報告されているようです。

さらに、アメリカで行われたある研究では、朝食を摂った場合と摂らなかった場合の「知能指数」における違いが報告されています[※2]。朝食を摂った場合は、図形の空間配置の記憶を呼び戻す時間や、単語を思い起こす時間が短縮され、知能テストの成績が向上しました。

これらの結果から分かるように、朝食を摂ることは、記憶力や集中力を高めることに大変役立っているのです。

※1. 実践女子大学の中川靖枝教授の研究(2000年9月4日の朝日新聞朝刊に記載)
※2. D.ベントン博士とP.Y.パーカー博士の研究(1998年の米国臨床栄養学雑誌に記載)

生活のリズムが整う

朝食は「覚醒」と「活動の開始」を脳に伝える大切な要素の一つです。
私たちの体は「サーカディアンリズム」と呼ばれる体内時計に従って、様々な生理的活動を行っています。この体内時計は、私たちが知っている一般的な時計の周期とは異なり、25時間の周期を持っています。つまり、24時間周期の地球の自転とは1時間ほどのズレがある為、何も調整(リセット)をしなければ、日ごとに1時間ずつズレが生じ、最終的には生活のリズムが乱れてしまう可能性があるのです。

ここで重要な役割を果たすのが「朝日」と「朝食」です。
朝日と朝食は、体内時計に対して、それぞれの働きを見せます。具体的には、朝日を見ることで「主時計」と呼ばれる脳の中枢にある体内時計が調整され、朝食を摂ることで「末梢時計」と呼ばれる全身の臓器の細胞の中にある体内時計が調整されます。これによって、一日のリズムが整い、覚醒から活動、睡眠に至るまでのサイクルがスムーズになるのです。

また、毎日の朝食を定時に摂り続けることで、体内では「摂食予知反応」が起き、消化器官が食事の時間に合わせて消化液や消化酵素を分泌するようになります。これによって、食事の消化と吸収が効率的に行われ、一日を通してのエネルギー供給が安定するようになるのです。

朝食を抜いてしまう主な理由

朝食習慣を取り入れる場合、現在のライフスタイルにおいて、何がネックになるのかを見極める必要があります。多くの場合、以下の三つの要素が「朝食を抜いてしまう主な理由」として挙げられ、ネックになっているようです。

それぞれの理由(ネック)を見ていき、改善策を一緒に考えてみましょう。

朝の時間のなさ

「朝の時間のなさ」は、つまり、良質な睡眠がとれていないことを意味しています。

良質な睡眠がとれている人の場合、朝の目覚めがよいため、アラーム音が鳴ると同時にベッドから起き上がり、すぐに朝食の準備に取り掛かることができます。また、良質な睡眠がとれている人の多くは、自分に合った睡眠のコツをよく理解していて、睡眠時間帯の調整も上手に行うことができます。そのため、就寝時間と起床時間を早めて、朝食の時間を確保することは比較的簡単にできることでしょう。
「朝は時間がなくて朝食が食べられない」と嘆いている人は、まずは「睡眠の質」から改善してみるとよいでしょう。

以下の記事では、「睡眠の重要性」と「意外な改善方法」について詳しく解説しています。
【睡眠の重要性(前編)|睡眠不足が心身に及ぼす影響とは
https://www.nihon-trim.co.jp/media/32808/
【睡眠の重要性(後編)|腸内環境と睡眠の関係性について
https://www.nihon-trim.co.jp/media/32810/

準備が面倒くさい

信じられないかもしれませんが、「食事の準備が面倒くさい」と考える人は、意外に多いようです。
こういった人の中には、朝の時間帯を「ゆっくりと穏やかに過ごしたい」と考え、朝食は近くの喫茶店などでモーニングセットなどを頼み、簡単に済ませてしまうことがあります。また、単純に「準備をするのが面倒くさい」と感じているだけの人は、菓子パンと缶コーヒーで朝食をすませ、そのまま昼食まで何も食べないこともあるようです。
いずれにしても、何も食べないよりはマシかもしれませんが、喫茶店での軽食や菓子パンなどは、自炊された料理に比べて栄養価が低いことが多く、また種類によっては添加物の悪影響を多く受けることも考えられます。

前日の就寝前にあらかじめ朝食の準備をしておくか、簡単に準備のできる栄養価の高い食品を日頃から探しておくことが大切です。

食欲がない

中年以降は胃腸の働きが低下してくる為、若い頃のように朝から沢山食べることは難しくなります。しかし、その程度の食欲の低下は問題ではなく、むしろ自然な現象です。

一方、朝に何も食べられないほどの食欲の低下は、胃腸に何らかの問題が起きている可能性が考えられます。その問題は、前夜の飲み過ぎや食べ過ぎ、深夜食などが原因で起きている「胃もたれ」なのかもしれません。もしくは、日々のストレスの蓄積による「胃痛」なのかもしれません。原因が胃腸にあり症状が重い場合には、医療機関を受診する必要がありますが、同時に生活習慣の改善や食生活の改善、そして胃腸のケアも行っておくと良いでしょう。

生活習慣の改善では「遊び仲間・遊ぶ頻度・遊ぶ場所・遊ぶ時間帯」、食生活の改善では「食べる(呑む)もの・食べる(呑む)量・食べる(呑む)時間帯・食べる(呑む)スピード」などを見直すことがポイントです。

そして、毎日の胃腸ケアにおいては「電解水素水」の飲用がオススメです。電解水素水は、整水器と呼ばれる医療機器から生成される水素を含んだアルカリ性のお水のことで、「胃腸症状改善の効果」が認められています。胃腸の働きを助けたり、腸内環境を整えるのに大変役立ちますので、胃腸に自信がない方にとっては、まさに最適なお水と言えるでしょう。

以下の記事では、電解水素水について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
【付加価値を持つ水とは?腸活に役立つ電解水素水について解説!】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/29468/

さいごに

朝食に関する調査や研究は、沢山の医師や研究者たちによって行われています。その人たちの中には、朝食の摂取を「良し」と考える人もいれば、逆に「悪し」と考える人もいるようです。朝食関連の書籍の背表紙を見ても、良し悪しの二極化が見られ、内容を読んでもそれぞれに根拠となる論文やエビデンスなどが示されています。朝食の改善を考えている人にとっては、この二極化状態はとても悩ましい問題と言えるでしょう。
しかし、真の問題は「どちらの方が自分に合っているか」であり、それを「見つけ出すこと」こそが肝心だと言えます。

朝食の摂取は、体質や体型、持病、年齢、勤務形態など、様々な要素によって良し悪しが異なります。少し乱暴な物言いにはなりますが、一度試してみて体調が良い方が、あなたにとってのベストアンサーでしょう。
健康面で不安がある人は、担当医にしっかりと相談してからトライアルを行いましょう。


参考文献

農林水産省「朝食を毎日食べるとどんないいことがあるの?」

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/evidence/chosyoku.html

CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS「Lewis G Halsey et al.,|Does consuming breakfast influence activity levels? An experiment into the effect of breakfast consumption on eating habits and energy expenditure」

https://www.cambridge.org/core/journals/public-health-nutrition/article/does-consuming-breakfast-influence-activity-levels-an-experiment-into-the-effect-of-breakfast-consumption-on-eating-habits-and-energy-expenditure/38E5978CB245B7EEA9D68F223BF242FF

書籍「あなたに奇跡を起こす101の方法」ジョン・ゴードン 著

書籍「食卓の品格」香川芳子 著

書籍「子どもの欠食・孤食と生活リズム」藤澤良知 著

書籍「朝5時半起きの習慣で、人生はうまくいく!」遠藤拓郎 著

書籍「新朝食のすすめ」香川靖雄 著

書籍「知っておきたい食生活支援のコツとポイント」第一出版 出版