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バイオハッキングによる健康への可能性

皆さんは「バイオハッキング」という言葉をご存知ですか?
なんだか少し怖いイメージを抱くかもしれませんが、バイオハッキングとはまったく怖いものではありません。

バイオハッキングは、私たちの健康や能力を向上させる取り組みであり、ひいてはQOL(生活の質)の向上をも追求する取り組みの一つなのです。

今回は、バイオハッキングによる健康への可能性について解説をしていきます。

バイオハッキングとは

バイオハッキングとは、「科学技術」と「生物学、生理学、栄養学」などを組み合わせ、その融合されたテクノロジーを利用して、健康状態の改善や能力の向上を追求する取り組みのことです。汎用的な健康活動や能力開発の実践とは違い、各自の生物学的な情報をもとにした取り組みが行われるため、より的確で効率的な改善をはかることができます。

また、この取り組みがカバーする領域は、食事、睡眠、運動といった生活習慣の最適化から、遺伝子の編集や、高度なテクノロジー機器による肉体改造に至るまで、広範囲に及んでいます。

具体的な取り組みとして、どういったものがあるのかを見ていきましょう。

身体のバイオハッキング

一部の先進的なバイオハッカーは科学的技術や機器を用いて、以下のような身体改良(改造)を行うことがあります。

・自身の遺伝子を編集するための注射
・体内へのマイクロチップのインプラント[※] 
・頭蓋骨への人工センサーのインプラント
・暗闇の中でも視力を増す目薬の点眼 など

特殊な注射やキットを使用して、自分で遺伝子を編集しようとすることを「DIYバイオ」と言います。DIYバイオの目的は様々ですが、例えば以下のようなものが挙げられます。

・病気への耐性強化
・不治の病からの回復
・身体能力の強化 など

本来、遺伝子編集は十分な安全性を確保する必要がありますが、そういった検査プロセスは多くの時間がかかり、病気の進行具合を考慮した場合、そういった検証の結果を待てない人もいます。
一方、単純に筋肉を増強したいなど、自分の能力を向上させようとしてDIYバイオを行う人もいます。

次に、マイクロチップや人工センサーなどを体に埋め込んで、身体能力を向上させたり、新たな機能を得ようとする思想のことを「トランスヒューマニズム」と言います。この思想の最終目標は不老不死とも言われており、そのプロセスにおいて「脳とAIの融合」が行われることもあるようです(ニューラリンク社などの取り組みが有名です)。

※. 例えば、親指と人差し指の皮膚の下にマイクロチップを埋め込み、買い物や交通料金の支払いにICカード代わりとして使用されることがあります。2018年時点で、スウェーデンでは4000人以上の人がインプラントを行っていると言われています。

食事や栄養のバイオハッキング

食事や栄養摂取において、気をつけなければならないことの一つに「血糖値」が挙げられます。

血糖値を抑えるためには、単純に炭水化物の摂取をなくせばいいと考えている人もいるようですが、人によっては、炭水化物の非摂取は体に悪い影響を及ぼすこともあるため、安直な判断は控えるべきです。特に、糖尿病患者およびその予備軍の人たちの場合、どれくらいの摂取が適量なのかは担当医との相談によって調整されるべきですが、摂取推奨量に目途が付いた後は、個人での血糖値管理も適切に行わなければいけません。

バイオハッキングでは、自分の身体情報を収集して、その情報を元に改善を図っていくのが基本スタイルですので、食前・食後のデータ収集は定期的に行う必要があります。

既存の「指に針を刺して行う計測方法」もバイオハッキングの一種にはなりますが、近年ではより便利なバイオハッキングとして「持続グルコースモニター(CGM)」の使用が挙げられます。これは常時リアルタイムで血糖値の動きを把握できる優れた機器で、オセロ石のようなディスクを上腕に貼り付けて(装着して)、間質液中の血糖を測定します。測定した情報はスマートフォンのアプリを介して、いつでもすぐに見ることができるため、自分が摂った食事内容が血糖値にどれくらい影響を及ぼしているかが手軽に分かります。

また、計測は食事の前後だけに限定されないため、たとえば、運動・睡眠・ストレス・水分補給などの要素が血糖値にどういった影響を及ぼしているのかも見ることができ、大変便利です。      

睡眠やストレスのバイオハッキング

睡眠のバイオハックも他のバイオハックと同様に、まずは個人の睡眠にまつわる情報を記録・収集するところから始まります。例えば、スマートウォッチを装着した状態で就寝することで、睡眠中の寝返り回数や心拍数の変動などのデータが機器に送られ、それによって以下のような情報を得ることができます。

・何時にベッドに入ったか
・何時に眠りについたか(入眠したか)
・ノンレム睡眠(またはレム睡眠)がどれくらい長く持続したか
・夜中に覚醒した回数は何回か
・何時に目が覚めたか
・何時にベッドを出たか など

これらの情報を得ることによって、個々の睡眠傾向や睡眠の質の良し悪しが分かり、日中の覚醒時間帯において、室内光量の調整やカフェインの摂取タイミングの調整などが促されます。

ウェアラブル機器としては他にも、睡眠中の脳波を計測するためのヘッドバンド(スマートスリープなど)もあり、これを装着して寝ることで、スマートウォッチよりも正確な睡眠ログや睡眠スコアを得ることができます。また、この器機にはノンレム睡眠[※]状態を感知すると、特殊な音を骨伝導技術で配信し、その状態を長くキープする機能もあるのです。浅い眠りが続いて脳疲労がとれず、ストレスフルな毎日を送っている人にはオススメの機器です。効果の現れ方は人によって異なりますが、たとえば実業家の堀江貴文氏の場合、この機器の使用によってノンレム睡眠が12分間ブーストされ(伸ばされ)、朝の目覚めが良くなったとYouTubeで紹介されています。

※. いわゆる「深い眠り」のこと。ノンレム睡眠中には「成長ホルモン」がたくさん分泌されるため、脳や体の疲労、炎症などが回復されます。

運動とフィットネスのバイオハッキング

昔から行われている運動のバイオハッキングとしては、歩数計を使った運動管理が挙げられます。歩数計は一日にどれくらい歩いたかを知るための計測機器で、これを使って1日1万歩を目標に毎日ウォーキングに励んでいる人も多いことでしょう。

歩数計を使ったウォーキングは、何もつけずに行ったウォーキングと比べると、視覚的に運動量を確認することができるため、継続性を維持しやすいというメリットがあります。しかし、歩数計は計測できる情報が「歩数」に限定されているため、「実質的な運動量」を計測する機器としては不十分と言えます。例えば、ダラダラとゆっくり歩いた一歩と、サッサと素早く歩いた一歩、どちらも同じ「一歩」としてカウントしてしまうことによって、実質的な運動量の違いが見えにくいというデメリットがあるわけです。その結果、歩数計だけで運動管理を行っていると、少ない運動量のままウォーキングを習慣化してしまうことも考えられます。

実質的な運動量を知り、自分に合った運動プランを組み立てる場合、歩数情報の他に「心拍数情報」や「血圧情報」も計測できた方がよいでしょう。これらの情報を得ようとする場合、手軽な方法としては「スマートウォッチ」の着用がオススメです。近年のスマートウォッチは多機能化が進み、中には歩数や心拍数、血圧などを計測できるものがあります。スマートウォッチの血圧測定機能については、やや精度が怪しまれていたこともありましたが、近年では「オシロメトリック法」を採用したモデルが登場するようになり、精度が向上しているようです[※]。スマートウォッチを使用することで、過不足やムリのない、自分に合った運動量の調整が行えるようになるでしょう。

※. 本体の裏面に「カフ(小さなエアバッグ)」が搭載されているものが、オシロメトリック法を採用したモデルになります。

個人の健康とバイオハッキング

健康に対する取り組みは、古代より多くの人たちによって提唱され、実践されてきました。しかし、それらの健康法は疫学の見地から見出された汎用的な健康法であることが多く、今となってはレディメイドの健康法だったと振り返ることができます。一方、現代ではインターネットの整備とともに、科学技術が飛躍的に向上し、医療機関では個人に特化したオーダーメイドの健康法が確立され台頭してきています。

また、個人においても自分自身の健康情報や遺伝子情報などにアクセスすることが容易になり、「健康は自分自身でコントロールできる」という意識が、より高まってきているように思われます。その結果、近年ではスマートフォンやスマートウォッチ、そしてそれらにインストールされたアプリを使って、積極的に健康管理を行うことが一般化してきているようです。

「ウンログ」で腸内バイオハック

最近、腸内環境の改善をサポートする「ウンログ」というアプリが、ユニークなバイオハックアプリとして注目されています(2024年2月時点で100万ダウンロードを突破し、テレビでも取り上げられています)。

このアプリは、「食事の記録」と「排便の記録(色・形・量)」を継続的にとっていき、その取りためた記録をカレンダー表示で振り返ることで、今後の改善に役立てようとするものです。操作画面は非常にシンプルで分かりやすく、かわいいキャラクターが登場してゲーム要素もあるため、気軽に楽しみながら利用することができます。

ビジュアルがシンプルでかわいいと聞くと、なんとなく粗悪なゲームアプリを連想してしまう人もいるかもしれませんが、ウンログの排便管理における機能設計は、とてもしっかりしています。実際、ウンログを利用して、いい便が出るようになった人の割合は「91.3%」にものぼります[※]。このアプリは無料で利用できますので、排便に支障を感じている人は、ぜひ一度使ってみて下さい。

アプリの詳細については、以下のサイトで紹介されています。
株式会社日本トリム|100万DL突破の腸活サポートアプリ「ウンログ」と業務提携~腸活市場における電解水素水の機能や可能性の理解向上を目的~
https://www.nihon-trim.co.jp/news/5071/

※. 14日間「ウンログ」を利用して便の状態が改善した率

さいごに

バイオハッキングの実践は、自分自身を知ることに繋がります。自分自身を知るというのは、現在の自分の能力や健康状態を把握するということだけではなく、そこには「生き物である自分を再認識する」という意味も含まれています。自身の情報を収集するとき、ログをとるとき、実践結果を分析するとき、それぞれのタイミングで生き物である自分を意識してみて下さい。そうすることで、自分にとって何が大切(必要)で、何が大切でない(不必要)のかが、自然と見えてくるはずです。

トランスヒューマニズムやサイボーグ化など、一部突飛なバイオハッキングを行う人もいますが、真のバイオハッキングは、生き物である自分を慈しみ、いたわることなのかもしれません。


参考文献

valuepress「株式会社スポーツゲインのプレスリリース|バイオハックの世界的権威「Biohacker Center」と提携、日本でのバイオハッキング普及を担う『Biohacker Center Japan』が活動開始」

https://www.value-press.com/pressrelease/286525

ギズモード・ジャパン「自分の身体で遺伝子実験を行なう「バイオハッカー」たちを規制するべきなのか」

https://www.gizmodo.jp/2018/01/genetically-engineering-themselves.html

WIRED JAPAN「シリコンヴァレー式、肉体を変える最強のハック:あの“完全無欠コーヒー”男のハイテク高級ジム」

https://wired.jp/membership/2019/10/11/bulletproof-body-hacking-gym/

テックプラス「スウェーデン、4000人超がマイクロチップを皮膚下に埋め込み」

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20181030-715205/

オムロン ヘルスケア「血圧計を知り ただしくつかう|【ゼロイベント】高血圧による脳・心血管疾患の発症ゼロ」

https://www.healthcare.omron.co.jp/zeroevents/bloodpressuremonitor/know.html

角川アスキー総合研究所「今人気のファーウェイ製スマートウォッチ! 詳細機能比較でどれを買えばいいか、これでわかる! (3-3)」

https://ascii.jp/elem/000/004/175/4175622/3/

ウンログ株式会社「ウンログ – No.1観便&腸活サポートアプリ」

https://unlog.co.jp/services/unlog/

動画「新R25ニュース|睡眠の質を高める目的で開発されたデバイス「SmartSleep」とは? sponsord by フィリップス・ジャパン」

https://www.youtube.com/watch?v=XEz2bbSuZWM

書籍「脳と身体を最適化せよ!」モリー・マルーフ 著