水道水がまずいと感じる原因は?おいしく飲むための対策 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

水道水がまずいと感じる原因は?おいしく飲むための対策

水道水がまずいと感じたことはありませんか?

日本の水道水は「飲用適のお水(そのまま飲める水)」として、世界でも高い品質を誇っています。しかしその一方で、近年ではボトルドウォーターを購入して飲む人も増えつつあり、水道水の味には不快感を覚える人も多くいるようです。水道水がまずいと感じる原因は、一体何なのでしょうか?

今回は、水道水のまずさの原因と、水道水をおいしく飲むための対策について解説をしていきます。

水道水がまずいと感じる原因は?

水道水のまずさの原因は、たくさんあります。
代表的な原因について見ていきましょう。

容器の汚れ

お水を入れる容器に汚れがあれば、水道水の味に影響を及ぼすことがあります。たとえば、コップや水筒、そして水筒代わりに使っているペットボトルなどは、水道水を飲む際に必ず口がつくため、唾液が容器に付着したり、水中に混入します。その状態で長時間放置すると、容器や容器中のお水に雑菌が繁殖するため、二度目に水道水を飲んだときにまずく感じたり、異臭を感じたりすることがあるのです。

また、直接口をつけない容器であっても、洗浄が不十分なまま使用し続けた場合には、時間の経過とともに雑菌が繁殖し、水道水がまずくなることがあります。たとえば、冷蔵庫の製氷用給水タンクやピッチャーなどが挙げられます。これらの容器も、しっかりとした洗浄がされない場合が多くあります。特にピッチャーのフタは、一般的なスポンジで洗うことができないものも多くあり、すすぐだけで済ませてしまう人もいるようです。

機器の汚れ

劣化した給湯器や、交換時期(使用期限)を過ぎた浄水器フィルターは、水道水の味をまずくさせることがあります。給湯器の場合、水道水をまずくさせる主な原因は「配管のサビ」です。サビが進行すると、赤褐色の水が出たり、水中に黒い粒が混ざるようになり、味や臭いも鉄っぽくなります。

一方、浄水器フィルターの場合、水道水をまずくさせる主な原因は「カビ」です。浄水器フィルターの濾過(ろか)性能は、使用とともに少しずつ低下していきます。メーカーの定める交換時期を過ぎてもなお使用し続けた場合、不純物がたまったフィルターが目詰まりを起こし、カビの発生源になる恐れがあります。また、お湯を通水した浄水器は、フィルター内部(カートリッジ内部)の活性炭が膨張するため、フィルターに溜まっていた不純物が水と一緒に流れ出ることがあり、これも水道水のまずさの原因になります。

水道管の汚れ

古い水道管は経年劣化によって、内部に赤サビが発生していることがあります。赤サビが発生している場合、水道水中にも赤サビが混ざり、それによって水道水の味や色、臭いを悪くします(「赤水」と呼ばれます)。これは水道管の材料が、鉄を主成分としているためで、赤サビは鉄と水の接触によってできた酸化鉄です。最近の水道管には、架橋ポリエチレン管や塩化ビニール管などが採用され、赤サビ対策がしっかりとされているようですが、築年数が古い建物では、今でもこういった水道管(給水管)が使用されていることがあるようです。また、こういう古い水道管は、長期間使用しなかったり、凍結させてしまうと、より赤水がでることになると言われています。

一方、築年数の浅い建物であっても、赤水が出る場合はあります。それは、住宅外(敷地外)の地中に埋設されているメインの水道管(配水管)に赤サビが発生している場合です。その場合、一軒だけでなく、その地域一帯で赤水が出ることになります。

貯水槽の汚れ

水道水がまずい原因の一つとして、貯水槽の汚れが挙げられます。特にマンションやビルなどの集合住宅では、屋上や地下に設置された貯水槽を経由して各家庭に水が供給されることがあり[※]、この貯水槽の状態が水の味に大きく影響します。10トン超の貯水槽の場合、貯水槽の設置者は、年に1回以上の水質検査(残留塩素濃度のチェック)と清掃が、それぞれ法律で義務づけられています。しかし、実態としては適正な管理がされていない場合もあり、その場合には貯水槽内にある水質は悪化し、味や臭いも悪くなってしまいます。

また、貯水槽内の衛生状態を悪化させる要因には、現代人のライフスタイルが昔ほど水道水を使用しないものに変わったことも挙げられます。
具体的には、以下のような要因が挙げられます。

・節水性能に優れたトイレや洗濯機の使用
・ボトルドウォーターの飲用機会の増加
・「夫婦の共働き」の増加による住戸滞在時間の減少 など

これらの要因によって、貯水槽内の水は、一昔前に比べて滞留時間が長くなりました。水の滞留時間が長くなると、水質維持の役割をもつ「残留塩素」の濃度が時間とともに低下していき、水質悪化の原因になります。

※. 最近では、貯水槽を介さずに給水する「直結給水方式」も増えてきています。

水道水中の残留塩素

水道水には微量の塩素が含まれています。その理由は、水道水の元となる水(原水)を消毒して病原微生物を死滅させたり、作られた水道水の水質悪化を防ぐためです。水道水中の塩素の量(濃度)は各水道局で厳格にコントロールされており、水道水が各家庭の蛇口に届けられた時点でも、ある程度の量が残留するように計算されています。これにより、私たちは安全性の高いお水を飲むことができているわけですが、その一方で、塩素の残留によって、水道水に変な臭いや味がついてしまうというデメリットもうまれます(カルキ臭)。こういった水道水の塩素による味や臭いの変化は、水道水の温度が高まる夏場に強まると言われています。

また、各家庭に届けられる水道水の残留塩素濃度は、水道局からの距離に依存するため、水道局に近い家庭ではより強く塩素の影響を受ける可能性があります[※]。

※. 近年では、塩素を追加注入できる設備を配水系統に組み入れ、距離による塩素濃度のバラつきが生じないようにしている地域も見られます。

水道水がまずいと感じた場合の対策

水道水のまずさを抑える方法には、どのようなものがあるのでしょうか?
代表的な方法は、以下のとおりです。

水道管の交換・清掃する

水道管は以下の二つに大別されます。

【配水管】
・浄水場(配水池)から各家庭の近くまで水を運ぶ大きな管
・通常、道路の下などに埋設されている
・水道事業者(自治体など)が管理

【給水管】
・配水管から分岐して各家庭へ水を運ぶ管
・家屋所有者が管理

赤水が出ている場合、まずは近所の住人とコミュニケーションをとり、地域一帯の事態(配水管の劣化)なのか、それとも自宅だけの事態(給水管の劣化)なのかを見極めます。自宅だけの場合は、水道事業者に相談し、給水管の状態に応じて交換や清掃を検討してください(どちらも自己負担)。地域一帯の場合は、各地域の水道事業者などに現状を伝え、対応してもらうとよいでしょう。

貯水槽内の確認を依頼する

集合住宅の場合、貯水槽の衛生管理(水質検査や清掃)は、個人で行うことはできません。たとえ物理的に行うことができる場所に貯水槽があっても、個人の所有物ではありませんので、絶対に行わないで下さい(建物の規約や法律に違反する恐れがあります)。

貯水槽の衛生確認をしてもらうには、その建物の所有者や管理組合に相談をする必要があります。しかし、相談をするにあたっては、事前に水質悪化の要素(貯水槽の汚れ以外の要素)を洗い出し、個人でできる限りクリアしておいた方がよいでしょう。また、他の住居者とも話をして、同じような事態になっていないかを確認しておくことも大切です。そうすることで、貯水槽の衛生確認をおこなう必要性が相手に伝わりやすく、事がスムーズに運びます。

給湯機の買い替え・修理する

給湯機の製造年月を確認し、あまりに古いものは買い替えを検討しましょう。通常、製造年月は本体正面にある銘板に、型番などと一緒に記載されています。記載方法は「11.10-020773」などと、少し分かりにくい形で記載されていることもありますので、よく分からない場合には、メーカーに電話で確認してください(この場合、先頭の4ケタの数字から「2011年10月」)。

給湯機の耐用年数は、おおよそ10~15年ですが、使用頻度や使用環境によって変わりますので、それらを考慮した上で、買い替えまたは修理を検討しましょう。

カルキ抜きを行う

水道水に含まれる残留塩素は、カルキ臭を発生させ、水道水の味に悪影響を与えることがあります。このカルキ臭を抑えるには、「カルキ抜き」を試してみるとよいでしょう。

カルキ抜きには以下のような方法があります。
・沸騰させる
・活性炭にとおす
・緑茶にする
・柑橘類を入れる

上記の方法については、以下の記事でも紹介していますので、チェックしてみて下さい。
【カルキ抜きで水道水を美味しく!家庭で簡単にできるカルキ抜き】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/30131/

浄水器や整水器を設置する

浄水器や整水器に備わる浄水フィルター(カートリッジ)に通すことで、水道水に含まれる残留塩素やその他の不純物を取り除くことができます。濾過性能が高い浄水フィルターであれば、水道水に含まれる塩素や2-MIB(カビ臭の原因物質)など、味や臭いに影響を及ぼす不純物をかなり除去してくれます。また、そのような浄水フィルターはサイズの大きいものが多く、比較的長い間、水道水を濾過し続けてくれます。なお、浄水フィルターの交換時期については、通水量や使用環境によっても異なりますので、確認のうえ早めに交換するようにしましょう。

また、整水器については、単なる浄水機能だけではなく、特有の効果や利便性もあります。
以下の記事では、整水器で生成される電解水素水の効果や利便性について解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。

【付加価値を持つ水とは?腸活に役立つ電解水素水について解説!】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/29468/

【整水器で水と料理の味は変わる?整水器と水の“味”の関係】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/13253/

さいごに

日本の水道水は、そのまま飲める水として世界でも高い品質を誇る一方、近年では安全性が懸念されています。その理由は、PFASによる水源汚染(河川や地下水などの汚染)が、多くの地域で確認されているためです。

現在、日本の水道局などでは国が定めた暫定目標値に基づいて、水道水のさらなる清浄化に取り組んでいます。しかし、日本の暫定目標値はアメリカの定める基準値(規制値)と比べてやや緩く、その点を指摘する専門家もいるようです。日本の目標値に対する評価は人によって異なりますが、万全を期すのであれば、PFAS除去に対応した浄水器や整水器の購入を検討してもよいかもしれません。

以下の記事では、PFASについて解説していますので、知識を深めたい方はぜひ参考にしてみてください。
【有機フッ素化合物PFAS(PFOS・PFOA)とは?懸念される影響について】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/31676/


参考文献

給湯パンダ「【給湯器の豆知識】給湯器の錆は放置しないで!配管が錆びた時のサインと対処法」

https://3pm.biz/kyuto/useful/rust-on-water-heater/

クリナップ「取り付けて終わりじゃない、浄水器の濾過機能はカートリッジが肝!」

https://cleanup.jp/select/knowledge/article-214/

基礎補強専門店アストロホーム「水道管から赤水(赤錆)が出た時の対処法とは?」

https://www.astro-home.com/jutakuhigai/suidou2/#2030

八戸圏域水道企業団「色がついた水が出る」

https://www.water-supply.hachinohe.aomori.jp/suishitsu/qa/iromizu.html#chamizu

All About「マンションは今貯水槽ではなく給水方式?水道の仕組み [マンション管理士試験]」

https://allabout.co.jp/gm/gc/452300/

北見市「よくある質問Q&A|おいしく水を飲むためにも塩素の濃度を下げてほしいが、上下水道局はどのように考えているのですか」

https://www.city.kitami.lg.jp/administration/faq/detail.php?faq=939

ノーリツ「品名・型式名の確認方法」

https://www.noritz.co.jp/aftersupport/repair/hinmei.html

湯ドクター「給湯器の寿命(耐用年数)や交換時期を判断するタイミング、基準とは?」

https://www.u-doctor.com/products/column/contents01