禁酒がもたらす心身の変化とメリットについて | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

禁酒がもたらす心身の変化とメリットについて

「禁酒をすると人生はどのように変わるのだろう?」

そう考えたことはありませんか?
もしまだなら、一度じっくりと想像してみてもいいかもしれません。禁酒には多くのメリットがあり、あなたの人生をより充実したものに変えてくれます。

実際、欧米では「ドライジャニュアリー」と呼ばれる禁酒活動によって、お酒の呪縛から解放され、本来の人生を取り戻せたという人が増えているそうです。

禁酒を継続させるためには、禁酒後の具体的なイメージを持つことが大切です。

この記事では、禁酒がもたらすメリットについて解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

世界で広がる「ドライジャニュアリー」とは?

世界中で「ドライジャニュアリー」という健康的な取り組みが注目を集めています。ドライジャニュアリーとは、新年がスタートする1月の1か月間、完全に禁酒する健康習慣のことです。

この取り組みは、2013年にイギリスの慈善団体「アルコール・チェンジUK」の主催で始められました。当初は小規模な健康キャンペーンでしたが、SNSの広がりとともに、世界的なムーブメントへと成長していきました。2020~2021年ごろに行われたアメリカの調査や発表によると、約5000万人ものアメリカ人が、ドライジャニュアリーに参加していると推計されています。

ドライジャニュアリーが支持される主な理由は、以下の通りです。

・年末の飲みすぎをリセットできる
・新年の目標として取り組みやすい
・1か月という期間が適度な挑戦となる

特に、日本では年末の宴会シーズンが終わった後のタイミングと重なることから、心身のデトックスとして実践する人が増えてきました。そして、ドライジャニュアリーに参加した人の多くは、その後も適度な飲酒量を維持できているそうです。アルコール・チェンジUKの調査によると、参加者の70%が6か月後も節酒(減酒)を継続できていたと報告されています。この結果は、1か月の禁酒体験が、その後の健全な飲酒習慣の形成に役立っていることを示しているといえるでしょう。

近年、日本でも若い世代を中心に「ノンアルコール」を選ぶ人が増えており、ドライジャニュアリーの認知度は年々高まっています。

禁酒によって得られる精神的なメリット

禁酒をすることで、心の健康に変化が訪れます。

まず、精神に大きな影響を与える睡眠の質が、劇的に改善されます。「お酒を飲んだ方がよく眠れる」と思っている人は多くいますが、実際は寝つきがよいだけであって、「深い眠り」は阻害されています。その理由は、体内でアルコールを分解する際に生成されるアセトアルデヒドという物質が、就寝中に交感神経を刺激してしまうためです(利尿作用によって目覚めやすくなるという面もあります)。

禁酒をすれば深い眠りを得られやすくなり、以下のような変化を感じられるようになります。

・朝、スッキリと目覚められる
・日中の眠気が減少する
・起床時の疲労感が軽減される

質のよい睡眠をしっかりととった日の朝には、思考がクリアになり、気分も爽快になります。このことは、すでに多くの人が体感していることでしょう。

次に、感情のコントロールが上手になります。お酒は一時的に気分を高揚させ、感情を明るくしますが、飲酒が常習的になり、飲酒量が過剰になってくると、気分を落ち着かせるセロトニンというホルモンの分泌が抑制されるようになります。そうなると、飲酒後に感情が乱れたり、落ち込みやすくなることがあると言われています。

禁酒を続けることで感情の波が穏やかになり、徐々に以下のような変化を実感できるようになるでしょう。

・イライラが減少し、冷静に判断できる
・不安感が和らぎ、堂々としていられる
・ポジティブな思考を持ちやすくなる

次に、飲酒によって引き起こされる記憶力や集中力の低下をくいとめることができます。アルコールは脳を萎縮させ、認知機能を低下させる原因になっていると考えられています。禁酒をすると、その進行をくいとめられるため、以下のような変化を感じることができるでしょう。

・仕事や勉強への集中力が高まる
・物事を忘れにくくなる
・思考が明晰になる
・判断力が改善する

アルコールの脳への影響は、うつ病や自殺のリスクとも深い関係があると言われています。そのため、禁酒はご自身や大切な人を、そういったリスクから遠ざけるというメリットもあるのです。

禁酒によって得られる身体的なメリット

禁酒は、身体の健康に大きなプラスの影響をもたらします。

1つ目は、病気の予防効果です。
長期的な禁酒は、以下のような病気の予防に効果があるとされています。

・生活習慣病の予防
・がん予防
・脂肪肝の予防
・心臓病の予防

2つ目は、体型の改善効果です。
アルコールは高カロリーな上、飲酒時にはおつまみの過食も伴いやすいものです。
禁酒により、以下のような変化が期待できます。

・内臓脂肪の減少
・むくみの軽減

3つ目は、日常的な体調不良の解消です。
禁酒により、以下のような不快症状の軽減が期待できます。

・胃腸のムカツキ
・頭痛
・疲労感
・体臭

このように、禁酒には数多くの身体的なメリットがあります。

禁酒によって得られる社会的なメリット

禁酒は、周囲の人々との関係性や社会生活にも良い影響をもたらします。

まず、家族関係(友人関係)の改善が期待できます。
お酒を飲むと、ついつい以下のような問題が起きやすくなるものです。

・些細なことでの口論
・感情的な言動
・約束の忘却
・家事や育児への支障

禁酒により、これらの問題が自然と解消されていきます。

また、職場での関係性も、より良好なものになっていくでしょう。
二日酔いによる体調不良がなくなることで、以下のような変化が現れます。

・ミスが減少する
・仕事の効率が上がる
・論理的な説明や指示がしやすくなる
・コミュニケーションの回数が増える

この変化によって、部下、上司、同僚などから信頼や尊敬が得られ、チームワークも高めることができるでしょう。

また、禁酒によって以下のような社会的スキルの向上も期待できます。

・冷静な判断力の維持
・適切な距離感の保持
・記憶の保持
・時間の管理

さらに、運転や移動に関する心配も少なくなります。飲酒運転のリスクはもちろん、以下のような不安も解消されます。

・終電を逃す心配
・翌朝の運転への影響
・代行運転の手配

そして意外な効果としては、新しい人間関係を築きやすくなることも挙げられます。
休日の朝から活動的に過ごせるようになり、以下のような機会が増えていきます。

・趣味のサークル活動
・習い事への参加
・ボランティア活動
・地域コミュニティへの参加

このように、禁酒は社会生活の質を大きく向上させる可能性があるのです。

禁酒によって得られる金銭的なメリット

禁酒は、家計の改善に大きな効果をもたらします。

まず、直接的な飲酒費用が削減されます。
例えば、週に3回、以下のような飲酒を行ったとします。

自宅で晩酌:週2回(1回1,000円)
外での飲酒:週1回(1回4,000円)

この場合、1週間の支出は「6,000円」になります。これを月(4週)に換算すると「24,000円」、年間で考えると「288,000円」になります。このように、お酒代はけっこう大きな支出となっているのです。

さらに、お酒に付随する出費も見逃せません。
以下のような関連支出が、予想以上に家計を圧迫しているのです。

・おつまみ代
・タクシー代
・代行運転代
・胃腸薬代
・臭い消しアイテム代
・診察代、通院費

また、飲酒がきっかけとなる予定外の出費も削減できます。
具体的には以下のような支出が減少するでしょう。

・衝動買い
・深夜の飲食
・不要なオンラインショッピング
・ギャンブル

禁酒をすれば、こうした出費を少なくすることができますし、人によっては保険料の軽減も見込めるかもしれません(健康増進型保険など)。

そして、節約できたお金は、より有意義な使い道に回せるようになります。
例えば、以下のような投資が可能になるでしょう。

・趣味や自己啓発
・家族との旅行
・老後の資金
・住環境の改善

このように、禁酒には大きな経済的メリットがあるのです。

禁酒によって得られる時間的なメリット

禁酒によって、私たちの時間の使い方は大きく変わります。具体的なメリットについて、一日の流れに沿って見ていきましょう。

まず、朝の時間を有効活用できるようになります。
二日酔いがなくなることで、以下のような朝の習慣が定着しやすくなるのです。

・早起き
・朝食の調理
・軽い運動
・読書や学習

また、通勤中の体調も格段に改善されるため、電車やバスの中でスケジュールの見直しや組み立てができ、メールの返信など、ちょっとした作業もできるようになります。

職場での時間の使い方も、より効率的になっていきます。
体調が良好になるため、以下のような変化が現れるでしょう。

・仕事の処理速度が上がる
・休憩時間が減る
・締め切りに余裕ができる
・残業が減少する

帰宅後の夜の時間の使い方にも、大きな変化が訪れます。
お酒を飲む時間が無くなることで、以下のような活動が可能になります。

・家族との団らん
・趣味の時間
・自己啓発
・家事の整理

週末に飲む習慣がある人は、禁酒をすることで日曜日を二日酔いで無駄に過ごすことがなくなり、その分、趣味や勉強、家族との時間に充てられます。
そして、何より分かりやすいものとしては、睡眠時間をしっかりと確保することができます。

お酒を飲んで酔いが回ってくると、時間を意識することが難しくなり、ついつい「ダラダラ飲み」をしてしまいがちです。時間は他のものとは違って、あとから取り戻すことはできません。ご自身の資産として大切にし、何にどのように使うかをしっかりと考えなければいけません。

さいごに

禁酒には、想像以上に多くのメリットがあることをご理解いただけたでしょうか。心と体の健康はもちろん、人間関係や経済面でも大きなプラスの変化が期待できます。

しかし、長年の飲酒習慣を急に変えることは、なかなか難しいものです。最初から完全な禁酒を目指すのではなく、まずは節酒から始めてみるのも良いでしょう。以下の記事では、お酒との上手な付き合い方について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【お酒を飲み過ぎるとどうなる?体への影響と上手な飲み方を解説】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/28463/


参考文献

Techable「年明けは、あえて飲まない。お酒との付き合い方を見直す「ドライジャニュアリー」」

https://techable.jp/archives/187733

ハースト婦人画報社「Esquire|「ドライ・ジャニュアリー(断酒の1月)は、本当に健康状態を改善するのか?」」

https://www.esquire.com/jp/menshealth/wellness/a46170997/dry-january/

ALT-ALC「まだまだ伸びる!世界のDry January事情」

https://www.alt-alc.com/post/まだまだ伸びる!世界のdry-january事情

関東百貨店健康保険組合「けんぽだよりWeb|飲酒と睡眠の関係」

https://www.kanto-kenpo.or.jp/webmagazine/2022/10/19/drinkingandsleeping/index.html

和寒町「広報わっさむ(令和3年5月号)|お酒と正しく付き合うには?」

https://www.town.wassamu.hokkaido.jp/affairs/files/2021/04/p11-1.pdf

医療法人社団 平成医会「飲酒とメンタルヘルスとの関係」

https://heisei-ikai.or.jp/column/drinking-mentalhealth/

厚生労働省「e-ヘルスネット|アルコールと認知症」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html

依存症対策全国センター「うつ、不安とお酒の関係」

https://www.ncasa-japan.jp/notice/alcoholism/depression

Forbes「New Surveys Indicate Increasing Interest In Dry January」

https://www.forbes.com/sites/chrisfurnari/2021/01/11/new-surveys-indicate-increasing-interest-in-dry-january/?sh=dd0326f57429

Alcohol Change UK「Dry January® 2024- Kick-starting a year of change-」

https://alcoholchange.org.uk/blog/dry-january-2024-kick-starting-a-year-of-change