烏龍茶ってどんなお茶?知っておきたい基礎知識

烏龍茶は中国茶の一種で、日本でもお馴染みのお茶の一つです。
スッキリとした味わいで食事のお供としても人気があります。
そのような烏龍茶ですが、皆さんはこのお茶について詳しくご存知でしょうか?
名前の由来や誕生時期、種類、製造工程、含有成分、おいしい淹れ方など、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
今回は、烏龍茶の基礎知識ついて解説していきます。
目次
名前の由来
烏龍茶の名前の由来は諸説ありますが、特に有力な説として「茶葉の見た目」に関する説が挙げられます[※]。
烏龍茶の茶葉は、発酵や乾燥の過程が進むにつれて、黒みを帯び、まるで「烏(カラス)」のような色合いになります。また、それと同時に、まるで「龍(リュウ)」がうねっているかのように、細長くねじれていきます。つまり、「烏のように黒く、龍のようにねじれている」というのが、一般的に知られる烏龍茶の名前の由来です。
※. 烏龍茶の開発者のあだ名が、名前の由来になっているという説もあります(本名:蘇龍/あだ名:烏龍)。
誕生時期
烏龍茶は中国発祥のお茶で、16世紀に誕生したと言われています。当時、皇帝に献上するための「献上茶」として、特別に作られたお茶の一つが烏龍茶でした。献上されるほどの高貴なお茶でしたので、庶民の間では、ほとんど飲まれなかったと考えられています。
時代とともに烏龍茶の生産は広がり、中国の一部の地域では、一般の人々にも流通するようになりました。しかし、現在でも烏龍茶は高級茶の一つに位置付けられていて、中国では高額で取引されるものもあるようです[※]。
※. 最高クラスの烏龍茶葉になると、500gで100万円もの値がつくこともあるそうです。
烏龍茶の種類
緑茶や紅茶にたくさんの種類があるように、烏龍茶にもたくさんの種類があり、その数は数百種類とも言われています。
その中でも、とりわけ有名なのが中国福建省産の烏龍茶である「鉄観音」と「岩茶」です(どちらも高級茶で、日本茶でいうと玉露に値します)。
【鉄観音(てっかんのん)】
・福建省南部の安溪(あんけい)を中心として生産される閩南(びんなん)烏龍茶の一種
・台湾の代表的銘柄として知られる「凍頂烏龍」や「台湾鉄観音」もここに分類される
・生産工程における発酵度は25~30%ほどで、比較的、緑茶に近い香味
・味は緑茶のような青さがあり、マイルドな甘み(旨味)と渋みも感じられる
・口当たりは滑らかで、のど越しはスッキリ
・香りは花のような甘い香りがほのかに漂う
【岩茶(がんちゃ)】
・福建省北部の武夷山(ぶいさん)を中心として生産される閩北(びんほく)烏龍茶の一種
・代表的な銘柄には、「武夷水仙」、「武夷奇種」、「肉桂」などがある
・生産工程における発酵度は40%ほどで、比較的、紅茶に近い香味
・味は舌にくっつくような渋みはなく、甘みも比較的少ない
・口当たりはややコクがあり(硬質で)、サッパリとしたのど越し
・蘭の花のような甘い香りを強く放つ
緑茶・紅茶との違い
世界にはさまざまなお茶があり、それぞれに特有の香味があります。
特にヨーロッパの「紅茶」、日本の「緑茶」、中国の「烏龍茶」の3つのお茶は、香味の違いを説明する際によく用いられます。
この3つのお茶は、実は同じ茶葉[※]からできています。
では、それぞれのお茶は、なぜ香味が大きく異なっているのでしょうか?それは、茶葉を酸化発酵させる「度合い」が、それぞれ異なっているからです。
もともと茶葉には「酸化酵素」が含まれており、この酵素の働きを利用して茶葉を完全に発酵させると紅茶ができます。
緑茶は、茶葉を早い段階で加熱して発酵を止めることで作られます。
そして烏龍茶は、紅茶と緑茶の中間、つまり発酵をある程度進ませつつも完全には発酵させず、途中で止めることで作られているのです。
- 紅茶・・・・発酵茶(完全発酵茶)
- 緑茶・・・・不発酵茶
- 烏龍茶・・・半発酵茶
※. ツバキ科ツバキ属チャノキ(学名「Camellia sinensis:カメリアシネンシス」)
烏龍茶の製造工程
烏龍茶は、一般的に次のような工程で作られます。
①摘み取った茶葉を天日干しする
摘み取った茶葉は、当日中に天日干しをする必要があるため、収穫するタイミングは、よく晴れた日の朝になります。天日干しをすると、茶葉内部にある酵素の働きが活発になって発酵が進みます。それと同時に茶葉内部の水分が飛び、しおれていきます。
②茶葉をゆすって発酵をうながす
茶葉の温度を下げるため、室内で茶葉を陰干しし、大きな竹カゴに入れてゆすります。ゆすることで摩擦が起き、その摩擦によって茶葉の細胞が傷つき、発酵がさらに進みます。茶葉は発酵が進むにつれて、周りのほうから赤褐色に変化していきますが、中心部分に緑色が残る状態でゆすりを止めます。これが烏龍茶特有の「半発酵」状態です。
③発酵を止めるために加熱する
ゆすりを止めても発酵は完全には止まりません。茶葉が発酵しきってしまわないよう、釜で炒り(加熱し)、発酵をほぼ完全に止めます。
④茶葉を揉む
炒りたての熱い茶葉を、手または揉捻機で揉んでいきます。揉むことで茶葉にねじれが生じ、水分が均一になっていきます。また、それと同時に、まだ生きている細胞の成分が変化を起こし、烏龍茶特有の香味を作り出します。
⑤布に包んでさらに揉む
揉んだ茶葉を布で丸く包み、さらにぐいぐいと揉み上げます。こうすることで、より茶葉がねじれて整形され、それと同時に香味やコク、まろやかさがさらに引き出されます。
⑥かまどで熱を加えて乾燥させる
かまどの上に鉄蓋を置き、その上に茶葉の入ったカゴを乗せ、温気によって乾燥させていきます。すると、龍のようにしっかりとねじれた烏龍茶葉ができあがります。
含有される成分
烏龍茶には様々な成分が含まれています。
ここでは、代表的な2つの成分について説明をしていきます。
カフェイン
烏龍茶の茶葉には、カフェインが含まれています。カフェインには覚醒作用があるため、烏龍茶を飲むことで気分をスッキリさせるなどの効果が期待できます。ただし、寝る前に飲むと、眠りづらくなりますので、注意しましょう。また、子供や妊婦、授乳婦が飲む場合にも、摂取量には注意が必要です。100mLあたりの具体的なカフェイン含有量について、日本食品標準成分表2015年版では次のように示されています。
烏龍茶(茶葉15gを90℃のお湯650mlで30秒浸出)・・・・20mg |
紅茶(茶葉5gを熱湯360mlで1分半~4分浸出)・・・・30mg |
煎茶(茶葉10gを90℃のお湯430mlで1分浸出)・・・・20mg |
玉露(茶葉10gを60℃のお湯60mlで2分半浸出)・・・・160mg |
烏龍茶ポリフェノール
烏龍茶は茶葉を途中まで発酵させているため、緑茶に比べてカテキンの含有量は少なくなりますが、代わりに「烏龍茶ポリフェノール」と呼ばれる独自の成分が作られます。烏龍茶ポリフェノールには、以下のような効果が期待されています。
・虫歯の予防(抗齲蝕作用)
・高血圧症改善
・高脂血症改善
・肌の美容、老化防止
・肥満抑制[※]
・抗炎症、抗アレルギー など
※. 烏龍茶ポリフェノールには、体脂肪の代謝機能を促進する働き(脂質代謝を行う酵素を活性化させる働き)があると言われています。「烏龍茶を飲むと痩せる」と言われるのは、この働きによるものです。
おいしい淹れ方
茶葉から淹れたできたての烏龍茶は、市販のペットボトル入り烏龍茶とは比べ物にならないほどにおいしく、香り豊かです。
しかし、烏龍茶を本格的に淹れる場合、かなり手間暇をかける必要があります。その本格的な淹れ方は「功夫茶(こうふちゃ)」と呼ばれ、中国の茶館などでよく見られます。専用の茶具を使い、たっぷりと手間暇をかけて淹れた烏龍茶は格別においしいため、功夫茶のトリコになってしまう人もいるようです。
ただ、ご家庭において日常的に功夫茶を楽しむとなると、やはり若干の面倒臭さがあり、そもそも専用の茶具をそろえることもネックになると思います。そこで、もう少し簡単な淹れ方を以下に紹介したいと思います。
①湯呑みと急須を温める
沸騰させたお湯を、湯呑みと急須に注ぎ、しっかりと温めてください。温め終えたら、お湯は捨ててください。
②急須に茶葉を入れる
茶葉の量はお好み次第ですが、目安は「300cc程度の急須に対して、茶葉4~6g(大スプーン1杯程度)」です。
③急須にたっぷりとお湯を注ぐ
沸騰させたお湯を、急須がいっぱいになるまで注いでください(高温であればあるほど、烏龍茶の香りがたちます)。
④蒸らす
急須のフタを閉めて、烏龍茶を蒸らします。蒸らす時間の目安は「一煎目:1~3分」、「二煎目:1.5~3.5分」、「三煎目:2~4分」という風に、30秒ずつ長くしていきます。
⑤急須内の烏龍茶を注ぎ切る
烏龍茶は一煎ごとに香味が変化し、それを楽しむことができます。しかし、急須内に烏龍茶を残したままにすると、茶葉の香味が全部抽出されてしまい、それ以降の味の変化を楽しめなくなります[※]。そのため、一煎ごとに急須内の烏龍茶は注ぎ切るようにしてください。
※. 一煎目は主に香りを楽しみ、二煎目以降は主に渋みやコクを楽しみます。普通の茶葉であれば、四煎ほど楽しむことができます。
アレンジレシピ
烏龍茶は、淹れたて熱々のものをそのまま飲むのがオーソドックスな飲み方です。
しかし、少しアレンジを加えると、新たな味を楽しむことができます。ちょっとした集まりや休憩時間などに、趣向を凝らした烏龍茶ドリンクを作ってみるのも面白いかもしれません。
【冷たいドリンク】
・烏龍茶+ジンジャーエール(各1/2カップ)
・烏龍茶+ヨーグルトドリンク(各1/2カップ)
・烏龍茶+アセロラジュース(各1/2カップ)
【温かいドリンク】
・烏龍茶+チョコミルク
(烏龍茶、牛乳 各1/4カップ、チョコレート30g、塩ひとつまみ)
・烏龍茶+梅しょうが
(烏龍茶3/4カップ、梅干し1個、しょうゆ小さじ1/4、おろししょうが少々)
・烏龍茶+メープルシロップレモン
(烏龍茶1/2カップ、メープルシロップ小さじ2、スライスレモン1枚)
さいごに
烏龍茶の香りを存分に楽しみたい場合は、ホットで飲むのがオススメです。
しかし、常温の烏龍茶をすぐに飲みたい人にとっては、お湯を湧かしたり、烏龍茶を冷ましたりするのが手間に感じることもあるでしょう。
そのような場合、「電解水素水(アルカリイオン水)」を使うと便利です。
電解水素水には高い抽出力があり、常温でも短時間でしっかりと烏龍茶を抽出することができます。また、烏龍茶に限らず、緑茶や麦茶など、お茶全般の抽出にも適していて、食材の「出汁どり」や「アクぬき」などにも活用されています。
このお水が、どのような料理に活用できるかについては、以下のサイトで詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
アルカリイオン水整水器協議会|「アルカリイオン水の活用例」
https://www.3aaa.gr.jp/userinfo.html
- 監修者のご紹介 -
参考文献
「お茶のできるまで」公益財団法人世界緑茶協会 O-CHANET
http://www.o-cha.net/jiten/dekirumade/index.html
「日本食品標準成分表 し好飲料類」文部科学省
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/02/16/1365343_1-0216r9.pdf
伊藤園「「烏龍茶」の名前の由来を教えてください。 - よくいただくご質問」
https://www.itoen.jp/customer/faq/38941/
Tea Friend Company aoki「高山烏龍茶問答」
https://aokiya-tea.com/oolong_tea_question.shtml
人民中国杂志社「偶然が生み出した芳香 青茶(烏竜茶)①」
http://www.peoplechina.com.cn/maindoc/html/wenhua/tea2005/200508.htm
書籍「烏龍茶の魅力」松井陽吉 著
書籍「料理の油をすっきり流す 烏龍茶レシピ」ワニブックス 出版
