浄水器の効果とは?浄水器を効果的に使うポイントや選び方を解説 | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

浄水器の効果とは?浄水器を効果的に使うポイントや選び方を解説

浄水器とは?

浄水器は水道水の残留塩素やトリハロメタン類、その他の不純物を減少・除去するための機器です。浄水器の多くは、浄水器内部の活性炭やろ過膜などのフィルターによって、水道水に含まれる所定の物質の通過をブロックし、減少・除去する仕組みになっています。

日本産業規格(JIS)および浄水器協会(JWPA)で定められた規格基準による除去対象物質は以下の22項目です。

除去対象物質

①遊離残留塩素 消毒用添加物質で、水の味を損なう原因となっています。
②濁り 水の中にある微粒子等の濁りを発生させる物質です。
③クロロホルム 水道原水の有機化合物と浄水場処理過程で使用する消毒用の塩素が反応してできる物質です。
④ブロモジクロロメタン
⑤ジブロモクロロメタン
⑥ブロモホルム
⑦テトラクロロエチレン ドライクリーニング用の洗浄剤や金属洗浄用の溶剤などに使われています。
⑧トリクロロエチレン 金属洗浄用の溶剤のほか、生ゴム、染料の溶剤等に使われています。
⑨総トリハロメタン ③~⑥の総称を「総トリハロメタン」としており、水道原水の有機化合物と浄水場処理過程で使用する消毒用の塩素が反応してできる物質です。
⑩CAT(農薬) 除草剤に広く使われています。
⑪2-MIB(カビ臭) 植物プランクトンにより産出されるもので、いやな臭いの原因となります。
⑫溶解性鉛 水道用鉛管を使用する地域や家庭において水道水中に溶け込んでいます。
⑬1,2-DCE 他の塩素系溶剤の合成原料、染料・香料・樹脂などの低温抽出溶剤です。
⑭ベンゼン 染料、医薬品、農薬等の様々な化学品の合成原料、溶剤、抽出剤などに使われています。
⑮ジェオスミン(カビ臭) 植物プランクトンにより産出されるもので、いやな臭いの原因となります。
⑯陰イオン界面活性剤 石けんをはじめ、多くの合成洗剤に使用されています。
⑰フェノール類 染料、樹脂などの製造に使用されており、不快な臭味をつけます。
⑱PFOS及びPFOA 有機フッ素化合物(PFAS)の一種です。環境中で分解が殆どされない為、残留性は生物への蓄積性などが問題視されています。
⑲鉄(溶解性) 水道管から溶出したり、原水に含まれているもので、水道水の不快な臭味や着色、混濁し赤水になるといわれています。
⑳鉄(微粒子状) 水道管から溶出したり、原水に含まれているもので、水道水の不快な臭味や着色、混濁し赤水になるといわれています。
㉑溶解性マンガン 写真資材や乾電池などに使用されており、塩素と反応して水が黒色することがあります。
㉒アルミニウム(中性) アルミニウム系凝集剤として浄水処理に使われており、水の変色の原因となります。

浄水器の目的は、水道水をろ過して「より安全でおいしい水」をつくることです。浄水器を設置することで、水道水に含まれている上記物質の除去など一定の効果※が期待できます。

※除去対象物質は製品により異なります

日本の水道水は飲んでも問題はない

上記の除去物質を見ると、水道水に多くの有害物質が含まれているように思えます。実際に、昔の日本の水道水は今より安全性が低いと言われていました。

しかし、現在は水道法により水質基準51項目が定められ、その項目に準じて処理されています。一定の品質管理のもと水質基準はクリアしており、世界の中でも日本の水道水の安全性は高いと言われています。

浄水器と整水器の違い

webで浄水器を検索すると「整水器」が一緒に表示されることがよくあります。中には、「整水器と浄水器の違いがよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。ここでは、浄水器と整水器の違いについて見てみましょう。

先述のとおり、「浄水器」は活性炭やろ過膜などのフィルターで水道水に含まれる不純物を除去し、安全で美味しい水を生成してくれるものです。

対して、「整水器」も浄水器と同様に水道水中の不純物を除去しますが、その後きれいになった浄水をさらに電気分解し、電解水素水(飲用アルカリ性電解水)を生成します。整水器は、医薬品医療機器等法(旧薬事法)で胃腸症状改善の効果が認められた「家庭用管理医療機器」であることが、浄水器と異なっています。

浄水器にはどんな効果がある?

前述のとおり、浄水器の機能は「水道水に含まれる残量塩素や不純物などを減少・除去すること」です。

ここでは、浄水器が特定の物質を減少・除去することで期待できる効果を見ていきます。

水道水の安全性を高める

浄水器には、塩素やその他不純物を除去・減少させ「水道水の安全性を高める」という効果が期待できます。

水道水は塩素によって殺菌され、各家庭に配給されています。塩素は水質を保つために必要ですが、水道水に含まれる有害物質と反応して「トリハロメタン」という発がん性物質を発生させてしまいます。

微量なので健康上の問題はないと言われていますが、「発がん性物質を体内に入れたくない」という人は多いでしょう。浄水器では、このトリハロメタンも除去・減少が可能です。

前述のとおり、日本の水道水は一定の品質管理がなされていますが、水道水が各家庭に届くまでには古くなった配管のサビなどの不純物や有害物質が混入する可能性もありますし、近年では有機フッ素化合物の一種である「PFOS、PFOA」が新たな環境汚染物質として、各国で規制の対象となっております。

そのような問題で水質に変化があっても、それに適合した浄水器であれば水道水に混入した不純物や有害物質を減少・除去してくれます。

水道水の臭いを除去する

また、浄水器には「水道水の臭いを除去する」という効果も期待できます。

水には味がありませんが、水道水は「まずい」と言われることがあります。それは、水道水の臭いが原因です。

水道水の臭いの原因は、主に2つあります。

1つ目は、殺菌のために使用されている塩素です。塩素の濃度が高い水道水は「カルキ臭」が発生してしまい、それよって「まずい」と感じる人が多いようです。

2つ目は、「2-MIB」や「ジェオスミン」という「カビ臭」のもとになる物質です。これらは、水温が上昇し、植物プランクトンや微生物が盛んに繁殖することで発生します。

このような水道水の臭いの原因となる物質も、浄水器を使えば除去・減少が可能です。感じ方に個人差はありますが、上記のような臭いの原因となる物質を取り除くことで、「飲みやすい」、「おいしい」と感じられる人は多いようです。

浄水器を効果的に使うための選び方と注意点

ここからは、浄水器を効果的に使うために、浄水器を選ぶときのポイントと注意点を解説します。

浄水器には様々な種類があり、除去物質や除去率などが機器により異なります。

浄水器の効果を実感するためには、「水道水のどのような点を改善したいか」を明確にし、その不満を解消してくれる浄水器を選ぶことが大切です。

浄水器の選び方

浄水器を選ぶときは、その製品の浄水能力を確認しましょう。

浄水器は、家庭用品品質表示法に基づき「除去対象物の名称」や「除去率」の表示が義務づけられています。どのような物質を除去できるかが浄水器のパッケージやカタログなどに記載されているので、確認のうえで目的に合った製品を選びましょう。

浄水器の主な種類

必要な浄水効果を備えた浄水器を見つけても、浄水器のサイズや形状、費用などの条件が合わなければ導入できません。

ここでは、浄水器の種類別に特徴をまとめます。

浄水器の主な種類

蛇口直結型 蛇口に取り付けるタイプ。蛇口が合えば簡単に導入できる。
ポット(ピッチャー)型 取り付けの必要がなく、比較的安価。
据え置き(カウンタートップ)型 シンク脇に本体を設置し、ホースと蛇口を連結するタイプ。
ビルトイン(アンダーシンク)型 シンクの下に浄水器本体を設置するタイプ。導入には工事が必要な場合がある。
水栓一体型 蛇口自体にフィルターが入っている新しいタイプの浄水器。導入には工事が必要。

一般的には、蛇口直結型のようなコンパクトな浄水器よりも、据え置き(カウンタートップ)型やビルトイン(アンダーシンク)型のほうがカートリッジも大きく、浄水効果は高いと言われています。

製品ごとに浄水能力の差はありますが、より高い浄水効果を求めるのであれば、大きなサイズの浄水器の方がおすすめです。

浄水器フィルターの主な種類

浄水器はフィルターに使用されているろ材によっても、除去できる物質や除去率が変わってきます。

浄水器のフィルターは大きく分けて以下の3種類です。

フィルターの主な種類

活性炭フィルター 活性炭を用いたフィルターで、カルキ臭・トリハロメタン、農薬などを除去。不織布と合わせてろ過機能を高めたものもある。
中空糸膜フィルター 無数の細かい孔が空いた繊維フィルター。活性炭などと組み合わせることで、幅広い除去物質に対応している。
逆浸透膜(RO膜)フィルター RO膜(逆浸透膜)により、様々な物質が溶け込んでいる水から「水の分子だけ」を通過させられる。飲用できないレベルの水も浄水できるが、同時にミネラル類も除去される。

フィルターの種類によってもろ過性能は変わりますので、こちらも事前に確認しておくとよいでしょう。

浄水器を選ぶ時の注意点

浄水器を選ぶ際は、費用と機能のバランスを考えましょう。

浄水器の本体価格は数百円から数十万円するものまで幅広く、予算に合わせて選べます。しかし、除去できる物質が多かったり、除去率が高かったりする浄水器は、高額なものが多いです。

「あまりお金をかけたくないから」と、浄水性能が低く安価なものを購入してしまうと、思ったほどの効果を感じられない場合もあります。価格だけでなく性能も考慮した上で、製品を選びましょう。

また、浄水器には交換カートリッジなどのランニングコストも発生します。交換カートリッジは浄水器により価格や交換頻度が違うため、それも含めて検討することが大事です。

浄水器の効果的な使い方

浄水器の浄水効果を高めるには、使い方にも注意が必要です。

ここでは、浄水器の効果的な使い方を説明します。

フィルター(カートリッジ)の交換

浄水器を効果的に活用するには、カートリッジの定期的な交換が必要です。

浄水器のろ過機能を担っているフィルター(カートリッジ)には、使い続けると不純物が蓄積するためです。不純物の蓄積したフィルターを使い続けていると、目詰まりが起きて水が流れにくくなったり、きちんと浄化されなくなったりする可能性があります。

カートリッジの交換時期は製品ごとに定められており、使用状況に応じて本体に交換時期が表示されるタイプもあります。交換サインが表示された場合には、早めに交換するようにしましょう。

浄水は早めに使いきる

浄水器は塩素を除去するため、殺菌効果がなくなり雑菌が繁殖しやすい状態です。

浄水や浄水で作った飲み物などは、冷蔵庫に保管して早めに飲みきるようにしましょう。

捨て水をする

毎朝浄水器を使う前には10~15秒ほど浄水を流し、捨て水をしてから使うようにしましょう。

蛇口に浄水の残り水が溜まっていると、雑菌の温床になる可能性があります。前述のように、塩素が取り除かれた水は雑菌が繁殖しやすいからです。

浄水器を2日以上使わなかった場合は、1分ほど水を流してから使うと安心です。

35度以下の水を使う

浄水器では、35度以下の水を使うようにしましょう。

35度以上の水を使うと、ろ材でブロックした有害物質が流れ出たり、フィルターをダメにする可能性があるからです。また、浄水器内部の活性炭は、温水を通すと吸着したカビ臭などを放出することもあります。

これらの理由から、浄水器に通す水は35度以下がよいとされています。

浄水器を清潔に保つ

浄水器を効果的に使うには、機器を清潔に保つことも大切です。

特にシンクなどの水回りは汚れが蓄積しやすく、雑菌が増えやすい場所です。安心しておいしい浄水を飲めるように、こまめな掃除を心がけましょう。

まとめ

この記事では、浄水器の役割をはじめ、浄水器に期待できる効果、選び方や効果的な使い方を説明しました。

浄水器の効果を感じるには、目的や悩みに合った製品を選ぶことが大切です。

この記事を参考に、自分に合った浄水器を選んでくださいね。


参考文献

「水質基準項目と基準値(51項目)」厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html

「浄水器ってどんなもの?」一般社団法人浄水器協会

http://www.jwpa.or.jp/aq_jo.html

品川 弘子,吉田 企世子(1986)「せん切りキャベツのビタミンC及び食味に関する残留塩素の影響」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/19/3/19_221/_pdf/-char/ja