温泉水は飲める?温泉の定義と、温泉水の上手な飲み方
「温泉水」を飲んだことはありますか?日本人は温泉が好きだとよく言われます。
温泉にゆったりと浸かって、日頃の疲れを癒すのが楽しみという方も多いのではないでしょうか。
そんな温泉ですが、入浴以外に飲むという利用法もあります。
そもそも温泉水って何?温泉水は飲めるの?ペットボトル入りの温泉水ってどんなもの?
温泉水について、詳しく見ていきます。
目次
温泉水とは
「温泉」は、昭和23年に制定された温泉法によって、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、次の温度又は物質を有するものとして定義されています。
① 温度(温泉源から採取されるときの温度)
摂氏25度以上
② 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)
物質名 | 含有量(1kg中) |
溶存物質(ガス性のものを除く。) | 総量1,000mg以上 |
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) | 250mg以上 |
リチウムイオン(Li+) | 1mg以上 |
ストロンチウムイオン(Sr2+) | 10mg以上 |
バリウムイオン(Ba2+) | 5mg以上 |
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+)(総鉄イオン) | 10mg以上 |
第一マンガンイオン(Mn2+)(マンガン(Ⅱ)イオン) | 10mg以上 |
水素イオン(H+) | 1mg以上 |
臭素イオン(Br-)(臭化物イオン) | 5mg以上 |
沃素イオン(I-)(ヨウ化物イオン) | 1mg以上 |
ふっ素イオン(F-)(フッ化物イオン) | 2mg以上 |
ヒドロひ酸イオン(HASO42-)(ヒ酸水素イオン) | 1.3mg以上 |
メタ亜ひ酸(HASO2) | 1mg以上 |
総硫黄(S) [HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの] | 1mg以上 |
メタほう酸(HBO2) | 5mg以上 |
メタけい酸(H2SiO3) | 50mg以上 |
重炭酸そうだNaHCO3)(炭酸水素ナトリウム) | 340mg以上 |
ラドン(Rn) | 20(百億分の1キュリー単位)以上 |
ラジウム塩(Raとして) | 1億分の1mg以上 |
引用:環境省「温泉の定義」
温泉水は飲める?
日本には全国各地に個性豊かな温泉があり、観光地として人気を集めるようになっていますよね。
温泉水に入浴することにより、体が温まるのはもちろん、その成分によって皮膚や筋肉、内臓の機能が向上するなど、さまざまな効用が期待されています。
また、温泉地に出かけることによって心身ともにリラックスできるなど、二次的な効果もあります。
さらに温泉水には、「飲泉」すなわち飲むという利用方法もあります。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパ諸国では古くから飲泉が盛んに行われてきたそうです。
ヨーロッパの温泉地は療養地となっていることが多く、医療とも密接に結びついています。
温泉地には医師(温泉医)がおり、症状に合わせて処方箋を出すこともあると言います。
その処方箋に基づいて、園内を歩きながら飲泉カップに温泉水を少しずつ汲み入れ、飲むということが行われているそうです。
日本では飲泉と医療の関わりはそこまで深くはありませんが、温泉水を飲むことで入浴するのと同じように温泉水を体に取り入れることができるとして、健康に役立てている方もいます。
温泉水を飲むときの注意点
飲泉とは言っても、どんな温泉水でも飲んでよいというわけではありません。
飲泉ができるのは、各都道府県から飲用の許可を得た温泉に限られます。また、入浴する温泉とは別に設けられた飲泉所などの温泉水を飲むようにしましょう。
飲用の仕方については、環境省が「温泉利用基準(飲用利用基準)」を定めています。飲泉する際には、飲泉所に掲示されている注意事項に必ず目を通すようにしてください。
特に、次のような点に注意しましょう。
- 持病のある方や服用中の薬のある方は、飲泉の前に主治医や温泉療法医に相談する
- 清潔なコップを使って飲む
- 温泉水は汲みたてをその場で飲むようにし、持ち帰りはしない
- 子供は飲泉しない
- 飲泉の量は適量を守るようにする
ペットボトル入りの温泉水
実際に温泉地まで出向いて飲む温泉水のほかに、ペットボトルに入れられた温泉水もあります。
最近では国内外のさまざまな種類のミネラルウォーターが販売されていますが、温泉水もミネラルウォーターの原水の一つです。
ミネラルウォーターのラベルの原材料に「温泉水」と表示されていたり、商品名にそのまま「温泉水」という言葉が使われていたりします。
温泉水は元々硫黄臭がしたり塩分が含まれていたりして飲みづらく感じられるものが多いのですが、ペットボトル入りの温泉水は、元々の成分をいかしながらもろ過や味の調整などを行い飲みやすくしたものがほとんどです。
そのまま飲むのはもちろん、飲み物やお料理をつくる際にもお使いいただけます。
採水地によって成分が異なり、味わいにも違いがありますので、お気に入りの温泉水を見つけて楽しんでみてはいかがでしょうか。
まとめ
それでは最後に、温泉水についてまとめておきます。
- 温泉水とは、地中からゆう出する水のうち、温度が25度以上あるいは既定の成分を含むもの
- ヨーロッパでは飲泉が医療と密接に結びついており、医師の処方の元で飲泉が行われている
- 飲泉する場合は必ず都道府県の許可を得た温泉を利用し、注意事項を守るようにする
- ろ過や味の調整が行われたペットボトル入りの温泉水は、毎日の水分補給や料理に使うことができる
<参考文献>
「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」環境省
(https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-5_p_39.pdf)
「飲泉について」一般社団法人日本温泉協会
(https://www.spa.or.jp/onsen/528/)
「温泉利用基準(飲用利用基準)」環境省
(https://www.env.go.jp/nature/onsen/pdf/2-5_p_10.pdf)