水分補給におすすめのお茶とは?正しい水分補給の仕方も紹介
目次
1日に必要な水分量とは?
人間が健康に生きるためには、適切な水分補給が大事です。厚生労働省によると、1日に必要な水分量は体重60kgの成人男性で2.5L。そのうち、飲料から補給すべき水分量の目安は1.2Lだといわれています。
ただし、この1.2Lは何を飲んでもよいかというと、そうではありません。私たちの身の周りには多くの種類の飲み物がありますが、中には水分補給には適さないものも存在します。実は、日本人の多くが愛飲する「お茶」も、たくさん飲む場合には注意が必要なのです。
この記事では、お茶の飲みすぎにはなぜ注意が必要なのかや、正しい水分補給の方法について詳しく説明します。
水分補給としてお茶を飲んでいる人の割合
まずは、水分補給としてお茶を飲んでいる人がどれだけいるかについて見ていきましょう。2020年10月にミズラボ編集部が行った調査では、水分補給としてお茶を飲んでいる人の割合は48.7%になりました。
風味や香り、飲みやすさなど、さまざまな理由が考えられますが、多くの人が普段からお茶で水分を補っていることが分かります。
多くのお茶にはカフェインが含まれている
しかし、多くのお茶にはカフェインが含まれているため大量に飲む際は注意が必要。カフェインには利尿作用があるため、水分を補給したつもりでも、気づかぬうちに脱水症状になってしまう可能性があるのです。
また、カフェインを過剰に摂取すると、中枢神経が刺激され、めまいや心拍数の増加、興奮や不安、震えや不眠といった症状を引き起こすことも…。さらに、消化器官が刺激されてしまうと、下痢や吐き気、嘔吐などの症状が見られるケースもあります。
カフェインの摂取量の限度については、国内外ともに統一されたルールはありませんが、カナダ保健省が2010年にカフェイン摂取について注意喚起を行いました。その主な内容は以下の通りです。
健康な成人は最大400 mg/日(コーヒーをマグカップ(237 ml入り)で約3杯)までとする。
カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は最大300 mg/日(マグカップで約2杯)までとする。
子供はカフェインに対する感受性が高いため、4歳~6歳の子供は最大45mg/日、7歳~9歳の子供は最大62.5mg/日、10歳~12歳の子供は最大85mg/日(355ml入り缶コーラ1~2本に相当)までとする。
とくに、「水分補給にお茶を飲んでいるが、コーヒーもよく飲む」というような人は、知らぬ間にカフェインの過剰摂取になってしまわないように気を付ける必要があるでしょう。
カフェインが多く含まれるお茶
それでは、カフェインが多く含まれるお茶にはどのような種類があるのでしょうか。代表的なものに、以下の3つが挙げられます。
緑茶
緑茶とは、生の状態の茶葉を発酵させずにつくられたお茶のこと。煎茶(せんちゃ)、番茶、ほうじ茶などのさまざまなお茶をまとめて緑茶と呼びます。中でも、日本人が日常的に飲んでいるのが煎茶。コンビニやスーパーでも様々な商品が販売されており、日常的に飲んでいるという人も多いでしょう。
一般的に、煎茶のカフェイン含有量はコーヒーの約1/3と言われています。特に新芽に近いほどカフェインの量は多くなり、玉露入りの緑茶や高級緑茶にはより多くのカフェインが含まれています。
豊かな香りや味わいを楽しめるため人気のある緑茶ですが、カフェインの摂りすぎには気をつけて飲みましょう。
ウーロン茶
茶葉をある程度まで発酵させてから加熱してつくるウーロン茶。緑茶と原料が一緒なこともあり、ウーロン茶にもコーヒーの1/3程度のカフェインが含まれています。水分補給としてウーロン茶を飲む場合は、カフェインの過剰摂取とならないように気を付ける必要があるでしょう。
また、子どもの場合、大人以上にカフェインが強く作用してしまうことも考えられるので、水分補給にはウーロン茶以外のノンカフェインの飲み物を選ぶと安心です。
紅茶
茶葉を一度乾燥させて完全発酵させたのち、再び乾燥させてつくる紅茶。ペットボトル入りの紅茶も数多くの種類が販売されており、幅広い人々が日常的に飲むようになっています。
農林水産省のデータによれば、紅茶は、煎茶やウーロン茶の約1.5倍のカフェインを含んでいるとされています。また、ペットボトル入りの紅茶の中にはカフェインだけでなく糖分を多く含むものも多いため、よく購入する方はカロリーの摂りすぎにも注意しましょう。
ノンカフェインのお茶
一方で、お茶の種類によってはカフェインが含まれていないものもあります。「お茶で水分補給をしたいけれど、カフェインは気になる」という人におすすめのお茶を2つ紹介します。
麦茶
独特の香ばしい香りや風味を楽しめる麦茶。緑茶や紅茶とは異なり、大麦を原料としているため、カフェインが含まれていません。カフェインの利尿作用や覚醒作用を気にせずに水分補給をしたい人には、ぴったりの飲み物と言えるでしょう。
ただし、麦茶は穀類を原料にしているため、緑茶などと比べて傷みやすいと言われています。家庭で麦茶を作っている場合は、冷蔵庫で保管し早めに飲みきるようにしましょう。
ルイボスティー
南アフリカ共和国の一部で採取できる「ルイボス」という植物を使ったルイボスティーも、ノンカフェインのお茶。麦茶とは違ったルイボス特有の風味も味わえることから、いつもと違ったお茶の味を楽しみながら水分補給をすることができます。ペットボトル入りのルイボスティーも販売されていますが、スーパーなどでティーバッグも購入できるので、家庭で手軽に淹れることも可能です。
正しい水分補給の方法とは?
ここまでお茶に含まれるカフェインについて詳しく説明してきましたが、水分補給時にはカフェインの量以外にもおさえておきたいポイントがあります。
体内の水分バランスを常に良好な状態に保つために、正しい水分補給の方法についても知っておきましょう。
入浴後や起床後に水分を摂る
入浴中や就寝中は通常よりも多く汗をかきます。入浴後や起床後には積極的に水分補給をするようにしましょう。また「お風呂上りにビールを飲むのが好き」という人もいますが、アルコールは摂取した量以上に尿が排出される場合もあり、水分補給には適さないので気を付けましょう。
水分補給用の飲み物は常温がおすすめ
水分補給用の飲み物は常温で摂取するのがおすすめです。とくに気温が高い日は、冷蔵庫で冷やした飲み物が好まれがちですが、冷たいものを飲みすぎると体を冷やす原因になるだけでなく、急激な温度変化で胃に負担を与えかねません。胃けいれんや消化不良といったトラブルを避けるためにも、なるべく常温の飲料水を摂取しましょう。
温度は人によって胃に刺激を与え、胃痙攣などを起こすこともありますので、基本的には季節に関係なく 「常温」が理想的です。
最近はコンビニやスーパーでも常温の飲料が販売されているので、外出先で飲み物を買う際には利用してみるとよいでしょう。
のどが渇く前に水分補給をおこなう
仕事や運動などに集中していたり、一息つく余裕がないほど忙しいときは、つい水分補給を忘れてしまいがち。体内の水分量が不足すれば、脱水や熱中症の危険性が高くなってしまいます。
厚生労働省によると、体内の水分量の5%が失われると脱水症状や熱中症の症状が現れるとされています。さらに脱水状態が悪化すると、場合によっては命に関わる危険性があるため、すみやかに水分補給することが大切です。のどが渇いたと感じたときは、すでにそれなりの水分を失っている可能性があるので、なるべく早めに水分を補うようにしましょう。
また、高齢者や子どもは、のどが渇いたことを感じにくかったり、水分が必要だということをうまくアピールできない場合があります。自分自身でこまめに水分補給ができるのであればよいですが、人によっては周囲の声かけや配慮が必要になることも知っておきましょう。
夏場や発汗時は塩分の補給も忘れずに
夏場や運動中など、たくさん汗をかくシーンでは、水分と同時に塩分(ナトリウム)も多く失います。
このような状態で水分だけを補給すると、血液中のナトリウムの濃度が下がり、「これ以上水を摂るな」という指令が脳から送られます。結果的に、必要としている水分を補えず、脱水状態が続いてしまう可能性があるのです。汗を大量にかいているときは水分と一緒に塩分も忘れずに摂るようにしましょう。
水分と塩分を効率的に補給するなら、スポーツドリンクや経口補水液がおすすめです。ただし、どちらも飲みすぎると糖分や塩分の過剰摂取になりかねないので、あくまで汗をかいているタイミングや、軽度から中等度の脱水状態のときに活用するようにしましょう。
まとめ
ここでは、お茶で水分補給をする際には注意が必要な理由や、お茶の種類ごとのカフェイン、適切な水分補給の方法について説明しました。
この記事の内容を参考にして、水分補給に適した飲料や飲み方を考えることで、理想的な水分バランスを維持できるようにしておきましょう。
参考文献
「健康のため水を飲もう講座」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000506520.pdf
「カフェインの過剰摂取について」農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
「自発的脱水とは?」ポカリスエット公式サイト 大塚製薬
https://pocarisweat.jp/hydration/voluntary-dehydration/
「どんな時に飲めばよいですか?」経口補水液オーエスワン(OS-1)大塚製薬工場
https://www.os-1.jp/faq/15/