ただのお湯とは違う!?温活に役立つ「白湯」の基礎知識
皆さんは朝起きて一番に何を飲まれていますか?
お茶やコーヒー、フルーツジュースなんて方もおられるかもしれませんね。他にもたくさんの飲み物の候補はありますが、朝一番に何を飲むかという選択は、その日のパフォーマンスや体調に影響を及ぼすと言ってもよいでしょう。
また朝に限らず、日ごろからどのような飲み物を飲むかといった選択も、長い目で見れば「健康的な人生」を送る上でとても大切な選択と言えます。
日中、アクティブに活動したい方にとっては、栄養ドリンクやカフェイン入り飲料は手放せない存在かもしれません。しかし、これらの飲み物は「一時的なパフォーマンスの向上」には貢献するかもしれませんが、飲み続けるとなると、少なからず体へのデメリットやコストの問題が出てきます。
今回は体にもお財布にも優しい「白湯(さゆ)」という飲み物について、ご紹介していきたいと思います。
目次
白湯(さゆ)とは?
「白湯」とは水を一定時間沸騰させてから、ある程度の温度にまで冷ましたお湯のことです。
一定時間沸騰させることで、水の中の塩素やトリハロメタンといった不純物が取り除かれ、清浄で口当たりがよい飲み物になります。また、沸騰後に完全に冷ましきらず、ある程度の温かさで摂取することが一般的です。
白湯は「お湯の一種」ではありますが、このような作り方や飲み方において、「ただのお湯」とは区別して取り扱われることもよくあります。
白湯の歴史はとても古く、5000年の歴史を持つインド伝統医学「アーユルヴェーダ」では、体内に溜まった毒素を排出してくれる魔法の飲み物と言われています。また、日本においても古くから薬を飲むときなどには白湯が使われており、冷水で飲む場合と比べて薬が溶けやすく、胃や小腸などでも吸収されやすいと言われています。このように白湯は昔から「乳幼児や高齢者、体調不良の方」などに優しい飲み物として長く愛飲され続けてきました。
また、近年においては健康増進や美容のためにも白湯を飲む方が増えているそうです。
時代や人種を問わず、長く飲まれ続けてきた白湯。まずはそのメリットから見ていきましょう。
白湯を飲むことのメリットとは?
白湯の最も大きなメリットは「体を内側から温める」ということです。
そして、そのことによって次のような効果が期待できます。
・消化吸収能力がアップ
・基礎代謝がアップ
・冷え、肩こり、腰痛の改善
・お肌のターンオーバーが促進
「温活」のように体を温める健康法を試してみたい方には、手軽に始められる白湯がオススメです。
白湯の正しい作り方
白湯は「温かい水」という点では「お湯の一種」であることに間違いはありませんが、作り方に少し特徴があるという点では「ただのお湯」と区別されることがあります。とはいっても、作り方に厳格な決まりはありませんので、ぜひ一度気軽に作って飲んでみてはいかがでしょうか。
【やかんで作る方法(代表的な作り方)】
水道水を使う場合には、以下のような手順でやかんを使って白湯を作るのがオススメです。
- やかんに水道水を入れ、蓋をして火にかける
- 沸騰してきたら、やかんの蓋を取る
- グラグラしてきたら火を弱め、10~15分間沸かし続ける
- カップに注ぎ、50度くらいの適温(すすって飲める程度)になるまで冷ます
(※)ポイントとしては、水道水に含まれる塩素やトリハロメタンを揮発させるため、沸騰してもすぐ火を止めず、蓋を開けた状態で10~15分間しっかりと沸かし続けることです。
(※)使用する水はきちんと煮沸さえすれば、水道水でも問題はありません。もし煮沸の工程を省き、より簡単に白湯を作りたければ、天然水や浄水を使用することで電子レンジや電気ポットでもお作り頂けます。
効果的な飲み方(飲む量とタイミング)
白湯の一日の摂取推奨量は一般的には約600~800mlと言われていますが、この量を一度に飲むのではなく5~6回に分けて飲むようにしましょう。一度に大量の白湯を飲むと「むくみ」の原因になりますので、少量ずつこまめに「すすりながら飲む」ことがポイントです。
白湯を飲むタイミングとして、特に効果的なタイミングは次の通りです。
【起床時】
就寝中には体から多くの水分が失われます。朝起きたらコップ一杯程度の白湯を朝食の30分程前までに飲み、水分補給をしましょう。
【食事中】
大量に飲むと胃液が薄まり消化不良を起こしますが、少量であれば逆に消化をスムーズにする働きがあると言われています。また適度に胃が膨らむことで食べ過ぎを防いでくれます。
【就寝前】
就寝前に飲むことで「リラックス効果」が働き、心地よく眠りにつくことができます。また、就寝中の新陳代謝も高めてくれる働きがあるとも言われています。
白湯を美味しく飲むためのアレンジレシピ
白湯は基本的に無味無臭なので、何回か飲んでいると飽きてしまう方もおられるかもしれません。そんなときには、次のような食材を加えてアレンジしてみるのもオススメです。
【生姜】
生姜の独特の香りや辛味は、食欲を高めて消化を促進すると言われています。ピリッとした風味が味わいにもアクセントを加えてくれます。生の生姜をスライスしたものを2~3枚お湯と一緒に沸かすのがオススメですが、忙しいときにはチューブタイプ(小さじ1杯程度)やパウダータイプ(大さじ1杯程度)をできあがった白湯に入れても良いでしょう。
【ハチミツ】
甘みを加えたいというときには、コップ一杯の白湯にティースプーン一杯ほどのハチミツを加えると風味がぐんと良くなります。また「ちょっとむくみが気になる」なんて時にも、ハチミツは効果を発揮してくれます。
【レモン】
レモンも白湯にすっきりとした香りをプラスしてくれます。レモンにはビタミンCやクエン酸も含まれているため、風邪が流行する時期や疲労が気になるときにもオススメです。生のレモンがないときは、市販のレモン汁を数滴入れるだけでも手軽に作れます。また、ハチミツとの組合せで、味の変化を楽しんでみるのもいいかもしれません。
【オリーブオイル】
オリーブオイルには腸の運動を促進したり、腸の潤滑油となって便を出しやすくする効果があると言われています。またお湯の温度が下がりにくくなるため、寒い時期にもより長く白湯を温かいまま楽しめます。
【スパイス】
スパイスは風味にアクセントを加えるだけではなく、冷えの解消や食欲の増進などといった作用も期待されています。カレーでお馴染みのクミンやコリアンダーのほか、ブラックペッパー、七味、ガラムマサラなど、お好みのスパイスを適量加えてオリジナルの白湯を楽しむのも良いと思います。
温かい飲み物が苦手な方には
白湯は、その「温かさ」に大きな特徴とメリットがある飲み物ですが、逆にその温かさが苦手だとおっしゃる方も少なからずおられるのではないでしょうか。また「夏に温かいものは飲みたくない」という方は、それにも増して、きっと沢山おられることでしょう。
そういった方には「常温水」を飲むことをオススメいたします。常温水であれば猫舌の方でも問題ありませんし、「のどごし」も優しく万人向けです。
冷水を飲んだときに得られるスッキリとした清涼感はありませんが、過度に体を冷やすことは避けられますので、「温かいものは飲みたくないけれど体は冷やしたくない」、そんな方にはピッタリな飲み物かもしれません。
常温水で代替する場合、考えるべきは「その水の種類」です。白湯のように煮沸をしない為、元々の状態でキレイな水である必要があります。そしてできれば美味しくて、体にも良さそうな水を選びたいところです。
代表的なものとしては電解水素水や天然水、海洋深層水や浄水やミネラルウォーターなどが挙げられますが、そこに「ブランド」や「硬水/軟水」などの選択肢を組み合わせると、選択の幅はとても広くなります。
ご自身の選択基準(機能性、価格、味、口当たり、清浄度、栄養度など)において何が一番重要なのかを明確にし、それを用いて消去法で選択すれば、きっとご自身にあった常温水が見つかることでしょう。
ただ、その際に注意すべき点としては、上記の選択基準以外に「利便性」という重要な選択基準があることを見落とさないようにすることです。多くの人が見落としがちな「利便性」という選択基準、具体的には次のような項目を判断することを意味しています。
- 買い物にいく労力と時間
- または発注する手間と時間
- 在庫切れを気にする精神的労力
- ストックを保管しておくスペース
- 開栓後、早めに飲み切らなければならない
- 飲み切れない場合は、冷蔵庫内のスペースが圧迫される
- 冷蔵庫に入れると結局は「冷や水」になる
- 「空になったペットボトル」の始末
- 空になった「ペットボトルを入れていたケース箱」の始末
「毎日飲む水」ということを考えれば、ある意味当然考えなければならないことなのですが、多くの人はこのことを見落としがちです。ぜひこの選択基準もふまえた上で、常温水を探してみて下さい。
さいごに
白湯の効果は沢山ありますが、その最たるものは「体を内側から温める」という効果でしょう。ここから様々な効果が派生しているといってもよいのではないでしょうか。
近年では「腸活」と並んで「温活」という言葉もよく耳にします。「腸の状態を整えること」と「体を温めること」、どちらも健康的な毎日を送る上でとても大切な活動です。これらの活動にならって、毎日の生活習慣を少しずつでも良くしていきたいものですね。
参考文献
医療法人高生会「白湯を飲んで健康になろう!」
https://i-kouseikai.com/knowledge/2016/kaigo476.html
Medicalook「白湯を飲むタイミング|いつ飲むといいの?夜寝る前の効果は?飲み続けるとどうなる?」
https://epark.jp/medicalook/timing-hot-water/
はらメディカル「白湯のオススメ【看護部より】」
https://www.haramedical.or.jp/column/staff/000654.html
torothy「【医師監修】「白湯」を飲むことで体に起こる嬉しい効果とは?正しい白湯の作り方や飲み方、飽きずに飲むためのアレンジ法」
https://torothy.com/article/45/sayu
医療法人玲生会にん内科「白湯の効果」
https://nin-clinic.com/blog/blog-vol15.html
スルーラック「便秘解消にオススメの食べ物・食事」
https://www.ssp.co.jp/su/solution/foods/
養命酒製造株式会社 月刊元気通信「スパイスパワーを “飲んで”摂り入れる「スパイス白湯」で夏を元気に過ごそう!」
https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/feature/210730/
書籍:インプレス「水のみ健康ダイエット」(林基弘 著)