活性酸素ってなに?(前編) | 水と健康の情報メディア|トリム・ミズラボ - 日本トリム

活性酸素ってなに?(前編)

美容やアンチエイジングの話題でよく登場する「活性酸素」という名前。お肌の老化を気にする人にとっては、まさに天敵ともいえる存在です。しかし、このやっかいものは、お肌の老化以外にも様々な害悪を私たちの体にもたらします。たとえば、私たちが忌み嫌っている「三大疾病(ガン・心疾患・脳血管疾患)」は、この活性酸素とも深い関わりがあるのです。

つまり、しっかりとした活性酸素対策を行っている人と、行っていない人とでは、寿命にも大きな違いが現れるということになります。自分や家族の健康を守るためにも、活性酸素についてしっかりと学んでいきましょう。

活性酸素とは?

活性酸素とは、物質を「酸化」させる力が強い酸素のことです。

「物質が酸化する」という現象は、例えば次のような場面で見られます。

  • クギなどの鉄製のものがサビる
  • リンゴの切り口が茶色く変色する

こういった酸化現象は主に酸素によって引き起こされますが、活性酸素はより強い力で物質を酸化させることができるのです。そして、この酸化現象が体内で起き、細胞や組織などが傷つけられてしまうことを「酸化ストレス」といいます。

活性酸素の種類

よく誤解されていることなのですが、活性酸素は一つの物質を指した言葉ではありません。

活性酸素には、以下のような種類があります。

【代表的な活性酸素の種類】
① スーパーオキサイドラジカル
② 過酸化水素
③ ヒドロキシルラジカル
④ 一重項酸素

この中で最も有名なものは「スーパーオキサイドラジカル」ですが、最も凶悪なのは「ヒドロキシルラジカル」です(スーパーオキシドラジカルに比べて100倍以上の酸化力)。

ただ、スーパーオキサイドラジカルは、特定の酵素によって過酸化水素に変化し、その過酸化水素もまた、特定の金属(鉄や銅など)の影響によってヒドロキシルラジカルへと変化するため、根源的な意味で最も悪いのはスーパーオキシドラジカルと言うこともできます。

活性酸素の仲間「過酸化脂質」

活性酸素には上項で挙げたもの以外にもいくつかあり、広義においては「過酸化脂質」も活性酸素の仲間として取り扱われることがあります。この過酸化脂質は、下記の反応式でつくられる化学物質です。

【 活性酸素+脂質=過酸化脂質 】

つまり、体内にある脂質[※]が酸化されて、過酸化脂質ができるのです。

過酸化脂質は、活性酸素と同じような働きをする物質ですが、違う点があります。

活性酸素 過酸化脂質よりも強い力を持っているが、すぐに消滅する
過酸化脂質 活性酸素よりも弱い力だが、長く体内に留まる

過酸化脂質は白くにごった脂の液体なのですが、尿としては排泄されず、組織や臓器の表面にくっつき、長い時間をかけてその中へと浸透していきます。その過程において、組織や臓器をジリジリと傷害していくという、なんともタチの悪い化学物質です。そして、その傷害は血管壁にも及びますので、種々の大病の原因とも言われる「動脈硬化」を促進することにもなります。

※. 特に、細胞膜や血液中、脂肪組織などに存在している不飽和脂肪酸

フリーラジカルと活性酸素は同じもの?

活性酸素の話題では、よく「フリーラジカル」という言葉が出てきます。書籍などによっては、「活性酸素=フリーラジカル」という大雑把な表現が見られることがありますが、実際には少し異なります。

フリーラジカルとは化学分野の用語で、「対になっていない電子(不対電子)を持っている原子や分子」と定義されていて、活性酸素はその一種ということになります。ただ、厳密には活性酸素の中にもフリーラジカルのものと、そうでないものとがあるため、その意味でも一括りに「活性酸素=フリーラジカル」と表現することはできないのです。

「活性酸素=フリーラジカル」という表現がされている解説には、話をややこしくさせないために、意図的に簡略化しているという場合もありますので、上記の点を踏まえた上で読み進めると良いでしょう。

活性酸素の害悪(関与している病気)

活性酸素によって酸化された細胞は、次のようなダメージを被ります。

① 細胞内の環境悪化
酸化した細胞膜は、働きが低下して細胞の内外の物質の交換がスムーズにできなくなります。その結果、体が必要としている栄養がとりこめないのと同時に、不用な老廃物を排出することもできなくなり、細胞内はゴミの山状態となってしまいます。

② 細胞の働きが衰えて老化が進行
栄養が不足し、老廃物が溜まっている状態の細胞は、当然ながらその働きが低下してしまい、正常な新陳代謝が行えなくなります。新陳代謝というのは、古い細胞成分を排除して、新しいものを生成するサイクルのことですので、それが正常に行われない場合、老化を進行させることになるのです。

③ 免疫力が低下
細胞の酸化が進むと、細胞の集合体である組織や神経にも被害が拡大します。それは、つまり自律神経や内臓の働きなども低下することを意味します。たとえば、免疫をつかさどっている白血球の数や働きを調整しているのは自律神経ですので、その働きが低下すれば、当然ながら免疫力もダウンすることになるのです。

また、活性酸素が原因(または関与している)とされる病気には、次のようなものがあります。

・ガン
・心筋梗塞、狭心症
・脳梗塞、脳卒中
・肺炎、肺気腫
・動脈硬化
・糖尿病
・高血圧
・白血病
・アトピー性皮膚炎
・喘息、花粉症
・肝炎、腎炎
・急性膵臓疾患
・パーキンソン病
・アルツハイマー型痴呆症
・神経疾患
・自己免疫性疾患
・浮腫
・潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、食道炎
・白内障、緑内障、網膜剥離
・生理痛、子宮筋腫
・メニエール病
・てんかん発作
・リウマチ など

注目すべきは、現代の主な死亡原因である「三大疾病(ガン・心疾患・脳血管疾患)」も、このリストに含まれている点です。そして、実際にはもっとたくさんの病気が、活性酸素と直接的あるいは間接的な関わりを持っていて、お医者さんの中には「全疾患の90%以上に活性酸素が関与している」と言っている人もいるほどです。

活性酸素には良い点もある

ここまでの解説では、活性酸素のことを徹底的に悪者扱いしてきましたが、実は良い点もいくつかあります。その中には、有用どころか、体にとって「必須の働き」をするものもあります。たとえば、体内に細菌やウイルスが侵入してくると、白血球はそれを察知して細菌たちを攻撃し殺しますが、その攻撃の際に使用される武器は活性酸素なのです。

また、一部の活性酸素は血管や精子をつくるために必要とされますし、細胞間のシグナル伝達にも役立っています。さらに、排卵や受精、細胞の分化、アポトーシス[※]などの生理活性物質としても利用されています。

活性酸素は様々な害悪をもたらしますが、皮肉にも私たちが生きていく上で欠かせない物質でもあるのです。そのため、私たちは活性酸素に対して「体内から完全に除去するべきもの」という捉え方ではなく、「必要以上に増やしてはいけないもの」という捉え方で接していくのが正しいと言えるでしょう。

※. もともとプログラムされている細胞の自然死のこと

活性酸素の発生(増加)要因

活性酸素は、体内で生理的に発生(増加)するものもあれば、体外の物事が影響して発生(増加)するものもあります。そのため、前者を「内因性活性酸素」、後者を「外因性活性酸素」というように、区分して説明されることもあります。大まかに説明すると、呼吸によって発生するものが「内因性活性酸素」、それ以外の要因によって発生するものが「外因性活性酸素」という分けられ方になっているようです。

どのような発生要因があるのかを見ていきましょう。

① 呼吸

私たちが呼吸をしている以上、活性酸素は必ず発生します。その理由は「ミトコンドリア」にあります。

ミトコンドリアの主な役割は、エネルギーを作り出すことです。ミトコンドリアがエネルギーを作るのに必要なのは、呼吸として取り入れる「酸素」と、食事から取り入れる「糖質」で、この二つを組み合わせてエネルギーを作り出します。ミトコンドリア内では、このエネルギーを利用して、電子を特定の経路(電子伝達系)を通して移動させるプロセスが行われます。この電子の移動の過程で、ときどき電子が途中ではぐれてしまうのです。このはぐれた電子が近くにある酸素と結びつき、活性酸素が作り出されることになります。

② ストレス

ストレスを感じると、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されます。それによって血管が収縮し、血圧が上昇し、体内の酸素が急激に不足します。体はこれを補おうとして大量の酸素を一気に取り込むため、ミトコンドリアが活発に働き、それによって活性酸素も発生しやすい状態になると言われています。

③ 乱れた生活リズム

体を酸化から守るためには、体本来の生理リズムに従って暮らすことも大切です。生理リズムを無視した生活を送っていると活性酸素が増える上に、活性酸素を無毒化する体内酵素をムダ遣いして、結果的に体の酸化を促進することになります。

食事の場合、活性酸素を無毒化する体内酵素は、午後8時から午前4時の間に作られると言われていますので、深夜に食事をとるのは避けた方がよいでしょう。   

④ お酒の飲み過ぎ

飲んだお酒(エタノール)は肝臓で解毒されますが、飲酒量が多い場合には「シトクロム」という酵素がエタノールを代謝するために働きます。シトクロムがエタノールを代謝する際には、活性酸素が発生するため、お酒の飲み過ぎは体内の活性酸素量を増やすことになります。また、お酒の有害性の話でよく登場する「アセトアルデヒド」も肝臓の細胞に作用して、活性酸素を発生させると言われています。

⑤ ろ過していない水道水

浄水場では水道水を殺菌する目的で塩素が使用されています。そのため水道水には残留塩素や、塩素から発生するトリハロメタンが含まれています。両方とも活性酸素を生み出す物質のため、浄水器や整水器などでろ過せずに水道水を飲むと、体内の活性酸素量を増やすことになります。

⑥ 高GI食品に多く含まれる「糖」

高GI食品(摂取後に血糖値が急激に上昇する食品)や、甘い菓子類(和菓子・洋菓子・スナック菓子・アイスクリームなど)などをたくさん食べると、血液中には余計な「糖」が含まれることになります。その糖がタンパク質と結合すると「メイラード反応」が起こり、体内にAGE(終末糖化産物)を溜めると同時に、大量の活性酸素も発生することになります。

⑦ トランス型脂肪酸(酸化したアブラ)

市販のドーナツやインスタントラーメン、マーガリンなどに含まれるトランス型脂肪酸[※]は、口に入れるときにはすでに酸化しています。酸化したものを食べるということは、その食べた分だけ活性酸素を取り込むことになります。

※. これらすべての商品にトランス脂肪酸が使用されているわけではありません。

⑧ タバコ

タバコの煙には一酸化窒素や発ガン物質であるタール、ニトロソアミンなどの有害物質が含まれています。そういった有害物質が肺の中に入ってくると、免疫系が働くことになりますので、活性酸素を大量に発生させることになります。また、タバコの煙自体にも、活性酸素がある程度含まれていると考えられています。

⑨ その他の口から入る化学物質

口から摂取する化学物質は、体内で化学反応を起こし、活性酸素を大量発生させます。

たとえば、
・一部の菓子パンや清涼飲料水、お惣菜に入っている食品添加物(合成着色料、合成保存料など)
・一部の野菜や果物に使用されている農薬
・一部の西洋薬

食品の成分表示をチェックし、西洋薬を常飲しないなどを心がけることで、活性酸素を増やさずに済みます。

また、意図的に摂取しているものではありませんが、車などから排出される「排気ガス(窒素酸化物など))」も、吸い込めば活性酸素を発生させることになります。     

⑩ 電磁波

電磁波も活性酸素を発生させるといわれています。たとえば、スマホ、パソコン、テレビ、電子レンジなど、あらゆる電化製品から電磁波は放たれています。多くの人は、就寝中に充電中のスマホを枕元に置いておく習慣があるようですが、これも電磁波を大量に浴び続けることになるため、避けた方がよいと言えるでしょう。

⑪ 早食い・大食い

消化器官にあるミトコンドリアは、食事を摂ると消化酵素と消化液を分泌する働きをします。これらの分泌にもエネルギーは必要となり、食事の量と食べる速さによってエネルギー量は変化します。そして、それと比例するように活性酸素も発生することになるのです。

⑫ 激しい運動

軽めの運動は問題ありませんが、テニスやランニングなどを激しくやり過ぎると、呼吸数が増えるため(酸素の大量摂取)、活性酸素を増やすことになります。また「急な運動」は、筋肉への血液供給が一時的に滞り、その後、血流が再開した際に一気に酸素が流入することになります。この血流が再び流れ出すときにも、活性酸素は発生しやすいと言われています(虚血再灌流傷害)。運動前には準備運動、運動後にはクーリングを行うことで発生量は抑えられます。 

⑬ 紫外線

紫外線を浴びると、細胞のDNAやコラーゲンを損傷させます。また、それと同時に、肌の中にある水分子や酸素分子を刺激して活性酸素も発生させてしまうのです。皮膚組織に活性酸素が発生すると、シミやソバカスができ、皮膚の弾力性が失われてシワができてしまいます。特に現代は、オゾン層の破壊によって昔より数段強い紫外線が降り注いでいると言われていますので、紫外線対策はしっかりと行わなくてはいけません。

⑭ 経皮毒

あまり知られていませんが「経皮毒」も活性酸素の発生させる要因の一つと考えられています。

経皮毒とは、シャンプーやリンス、コンディショナー、ヘアカラー、化粧品に含まれる化学物質(合成界面活性剤や合成保存料など)を指します。皮膚から吸収されたこれらの化学物質は、肝臓を通らないため、解毒がされません。吸収される量はわずかですが、体内に長くとどまり、その間ずっと活性酸素を発生させる恐れが高いとされています。

«後編へ続く»


参考文献

オムロン ヘルスケア「活性酸素を減らす生活術」

https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/2.html

e-ヘルスネット(厚生労働省)「活性酸素と酸化ストレス」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html

公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室「アセトアルデヒドは身体にどんな害があるのか?」

https://antioxidantres.jp/column034/

京都産業大学「喫煙を科学するータバコがなぜ体に悪いのか、細胞、遺伝子レベルで解明する」

https://www.kyoto-su.ac.jp/project/st/st01_05.html

HelC「外出中は排ガスやたばこの煙による活性酸素にご用心」

https://www.health.ne.jp/library/detail?slug=hcl_3000_w3000788&doorSlug=so-dna

日本救急医学会「虚血再灌流障害・医学用語解説集」

https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0903.html

セルバンク「【医師執筆】肌の老化を加速するのは紫外線」

https://cellbank.co.jp/general/regenerative_skin_treatment/beauty_knowledge/uv/

書籍「老化を抑える、抗酸化力!」吉川敏一 著

書籍「活性酸素の恐怖」半田節子 著

書籍「電解還元水でアトピーが治った」安藤由朗 著

書籍「羅漢果シュガーレス・クッキング」千頭一生 著

書籍「電解還元水でアトピーが治った」安藤由朗 著

書籍「美しく老いるサイエンス」角川書店 出版

書籍「水素水でキレイになる!健康になる!」学研プラス 出版

書籍「活性酸素病 治る治る有用植物の神秘」伊藤隆太 著

書籍「活性酸素で死なないための食事学」丹羽靱負 著

書籍「食事を変えれば病気は治る」鶴見隆史&神崎夢風 共著