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食中毒予防の基本と自宅での対処法

皆さんは「食中毒」に対する、予防策や対処法を身につけていますか?

食中毒は、ちょっとした手抜きや油断でアッという間にかかってしまう、とても身近な病気です。食中毒の種類の中には「ボツリヌス中毒」のように致死率の高いものもあり、決して油断はできません。

また、高齢者や子供に限らず、体力が衰えている人も、重症化のリスクや死亡のリスクが高まるため、老若男女を問わず、あらゆる人が気をつけるべき問題と言えるでしょう。

今回は、食中毒予防の基本と自宅での対処法について、解説をしていきます。

食中毒の原因とは

食中毒を起こしやすい代表的な食材といえば、魚介類や肉類などが有名です。しかし、食中毒の病因物質(原因)については、それほど知られていないようです。

以下では、食中毒の種類や病因物質の分類について説明をしています。
それぞれについて、見ていきましょう。

細菌性食中毒

細菌性食中毒は、「細菌」または「細菌が生み出した毒素」を含んだ食品を摂取することで起こる食中毒です。原因が特定された食中毒のうち、約9割を占めるほどの代表的な食中毒で、発生のメカニズムによって「感染型」と「毒素型」に分けられます。

【感染型】
・病原大腸菌
・腸管出血性大腸菌(O157)
・サルモネラ
・腸炎ビブリオ
・カンピロバクター
・ウエルシュ菌
・エルシニア など

【毒素型】
・黄色ブドウ球菌
・ボツリヌス菌
・セレウス菌 など

ウイルス性食中毒

ウイルスによる食中毒で、代表的なものとしては、冬によく起きる「ノロウイルス」による食中毒が挙げられます。

・ノロウイルス
・A型肝炎ウイルス
・E型肝炎ウイルス
・ロタウイルス など

化学性食中毒

自然毒(動物性/植物性)や化学物質の摂取による食中毒です。

「動物性自然毒」による食中毒の大半は魚介類によって起き、フグ毒による食中毒もその一つです。「植物性自然毒」による食中毒では、毒キノコの他に、ジャガイモの芽に含まれるソラニンによる食中毒もよく知られています。
「化学物質」による食中毒では、金属や農薬、洗剤などの他に、青魚に発生することのあるヒスタミンによる食中毒もその一つです。

【自然毒】
・魚毒
・貝毒
・毒キノコ
・有毒植物 など

【化学物質】
・ヒスタミン
・金属
・農薬
・洗剤 など

その他

寄生虫や原虫が原因で起こる健康障害も食中毒に含まれます。アニサキスは生鮮魚介類の中に、クリプトスポリジウムやサイクロスポラは飲料水や井戸水の中に確認されることがあります。

【寄生虫】
・アニサキス など

【原虫】
・クリプトスポリジウム
・サイクロスポラ など

食中毒予防の3原則

食中毒を防ぐための標語として、食中毒予防の3原則というものがあります。

食中毒予防の3原則
「付けない、増やさない、やっつける」

「付けない」というのは、病因物質が付いているものから付いていないものに対して、何らかの接触によって菌を媒介させないという意味です。
「増やさない」というのは、不適切な温度管理などによる菌の増殖を防ぐことを意味しています。
「やっつける」というのは、いわゆる殺菌消毒のことで、熱湯をかけたり煮沸したりして、菌を死滅させることを意味しています。

これらの原則をもとに、具体的な予防策を立てることが大切です。

注意すべき6つのタイミング

ご家庭内で食中毒を防ぐためには、食中毒予防の3原則をもとに具体的な予防策を立てる必要があります。予防策は、住環境(水質や気候)や家族構成、病因物質の種類などによって異なりますが、共通するものとしては、以下の6つの分類(タイミング)が挙げられます。

どのタイミングにおいて、どのようなことをすべきなのか、それぞれについて見ていきましょう。

①購入する時

・肉、魚、野菜などの生鮮食品は、できるだけ新鮮なものを購入する(鮮度の見分け方を学んでおく)    
・表示のある食品は、消費期限などを確認してから購入する
・買い物中、冷蔵/冷凍品をカートに入れるのは、できるだけ後回しにする
・肉や魚は汁(ドリップ)が漏れて他の食品についてしまわないよう、ビニール袋に入れてから持ち帰る
・冷凍品は、できるだけ保冷剤(氷)をつけて持ち帰る
・寄り道をせずに帰る

②保存する時

・持ち帰った冷蔵/冷凍品は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる   
・冷蔵庫や冷凍庫に食品を詰め込みすぎない(目安は7割まで)
・庫内の設定温度の目安は、冷蔵庫10℃以下、冷凍庫-15℃以下[※] 
・肉や魚は他の食品に汁がつかないよう、ビニール袋や容器に入れる
・肉や魚、または、その汁に触れた場合は、しっかりと手を洗う

※. 細菌の多くは10℃では増殖がゆっくりになり、-15℃では増殖が停止すると言われています。

③下準備をする時

・ゴミ箱に入っている生ゴミ類は、こまめに捨てる
・タオルやふきんは、清潔なものを使用する
・井戸水を使用している場合は、水質に十分注意する
・下準備を始める前には手を洗う 
・トイレに行ったり、ペットを触ったり、オムツ交換をしたり、鼻をかんだりした後も必ず手を洗う
・肉や魚の汁が、生で食べる食品(サラダなど)にかからないよう、食材を離して置く
・肉や魚を切った包丁やまな板を、生で食べる食品を切る際にそのまま使用しない[※1] 
・冷凍食品の解凍は室温で行わず、電子レンジや冷蔵庫で行う
・流水で解凍する場合は、気密性のある容器に入れた上で行う
・食品は使う分だけ解凍し、解凍後すぐに使いきる[※2] 
・使用した包丁やまな板、食器、ふきん、スポンジなどは、しっかりと洗う
・洗った後に熱湯をかけたり、煮沸したり、塩素系漂白剤に一晩漬けこむと消毒効果がある

※1. よく洗い、熱湯をかけてから使用するようにしましょう。また、食材ごとに包丁やまな板を使い分けるとより安全です。
※2. 使い切れなかった食品を再度冷凍し、また解凍したりすると、菌が増殖する危険性が高まります。

④調理をする時

・調理前には手を洗う      
・加熱が必要な食品は、十分に加熱する 
・加熱の目安は「中心部の温度が75℃の状態で、一分間以上の加熱」
・調理を途中で中断するときは、食品を放置せずに冷蔵庫へ入れる
・調理を再開する時も、十分に加熱を行う
・電子レンジを使う場合、熱の伝わりにくいものは、時々かき混ぜる

⑤食事をする時

・食事をする前には手を洗う
・清潔な食器に、清潔な器具(サラダトングなど)を使って盛り付ける
・温かくして食べる料理は、常に温かくしておく(目安は65℃以上)
・冷やして食べる料理は、常に冷たくしておく(目安は10℃以下)
・料理を室温に長く放置しない[※]

※. 例えばO-157は、室温に15~20分放置すると2倍に増えます。

⑥残り物を保存する時

・保存作業をする前には手を洗う
・残った食品は清潔な容器に、清潔な器具を使って保存する
・時間がかなり経っている残り物は、思い切って捨てる
・残った食品を温め直す場合も、十分に加熱する(味噌汁やスープなどは沸騰するまで)
・ちょっとでも怪しい場合は、食べずに捨てる

食中毒の対処法

食中毒は、放置しても自然の経過で治癒する場合があります。しかし、その一方で食中毒が原因で死亡してしまうケースもあるため、軽視はできません。食中毒が疑われる場合には、素人判断をするのではなく、受診をして医師の診断を仰ぐようにしましょう。

なお、受診に際して以下のものを持参すると、原因が早期に特定され、より的確な診断が受けられます。

・食中毒の原因として疑わしい食品のリスト
・疑わしい食品が手元にある場合はその食品
・発症から現在までの経過を書いたメモ
・吐いた物(ビニール袋に入れて持参)
・下痢便(ビニール袋に入れて持参)
・その他、調理方法や購入元など、手掛かりになるもの全般

吐いた物や下痢便をビニール袋に入れる際は、ゴム手袋をつけるなど、衛生面に十分注意しましょう。もし、作業中に吐いた物や下痢便に触れてしまったら、薬用石鹸や70%アルコールで消毒し、しっかりと洗い流して下さい。衣服についてしまった場合は、煮沸消毒または薬剤で消毒し、家族の衣服とは別にして洗濯し、しっかりと天日干しを行って下さい。

食中毒が発症した後は、医師の診断を仰ぐことが何よりも重要ですが、診断前または診断後に自宅で症状が悪化することもあるため、自宅での対処法(応急処置)もいくつか知っておくとよいでしょう。まず、激しい下痢や嘔吐を繰り返している場合は、脱水症状を起こして死亡するケースもあるため、水分補給を行う必要があります。水分補給を行う際は水をそのまま飲むのではなく、電解質の摂取も同時に行う必要がありますので、おもゆ(塩を少量いれた薄い粥)や、常温のスポーツドリンクなどを飲むとよいでしょう。また、吐き気を催している場合には、横向きに寝て、吐きやすい体位をとるとよいでしょう。特に高齢者においては、吐いた物を誤嚥(ごえん)して窒息死したり、肺炎の原因になることもあるので、吐きやすい体位をとることは大切です。

市販の下痢止め薬を飲むかどうかはケースバイケースです。たとえば「O-157」という細菌が原因になっている場合、下痢止め薬を飲むと毒素が体外に排出されにくくなる恐れがあるため、基本的には服用は控えられています。しかし、下痢を止めずにいたら脱水症に陥ってしまうこともあるため、例外的に飲むケースもあるようです。いずれにしても、医師に現在の状況(症状)をしっかりと伝え、指示を仰ぐことが大切です。

さいごに

食中毒は、免疫力が低下しているときにかかりやすくなると言われています。そのため、上記で説明した予防法を実践すると共に、免疫力を正常にキープしておくことが重要です。

免疫力を低下させないためにもっとも意識すべきことは、日頃から腸内環境を整えておくことです。腸には免疫細胞の6~7割が生息しているため、まさに「免疫の要」としての役割を果たしています。腸内環境を整える方法は、食生活の改善をはじめ、様々なものが提唱されていますが、「電解水素水」というお水を飲むことも有用です。

以下の記事では、腸活に役立つ電解水素水について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
【付加価値を持つ水とは?腸活に役立つ電解水素水について解説!】
https://www.nihon-trim.co.jp/media/29468/


参考文献

農林水産省「食中毒予防3原則編」

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2212/spe1_04.html

厚生労働省「家庭での食中毒予防」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00008.html

サラヤ株式会社「食中毒(腸管出血性大腸菌O157)とは? - 知っておきたい!家庭の感染と予防」

https://family.saraya.com/kansen/o157/

東京都保健医療局「同じものを食べても、食中毒になる人とならない人がいるのは、なぜですか?」

https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/anzen/food_faq/chudoku/chudoku04.html

書籍「家庭で防げる食中毒」篠田純男 著

書籍「知って防ごう食中毒」甲斐明美 著

書籍「改訂 食中毒予防・処理マニュアル2004」日本食品衛生協会 出版

書籍「食中毒-予防と対処のすべて-」本田武司&上田成子 共著