シリカの健康効果とは?摂取方法や有効性について解説
美容や健康に良いと言われている「シリカ」。近年、シリカを含む飲料水やサプリメントが市場にたくさん流通し、テレビや雑誌などでも取り上げられる機会が増えました。「美肌になれる!」「骨が丈夫になる!」といった魅力的な言葉に、ついつい惹かれてしまう方も多いのではないでしょうか?
しかし、一方で「本当に効果があるの?」「どれくらい摂ればいいの?」といった疑問を抱く方もいるようです。実際、シリカの効果については、科学的な根拠が乏しい情報や、誇張された表現など、様々な情報が飛び交っており、何が真実なのか見極めるのが難しい状況です。
今回は、シリカの基礎知識や有効性に関する情報などについて解説します。
目次
シリカとは
シリカは元素(物質をつくる基本的な構成要素)の一種です。日本語名は「ケイ素(珪素)」(原子番号:14、元素記号:Si)で、英語名は「シリカ」または「シリコン」と呼びます(以下「シリカ」)。
日常では、あまり聞きなれない名前かもしれませんが、シリカはとても身近な元素です。なぜなら、シリカは地球上で酸素の次に多く存在している元素であり、地球自体も60%はシリカで構成されているからです。
そもそもシリカは鉱物の仲間であり、藻類(珪藻といわれる植物性プランクトン)の遺骸が海底や湖底に堆積し、それが長い年月を経て化石化したものです。それが地球の表面(土や岩石、水晶など)にたっぷりと溶け込んでいて、地殻の約3割はシリカでできていると言われています。
また、シリカは私たちの体内にも存在し、有用な働きをしていると言われています[※]。主に存在している組織としては「骨、リンパ節、歯、肺」が挙げられますが、その他にも「筋肉、皮膚、毛髪、爪」など、広く体内に存在しています。
シリカは、体内で合成されず、年齢とともに不足しやすくなるため、食事などから摂取することが推奨されています。
※. 体を構成する元素の約96%は「酸素、炭素、水素、窒素」です。残りの4%の中に、シリカを含むミネラル元素が存在しています。
シリカの摂取方法
シリカは土の中にも多く含まれているため、土から養分を吸って育つ作物(野菜や穀物)は、シリカの供給源になります。
例えば、以下のような作物が挙げられます。
・アスパラガス
・サラダ菜
・人参
・トウモロコシ
・じゃがいも
・きび
・大麦
・小麦
・玄米 など
また、シリカは海中にも存在しているため、以下のような水産物(主に貝類や海藻類)から摂取することもできます。
・青のり
・ひじき
・わかめ
・はまぐり
・あさり など
シリカを手軽に摂取できるサプリメントや飲料水などの商品もあります。
期待されている健康効果とは?
シリカには、どのような効果が期待されているのでしょうか?
テレビや書籍などで紹介されている代表的な効果には、以下のものが挙げられます。
【肌の状態が良くなる】
シリカが真皮にあるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の結合を丈夫にするため、肌の土台が整います。それによって、ハリと弾力のある肌が生まれ、新陳代謝も活発になり、肌に潤いを与えると言われています。
【水太りやむくみを解消する】
細胞内外のイオン交換[※1]が活性化されるため、水太りやむくみが解消されると言われています。また、イオン交換の活性化によって新陳代謝が活発になり、ダイエット効果が表れるとも言われています。
【デトックスに役立つ】
マイナスに帯電しているシリカは、体内でプラスに帯電している有害な重金属[※2]を吸着して、体外へ排出すると言われています。また、便や尿、汗もプラスに帯電しているため、シリカの摂取によって排泄が促進されると言われています。
【アンチエイジングに役立つ】
シリカは不安定な活性酸素と結びつき、安定させる働き(抗酸化力)があると言われています。そのため、体内の酸化が抑制され、アンチエイジングに働くと言われています。
【骨を丈夫にする】
骨の主要な構成物質にはカルシウムが挙げられますが、コラーゲンもその一つです。シリカはカルシウムとコラーゲンを接着する糊(のり)のような働きがあり、それによって骨密度が高まり、骨粗しょう症の予防に役立つと言われています。
【健康的な髪をつくる】
髪の主成分はコラーゲンなどのタンパク質です。シリカは、その結合組織を丈夫するため、髪にハリを与えると言われています。また、シリカを摂取すると新陳代謝が高まるため、栄養がしっかりと毛根にまで運ばれ、髪にツヤを与えるとも言われています。
【血管を丈夫にする】
毛細血管は、内皮細胞と外側を覆う壁でできていますが、シリカは内皮細胞の構成成分であり、壁細胞を修復する働きもあると言われています。また、血管内にできたプラーク[※3]を分解し、排出させる働きもあると言われています。
【睡眠の改善に役立つ】
深い眠り(ノンレム睡眠)を得るためには、大脳の松果体から分泌されるメラトニン(睡眠ホルモン)の働きが必須です。シリカは松果体の構成物質ですので、十分に補給することでメラトニンの正常な分泌が促され、睡眠の質が改善されると考えられています。
※1. 細胞の内外で行われる物質の往来のことで、必要な物質(栄養や酸素)を取り込み、不要な物質(老廃物)を排出します。イオン交換が滞ると、細胞内に水分が留まります。
※2. 水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、クロム、コバルト、ニッケルなどのこと。
※3. 血管の内壁に蓄積する脂肪やコレステロールなどの物質の塊のこと。動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の原因になります。
シリカの有効性について
上記のように、シリカは健康や美容に良いと言われていますが、実際の有効性については、まだ不明な点も多いようです。
その点について、国民生活センターでは以下のような説明があります。
“現時点では一日当たりに摂取が必要なケイ素の量は明確にはなっておらず、美容や健康増進などに対する具体的な有効性については、必ずしも明らかにはなっていません。”
“ケイ素の摂取量については、「推奨量」などの基準は設けられていません。ケイ素は人の体内の微量ミネラルとして、骨の形成に関与していますが、有効性について信頼できる十分な情報は見当たらないとされています。” 出典:独立行政法人 国民生活センター『シリカやケイ素を摂取できるとうたった飲料、健康食品等に関する調査 -ケイ素の摂取は美容や健康に良い?-』 |
また、国民生活センターは、シリカに関連する商品(以下「シリカ商品」)のいくつかには、過去に誇大な広告や間違った記載があったとして、法律上、問題となるおそれを指摘しています。
もちろん、すべてのシリカ商品において、そういった問題点が見られるわけではありませんが、うたわれるシリカ商品の効果や含有量などについては、私たち消費者の「確認する目」が求められます。そして、その目は、上記に挙げた「期待されている健康効果」にも向けなければいけません。ヘルスリテラシーを持って「エビデンスはあるのか」、「どのような実験がされたのか」といった詳細確認を自分自身で行い、納得した上でシリカ商品を購入するようにしましょう。
さいごに
飲料水やサプリメントなどのシリカ商品を検討することもよいですが、ケイ素は水道水をはじめ、多くの食品に含まれており、普段の食事からも意識せずに摂取しています。重要なのは、バランスの取れた食事を心がけ、過度に特定の栄養素に焦点を当てすぎないことです。
まずは自身の食生活がアンバランスなものになっていないかを見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
国民生活センター「シリカやケイ素を摂取できるとうたった飲料、健康食品等に関する調査-ケイ素の摂取は美容や健康に良い?」
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221207_2.html
書籍「ケイ素の力」秀和システム 出版
書籍「ケイ素でキレイになる!」山野井昇 著