歴史的な早さで梅雨が明け、今年の夏は全国的に平年より厳しい暑さになると予想されています。そんな猛暑の中でも手足の先が冷える、お腹を下しやすいという悩みがある人は、体の中の水が滞っているのが原因かも?
今回は、新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 鍼灸健康学科 開設準備室長・教授 粕谷大智先生に東洋医学の基本である考え方「気血水」と、水の滞りによって生じる体の不調とケアについてお話をお聞きしました。
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■粕谷大智(かすや だいち)先生
新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 鍼灸健康学科 開設準備室長・教授
筑波大学理療科教員養成施設 臨床研修生修了
人間総合科学大学大学院博士後期課程修了 心身健康科学博士
1987年 東京大学医学部附属病院 内科物理療法学教室(物療内科)に入職、アレルギー・リウマチ内科を経て、2022年3月までリハビリテーション部主任。
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日本心身健康科学会理事、全日本鍼灸学会監事、日本東洋医学会代議員、日本リウマチ学会、日本顔面神経学会、日本リハビリテーション医学会
特にリウマチ、腰下肢痛に対して数多くの研究成果があり論文を発表している。
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■電解水素水(アルカリイオン水)には以前から注目していた
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私は1950年代から70年にかけて日本で多発した整腸剤キノホルムの薬害「スモン病」の症状における鍼灸治療の研究に1987年に関わりました。手足のしびれ、腹痛や下痢といったスモン病の症状に鍼治療が効果的であることがわかっています。現在に至るまで、国の予算で受けることができる唯一の治療法が鍼灸治療です。
その後東京大学医学部附属病院に在籍していた時、スモン病を専門に研究していた神経内科の医師がアルカリイオン水(※1)が胃腸症状を緩和することを話していたことが印象的で、以来電解水素水には注目していました。
(※1)水素が入ったアルカリ性の水 日本トリムの電解水素水も同様
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■東洋医学は「気血水」のバランスが重要
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東洋医学的には人間の体を「気」「血」「水」で見ます。
「気」は、人間の体を動かす根源となるエネルギーと考えられていて、血液など臓器を動かして自律神経系や内分泌系を司る働きを持ちます。
「血」は、体にある赤い液体。全身に酸素、栄養を運んだり、ホルモンのバランスを調整します。
「水」は、体にある透明な液体。尿、リンパ液など体のあらゆる水分を指します。免疫系に大きな関わりがあるものです。
「気血水」はどれか一つでも滞ったりすると体が不調、または病気になる原因になってしまいます。漢方も鍼灸もこの「気血水」のバランスを整えて、病気にならない体を作るということが基本的な考え方です。
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■水のめぐりが悪い症状:「水毒」「水滞」
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体の不調の悩みは東洋医学の「気血水」のバランスから、気虚、気滞、血虚、瘀血、水毒、陰虚という6つの体質に分類されます。
中でも、女性に多い手足の冷えや頭痛に悩む症状は「水毒」または「水滞(すいたい)」と言います。文字通り、体の外に排出すべき水が何らかの原因によって体内に滞っている状態です。
運動不足による基礎代謝の低下、水分の過剰摂取、または水分を摂らないことで腎臓機能が低下するとなりやすいとされています。
症状としては、冷えやむくみ、お腹を壊しやすい、気分の上げ下げの幅が大きい、頭痛や腰痛、疲労感、めまいや立ちくらみなど、自律神経系の症状が多いのが「水毒」「水滞」の体質です。
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■トイレに行く習慣をつけるためにも水分は意識的に摂って
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テレワークが日常化したことで汗をかく機会が減り、水を飲まなくなった人が増えたように感じます。また「むくむから」といった理由から水分を控える人もいますが、これは逆効果です。
運動不足や冷えから体の基礎代謝が落ち、さらに水を飲む量が減ると腎臓の機能が低下することで吸収が悪くなり、逆にむくみが起きるのです。
「水毒」「水滞」の対策としては、トイレに行く習慣をつけるということも効果的です。 日中は4~7回、夜間1回程度を目標にしてみてください。
トイレに行く回数を増やすためにも、こまめな水分摂取を勧めています。その際、塩分や糖分を含んだ飲み物は腎臓にも負担をかけるので、飲むなら、電解水素水や麦茶などノンカフェインのお茶が良いと思います。
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■自分好みのケアを続けて
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いつでもどこでも簡単にできるセルフケアは、難治性慢性疼痛や胃腸症状をはじめとした体の不調に対し重要と世界的に言われています。
セルフケアは、運動やマッサージだけではなく、瞑想、ヨガ、温泉や灸といった温熱療法、食事療法、音楽療法なども含まれます。
運動が嫌いな人は、他のセルフケアをいくつか選んで継続すればいい。自分の体と向き合い、自分に合ったケアを意識的に行うということが重要だと思います。
特に下痢には、暴飲暴食と言った食生活の乱れからくるもの、虚弱からくるものなど様々なタイプがあります。アルコールなど過剰な水分摂取により肝臓や腸といった消化器全体がオーバーヒートしてしまいます。消化機能が低下すると、生命エネルギーである気血生成の栄養補給が不足し、それにより水分調節機能のバランスを崩し、身体が冷えて下痢症状が起こります。
食事療法の中でもアルコールはあまり飲まない、体を冷やすものを摂らない。あとは基礎体温を下げないように努力することが予防につながります。
そして胃腸症状の改善に効果が認められている電解水素水なら、それを日常的に摂取するのも良いと思います。
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■鍼灸も水も目指すのは「病気にならない体づくり」
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水も鍼灸も、病気を治すものではありません。人間が持っている「体を正常に戻す力(自然治癒力)」をサポートしてあげるものが水であり、鍼灸であると思います。
お灸をはじめとした温熱療法やそのほか自分にあったケアと一緒に継続していくことで病気にならない体を作ってあげることが重要です。
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