活性酸素種、またはフリーラジカルは生体高分子への広範囲にわたり酸化損傷を起こし、老化はもちろん、様々な病気を引き起こすと考えられている。活性酸素の理想的な消去剤は「活性水素」であるといえる。「活性水素」は、水の電気分解時に陰極側で生成される還元水の中で生成される。還元水は高いpH、低い溶存酸素(DO)、極めて高位の分子状溶存水素(DH)と、極めてマイナスの酸化還元電位(ORP)値を示す。
アスコルビン酸、(+)カテキンやタンニンと同様、強い電解還元水は、ナトリウムリン酸塩バッファ(pH7.0)の中でヒポキサンチンキサンチンオキシターゼ(HX-XOD)系によって発生するスーパーオキシド(O2-)を完全に消去した。 還元水の、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)様の活性は4℃で1カ月間以上の間、安定しており、中和、凍結融解繰り返し、超音波処理による脱気、強い攪拌、煮沸、ろ過の繰り返し、あるいは密閉容器での高圧蒸気殺菌処理後でさえ失われなかった。しかし、密閉していない容器での高圧蒸気殺菌処理、あるいは効率的に活性原子水素を吸着する三酸化タングステンの入った密閉容器での高圧蒸気殺菌処理後では活性が失われた。 水素ガスを吹き込んだ水は還元水同様、低いDO、極めて高いDH、低いORP値を示したが、SOD様活性は持っていない。これらの結果は、還元水のSOD様活性は分子状溶存水素によるものではなく、原子状溶存水素(活性水素)のためであることを示唆する。SODをHX-XOD系に添加したとき、過酸化水素を蓄積させたが、還元水はXODによって生成したH2O2 の総量を減少させた。 還元水は、カタラーゼとアスコルビン酸と同様、H2O2を直接消去することができた。還元水はアスコルビン酸のCu(II)イオン触媒によって生じるDNAの単鎖切断を量依存的に抑制した。このことは、還元水がスーパーオキシド(O2-)や過酸化水素(H2O2)だけでなく、一重項酸素(1O2)、ヒドロキシルラジカル(・OH)も消去することを示すものである。
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