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PLOS ONE(プロス ワン)

分子状水素はマウスにおいてLPS誘導神経炎症を抑制し疾病行動からの回復を促進する

分子状水素は急性神経変性のモデルマウスにおいて神経保護効果を持つことが示されている。その効果はフリーラジカル消去作用によって仲介されていることが示唆されている。しかしながら、水素分子は遺伝子発現とタンパク質リン酸化の一貫した効果を持つことが最近示されている。この研究の目的は、分子状水素豊富な電解還元水(H-ERW)の日常的な自由飲水が、リポポリサッカライド(LPS)誘導による神経炎症の予後を改善するかどうかをテストすることだった。H-ERW飲水開始から7日後にC57Bl/6マウスにLPS(0.33mg/kg i.p)または同量の溶媒を単回投与した。LPS誘導による病的行動を投与後2時間調査し、回復状況をLPS投与後72時間ホームケージにて自発運動量を観察することによって調査した。マウスを急性段階または回復段階に屠殺し、海馬における炎症誘発性サイトカインと抗炎症性サイトカインの発現をリアルタイムPCRによって調べた。これらの効果は、ベースライン時にすでに抗炎症遺伝子発現特性(TNFのダウンレギュレーションとIL-10のアップレギュレーション)へのシフトと関係している。さらに分子状水素は神経炎症応答の強度を強くしたが、その期間を短くし、その消失を促進した。一貫して分子状水素は不死化マウスミクログリア(BV-2細胞株)において同様の遺伝子発現とその活性化を調整した。このことはin vivoにおいて観察された効果は、ミクログリアの活性化を含んでいることを示唆している。まとめると我々のデータは、分子状水素の有益な効果の根底にある重要な付加的メカニズムであるサイトカイン発現の制御を示している。

目的:マウスへのLPS(細菌の成分)投与による全身性炎症による急性的影響に対する水素豊富な電解還元水の飲用による効果を調べた。

方法:電解還元水はTI-9000より採水。
1)マウス実験:
3ヶ月齢のマウスに、事前に7日間浄水または電解水を自由飲水させ、その後炎症を引き起こさせるLPSを腹腔内に投与(0.3mg/kg)した。その後の体重変化、自発的行動量、海馬における遺伝子発現量を比較。
2)細胞実験:
マウスのミクログリア細胞株BV-2(脳内の免疫細胞)を浄水または電解水で作製した培地で培養。LPSの添加による細胞増殖や遺伝子発現の変化を比較した。

結果
マウス
1)体重低下の抑制
LPS投与の炎症により体重が6~8%減少するが、電解水を飲んでいる方が回復が有意に早い。 2)新しい環境における自発的運動量の低下を電解水飲用により抑制。
浄水飲用群:75%低下。電解水飲用群:55%低下にとどめる。
またその後の自発運動量の回復を早めた。 3)ベースライン時に炎症性サイトカイン(TNF)量が少なく、抗炎症サイトカインIL-10が多く、炎症が抑えられている。LPS投与後は、電解水の方がIL-10と抗酸化因子のNrf-2とHO-1が長く発現していた。
細胞(ミクログリア、脳内の免疫細胞)
1)LPS添加後のミクログリアの細胞増殖と活性化が有意に高い。 2)遺伝子発現はマウス実験とほぼ同じ。

結論:電解水の飲用は、脳におけるサイトカインバランスを抗炎症状態へシフトすることとミクログリアの初期免疫応答を調整することでマウスの全身性炎症の急性の悪影響(体重減少や行動量減少)を抑制したと考えられる。

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