酸化ストレス(OS)の上昇は、血液透析(HD)を受けている患者において重度の心血管疾患や早期死亡と関連している。酸化ストレスは血液透析中に血液と透析膜との接触により増強される。この研究は、抗酸化剤として知られる水素が、透析中に誘導され増加する酸化ストレスを抑制する能力があるかどうかを明らかにすることを目的とした。通常の透析液と水素溶存透析液(電解水素水を利用、平均50ppb、H2-HD)を使い2種類の透析でクロスオーバー試験を行った。酸化ストレスマーカーとしてグルタチオン、過酸化水素、アルブミンレドックスの血漿レベルの変化をみるために透析器の入口と出口から血液サンプルを採取した。入口と出口の血液を比較した結果、両透析において総グルタチオンと還元型グルタチオンは低下し、さらに過酸化水素は有意に上昇した。しかしながら、H2-HDを行うと出口の可逆的酸化型アルブミンの比率は入口のそれより有意に低かった。一方通常透析液の場合その変化は見られなかった。このことは、透析器内酸化ストレスはH2-HDで抑制されることを示唆している。結論として、水素溶存溶液の応用は血液透析中の酸化ストレスを緩解しうる。
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