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Nephrology Dialysis Transplantation (ネフロロジー ダイアリシス トランスプランテーション)2010:February 26, 1-7

電解水透析液は慢性血液透析を受けている末期腎疾患患者のT細胞障害を改善する

背景:慢性血液透析を受けている末期腎不全患者における酸化ストレス増大によるT細胞障害は、T細胞のアポトーシスやCD4+Tリンパ球のTh1/Th2比や表面マーカーの変化を引き起こす。酸化ストレス関連Tリンパ球アポトーシス、表面マーカーの変化と細胞内サイトカインプロファイルへの改善効果をテストするために、抗酸化物質である電解還元水(ERW)を、慢性血液透析を受けている末期腎不全患者に使用した。

方法:我々は1年間電解還元水で血液透析を受けている42人の末期腎不全患者のアネキシンVによるアポトーシス、CD25関連表面マーカー、それとCD4+Tリンパ球中のTh1/Th2とCD8+Tリンパ球中のTc1/Tc2のサイトカイン比率を評価した。

結果:12人の健常者と比較して、その末期腎不全患者は、ベールラインにおいてCD25/CD69/CD94/CD3+表現型とCD3+, CD4+ そしてCD8+T細胞は少なく、またT細胞のアポトーシスは多かった。また、Th1/CD4+ 且つTc1/CD8+ 細胞の細胞内IL-2 とIFN-γレベルは低く、Th2/CD4+且つTc2/CD8+細胞の細胞内のIL-4, IL-6 とIL-10 レベルは高かった。1年間の電解還元水処理後は、それらの患者において、T細胞のアポトーシスの減少、T細胞におけるCD25/CD69/CD94/CD3+表現型とCD3+, CD4+ そしてCD8+T細胞数の上昇が見られた。Th1/Tc1 細胞の細胞内IL-2 とIFN-γレベルが有意に上昇し(P < 0.05)、Th2/Tc2細胞の細胞内IL-4, IL-6 そしてIL-10レベルは減少した。さらに、Th1/Th2 とTc1/Tc2サイトカイン比は、健常人の状態まで改善した。

結論:1年間の電解還元水による透析は、透析患者のT細胞アポトーシス、変化したCD25 関連表面マーカー、細胞内サイトカインプロファイルを効果的に改善した。

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