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Vascular Medicine (バスキュラー メディスン) 2008 vol.4 no.4 345-351

心腎連関におけるメチルグリオキサールの関与を探る

慢性腎臓病(CKD)が心血管イベントの独立危険因子であることが明らかにされてきた。一方、末期腎不全患者激増の背景には生活習慣病が大きくかかわっていることが示されている。したがって、CKD患者の心腎連関の根本には、生活習慣病と共通する要因がかかわっている可能性が想定される。筆者らは、この条件を満たす因子の一つとして、生体内の糖代謝・分解過程で生成される毒性物質であるメチルグリオキサール(MG)に注目している。CKD患者の血中MG濃度は上昇しているが、このMGは内因性の過酸化水素との相互作用により血管内皮細胞などで酸化的傷害を惹起することが報告されている。一方、CKDに特有の尿毒症性心筋症の基本的病態として冠動脈微小血管の拡張障害が存在することが示されているが、この機序には細動脈の拡張反応因子である内因性過酸化水素の作用障害が関与している可能性がある。以上より、CKD患者ではMGにより冠動脈の微小循環調節が阻害され、これが、心筋の虚血や線維化を促進する一因となる可能性が想定される。

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