パーシモン研究所(代表兼島根大学名誉教授:板村裕之)と共同で電解水素水※1潅水による柿の果皮黒変の抑制効果とそのメカニズムに関する研究成果を第7回カキ国際シンポジウム(開催日9月20日~26日)にて発表いたしました。また、その内容が国際園芸学会の学会誌「Acta Horticulturae」に22年4月に掲載されました。
※1電解水素水:水道水を整水器で浄水し且つ電気分解することで得られる、アルカリ性で分子状水素(molecular hydrogen)を含む飲用の水。また、研究により分子状水素および微量に存在する白金ナノ粒子に保持された反応性の高い水素により抗酸化作用を示すことが学術発表されている。
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■研究意義・目的
果物の商品価値は見た目も大きな要素の一つです。ブランド柿‘太秋’は栽培環境により柿果皮の黒変が発生し商品価値を落としてしまうという課題がありました。そこで抗酸化性があるとされる水素(H2)を含む電解水素水を潅水することでその果皮黒変を抑制し、その作用機序とともに商品価値を上げることに寄与できるかを調査することを目的としました。
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■主な結果(発表資料から一部抜粋、改変)
(1)電解水素水潅水で黒変化を1/5に抑制
(2)黒変化に関与するホスホリパーゼとリポキシゲナーゼの遺伝子発現量の抑制
■結論
電解水素水の潅水は、柿果皮の黒変の程度を1/5に抑制しました。また黒変関連遺伝子の発現量をホスホリパーゼに関しては37%、リポキシゲナーゼに関しては33%抑制しました。また、今回の栽培試験をもとにした商品価値に関する試算では、電解水素水の潅水により1kg当たりの平均単価を約27%アップさせるという試算結果も得られました。
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■研究方法
本研究では、‘太秋’幼木3本に電解水素水または地下水を12回潅水し、それぞれ12果及び7果を用いて柿果皮の黒変度合い(0~3の4段階評価)を評価し、また黒変関連遺伝子のリポキシゲナーゼとホスホリパーゼの遺伝子発現量を測定しました。平均卸単価は黒変程度の違いによる平均卸単価と収穫割合から算出しました。
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■今後の期待
今後、電解水素水潅水による栽培の規模を大きくして、柿農家の収益やブランド価値への影響を調査していきたいと考えます。また、果皮の黒変障害は他の果物でも共通して起こる課題であることから他の果樹への電解水素水の潅水も検討したいと考えます。
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■研究支援
本研究は、株式会社日本トリムによる共同研究費、平成31年度兵庫県アグリビジネス創出支援事業の助成金(一部)の支援を受け行われました。
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■発表概要
タイトル「The effect of cultivation conditions and electrolyzed hydrogen water treatment on the blackening of persimmon ‘Taishu’ fruit」
(和訳:柿‘太秋’の果皮黒変に及ぼす栽培条件と電解水素水処理の影響)
共同研究関係者
研究代表者:パーシモン研究所代表兼島根大学名誉教授 板村裕之 農学博士
共同研究農園:松下農園(兵庫県神戸市西区押部谷) 松下 績・澤田香織
※共同研究者については論文に記載
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■学会
第7回カキ国際シンポジウム
期間:2021年9月20日~26日
場所:奈良市(完全WEB開催)
ホームぺージ:http://www.jshs.jp/modules/sympo2/index.php?content_id=1
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■パーシモン研究所 概要
島根大学名誉教授の板村裕之により設立された。柿を中心とした果樹の栽培利用に関する情報収集と提言を行うとともに、関連する実験研究を行う研究所。
□創立年月日:2019年2月15日
□代表:板村裕之 (いたむら ひろゆき)島根大学名誉教授
主な研究業績:カキ果実の成熟とポストハーベストの生理学的研究、他多数
主な著書: カキ.果樹園芸学 金浜耕基編.文永堂出版.東京.185-218.2015.他多数
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